キット組立講座


尾小屋のDC122



昭和27年に製造されたDC121と同様に、元SLだった機関車の足まわりを利用して昭和33年に協三工業で製造されたDC122。
 僅か6年の違いですが、そのスタイルは大きく異なり、前後非対称の独特のスタイルに仕上がりました。
 幅が広いボンネット、床板の下にはステップも兼ねた板が付き、デビュー当初は朱+黄+クリームという派手な出で立ちでした。
 その後、黄色はなくなり普通の朱+クリームという落ち着いたカラーリングになりましたが、独特な風貌はそのまま晩年まで引き継がれました。
 そんな「DC122」の魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まず、上まわりの工作はボンネットに先端のロストワックスを半田付けする事から始めます。
 ボンネットの長い方にラジエターカバーを、短い方にリブ付きを付けます。もちろん裾合わせですが、特に短いボンネットの方は、給油ハッチがキャブ寄りになりますので、それぞれの向きには注意しましょう。
 そしてラジエターカバーにはグリルを半田付けしますが、グリルの裏側は半田メッキをしておくと半田が流れやすいでしょう。
 その後で反対側に妻板を半田付けします。

 

2.ボンネットに小さなパーツを半田付けしていきますが、下記のような順序で付けていくと良いでしょう。
 コンプレッサーカバーを半田付けして、裾を揃えるために平らな板の上にサンドペーパーを敷いて、その上で摺って作業します。これは非ラジエター側も同様です。
 次に上部の点検ハッチ、そしてラジエターキャップを半田付けします。テスリは真ん中の支えを半田付けして、それを高さの目安としながら半田付けします。
 太い排気管の根元は斜めになっていますので、ボンネットの傾斜に合わせて半田付けをして、最後に点検扉のハンドルを半田付けします。
 当社の製品にはこのハンドルをよく使っていますが、皆さんはどのようにこの小さな部品を半田付けしていますか?
 今回のような場合には、ボンネットを万力で咥えて両手を使えるようにしておき、左手のピンセットで摘まんだハンドルを保持しながら、右手で半田ゴテを使うと落ち着いて作業が出来るでしょう。


3.今回は上まわりと下まわりとが交錯しながら進みます。
 上下の床板は一見左右対称のようですが、一か所のコーナー部分に握り棒が付くので、注意が必要です。
 この上下の床板を張り合わせますが、前後左右が均等な段差寸法になるように留意します。
 2枚を張り合わせたら、エンドビームを垂直に半田付けしてから、側板を半田付けしますが、側板はステップの穴がある位置を確認して、床板のそれと合うような位置にセットします。
 エンドビームとの間に隙間が生じたらエンドビームを付け直しましょう。

 

4.この床板に様々なパーツを半田付けしていきます。
 最初はカプラーですが、取付ボスは1mm程度までに仕上げておきます。次は前後の排障器ですが、この取付ボスも0.5mm程度までに仕上げておき半田付けします。
 表側には砂箱蓋を半田付けしますが、ヒンジを表現した部分(大き目な角型の出っ張り)が内側になるようにセットします。
 次は6か所のステップを半田付けしてから砂箱を半田付けしますが、この砂箱の取り付けボスも0.5mm程度までに仕上げておいてから半田付けします


第2回
1.次はエアータンクです。エアータンクの両端には僅かな凹みがありますので、そこにφ0.4mmのドリルで0.5mm程度掘っておき、そこに真鍮線のL字型配管を半田付けします(短い方を差し込みます)。このような場合にも万力は重宝します。
 これを床板に当ててみて、配管が床板の小穴にピッタリと合う事を確認して、もしも合わないようでしたら、一旦半田を外して更に穴を掘るか配管をニッパーで短くして対応します。
 ピッタリと合うようになったら床板にエアータンクを半田付けしますが、エアータンクにシッカリと半田付けされていれば配管部分は床板に半田付けしなくても良いでしょう。

 

2.床板の最後の作業として、握り棒を表側から半田付けしますが、僅かな半田でシッカリと固定するよう心掛けましょう。


3.床板には2個のウェイトを1.4mmのタッピングビスで固定しますが、短いボンネットの方は妻板と僅かに干渉しますので、写真のようにボンネットを仮固定してマーキングをし、その部分を粗い丸ヤスリで削っておきます。
 これら2個のウェイトは瞬間接着剤を併用してタッピングビスで止めて、接着剤が乾いたらビスを外します。


4.ギヤーフレームの組み立てです。まず左右のギヤーフレームを角型スペーサーで歪みなく組み立てて、更に前後のフレームで補強しますが、前後のフレームは突起がある方がギヤーフレームの2個穴が並んだ側(写真では右側)にセットします。
 この工作は「スーパートータルキット」の場合は完了していますが、とにかくこの部分で歪みがあると、最終的に走行にも影響しますので、慎重に作業しましょう。


5.ギヤーフレームの突起部分の穴にブレーキテコを半田付けしますが、その取付ボスは必要最低限まで短くしておき、内側に飛び出さないようにします。


6.動輪押さえ板にはブレーキシューを半田付けしますが、写真のように板に半田付けしてから湯口をヤスって仕上げると作業がしやすいでしょう。


7.床板にギヤーフレームを1.4x1.4mmビスで固定して、動輪をセットしてみて、砂撒管を外観図のような感じで曲げて、動輪と干渉しない程度にカットします。横から見てレールに触れないような長さにする事もお忘れなく。


第3回
1.キャブの組み立てですが、その前にやっておく事があります。
 いずれ必要になるものですから、この段階でやっておいた方が楽なのですが、妻板の窓の穴に合わせてプラ板で窓ガラスを作っておきます。
 どうせだったら奥まったガラスよりも窓枠にピッタリの方が良いですし、窓を開けた状態にするにも必要ですから面倒がらずにコーナーのRも切っておきましょう。
 さて、側面にドアーを半田付けしますが、ドアー脇の細い部分にプレスの歪みがあれば修正しておいて下さい。
 ドアーは左右あり、ドアーハンドルが窓側になりますので要注意です。裾合わせでコの字型の切り欠きの部分センターに合わせます。
 次に窓を半田付けしますが、この窓は特殊な構造になっています。まず大きな板を側面に半田付けします。Hゴムの窓は左右ともドアー側にセットします。
 そして小さな窓をその上から半田付けします。つまり妻板側の窓枠は側面からさほど凹んでいないのを表現するためです。

 

2.これに妻板を半田付けしますが、肩の部分は僅かにヤスっておいた方が落ち着くかも知れません。
 妻板に窓枠を半田付けしますが、この窓枠は「旧塗装」&「新塗装」時代と、「末期塗装」時代とではワイパーの位置が上から下に変わっていますので、その違いがパーツでもあります。御自分がどの時代のモデルを作るかをここで考えて下さい。作例は「新塗装」にする事にしました。
 また、ワイパーは前後ともに片方にしか付きませんので、この写真や外観図を見て間違えないようにしましょう。但し、末期の冬姿にする場合は、窓枠を付けてからワイパーの穴をφ1.4ドリルで開けておいて下さい。
 作例では片側を開けた状態に、片側は閉じた状態にしてみましたが、排気管がある反ドアー側は排気管と干渉しますので、さほど開けられません。
 窓枠を付けたらワイパーとヘッドライトケースを半田付けします。

 

3.細かいパーツを付けていきます。天窓を取り付ける角穴は僅かに前側をヤスっておいた方が落ち着きが良いでしょう。
 大小のテスリ、ドアーハンドルを付けてから雨樋を付けます。
 雨樋は上の方を2mmほど僅かに「への字」に曲げておき、足を短くカットした割ピンで止めます。「への字」分ぐらい側面から浮かす程度、つまり0.3mm程度浮かす感じにしましょう。


4.さあ、キャブが出来ましたので、ボンネットと組み合わせてみます。
 組み合わせるには1.4x3mmビスを左右ともチョットだけネジ込み、ネジが入ったら裾合わせでネジ込んで固定します。
 妻板の窓枠を開けた方は、排気管と干渉していないかを確認しておきます。
 更に1.4x3mmビスで床板とも仮に組んで、ここまで来た満足感を味わいましょう(^^♪。
 充分に満足感を味わったならば、ここで塗装に備えて今のビス6本を外してバラバラにします。

 

第4回
1.さて、塗装作業です。まず全体をMWC-53 MWプライマーで下塗りしてから、ギヤーフレームと動輪押さえ板はMWC-02 黒に、その他はMWC-03 クリーム色で塗ります。
 床板はその後でMWC-15 朱色で塗りますが、色調を揃えるために一旦クリームに塗ります。


2.外観図を見ながらマスキングをして、「旧塗装」の場合は黄色に塗ってからMWC-15 朱色を、「新塗装」と「末期塗装」の場合はMWC-15 朱色を塗ります。
 床板は側板とエンドビームから上をマスキングして、更に黒で塗りますが、カプラーは先端部のみが黒です。
 ひと通り塗り終わったら、ヘッドライトケースとHゴム部分をプラカラーの黒で、テスリはMWC-15 朱色で、ヘッドライトケースの内側とワイパーをプラカラーの銀で塗ります。
 ヘッドライトリムやレンズ、エンドビームのテールライトケースはエポキシ系で接着しておきます。
 ここまで来たら、別売の「アルプスモデル製インレタ(尾小屋D)」でレタリングを添付し、MWC-09 クリヤーに好みでMWC-10 フラットベースを加えたものでオーバーコートして艶を整えます。
 最後にMWC-17 ウェザリンググレーで軽くお化粧をし、排気管はタミヤのウェザリングマスターの赤サビ色で熱で焼けた感じを表現したり、排気口の周りの屋根などはススで汚しておきましょう。


3.窓ガラスを貼ったらボンネットとキャブとを1.4x3mmビスで止めます。


4.集電ブラシは半分にカットした配線コードを半田付けしますが、動輪に当たる部分が出っ張った側に半田付けするようにしましょう。


5.アイドラーギヤーを組み込みながら集電ブラシを止めますが、27番のアイドラー軸の頭は図のように3割ほどカットしておきます。また、集電シュー振れ止めピンもシューから出た部分はカットしておきます。


6.動輪押さえ板を1.4x2mmビスで止めてから、ギヤーフレームを床板に1.4x1.4mmビスで止めます。ブレーキシューが動輪と接触していない事を確認しておきましょう。


7.モーターにウォームギヤーを木工用瞬間接着剤で止めますが、深さは写真の程度、もしくは0.5mm浅くセットします。
 そして、モーターを床板に1.4x2mmビスで止めますが、長いボンネット側を前とするならば、進行方向左側にモーターの+端子が来るようにして配線を半田付けします。
 この状態でテストランしてみましょう。一番軽く走る位置にモーターを調整します。

 

8.サイドロッドの真ん中の穴にクランクピンを半田付けして、裏側をカットしてから平らに仕上げておきます。
 ロッドをクランクピンで止めますが、ロッドの内側には内径の小さなワッシャを、ロッドの外側には内径の大きなワッシャを挟んでやります。

 

9.上下は1.4x3mmビスで止めて出来上がりです(^^♪。
 僚機「DC121」と並べて記念撮影。同じ凸型でもそれぞれに個性があって良いですネ(^_-)。










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