キット組立講座

木曽の酒井製8tボギーDLU


この酒井製8tボギーDLの特徴は何と云っても台車マウントのカプラーにあります。
 つまり、極小の5tボギーDLは別として、8tや10tクラスでデッキが無いのはこのタイプだけですので「5tボギーのような雰囲気を持ちつつ、車体の大きさはそこそこ大きい」という事が云えて、その合いの子のような風情が最大の魅力です。
 また、機械室のドアーも側面には1ケ所しかありませんので、デッキ付きの「8tボギーDLT」と比べてもコンパクトになった印象を受けます。
 そんな酒井製8tボギーDLUの魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。
 なお「木曽」と「青森」との違いは、正面とドアーのテスリの有無だけですので、ここでは木曽を範例として書かせて頂きます。



第1回
1.まずは車体の組み立てから始めます。最初に車体側面のラジエター通風扉をランナーから切り離して半田付けしますが、このパーツはプレスによる隙間があっては格好悪いので(例え0.1mmにせよ)あえて少し大きめになっています。ラジエター通風扉の四辺を平ヤスリで丁寧に仕上げて、チョットきつ目に填まるようにして下さい。車体の裏面とツライチになるように(表から見ると、少し凹むはずです)メッシュ部分に半田を流さないように注意しながら、裏面で半田付けします。
 次に床板を車体に半田付けしますが、前後の上面が車体の前後部分の上面とツライチになるように位置決めします。床板は透かして見たときにプレスの反りが出ているようでしたら、指で軽く修正して下さい。車体の両端部はピッタリと合うように注意しましょう。半田付けの手順は、車体の両端部を合わせて軽く半田を流しておき床板を填めて、何か平らな板の上に逆さに置きデッキ部を半田付け、また逆側も同様にしてから、中央部で半田付けすると良いでしょう。



2.前面をこれに組み合わせますが、まず妻板に対して屋根の直角が出ているか?をチェックして、出ていないようでしたら指で矯正します。このパーツも上下方向には少し大きめに作ってありますので、裾部分を平ヤスリでヤスって車体とピッタリ合うように仕上げて下さい。
 少しヤスってみて車体と合わせ、また少しヤスるといった作業を繰り返して。ヤスり過ぎると裾に隙間が出来てしまい格好悪いので、じっくり丁寧に落ち着いて。ピッタリ合うようになったら裾以外の部分に半田を流して止めます。なお、車体側面に僅かな隙間が出来てもドアーを半田付けすれば目立たなくなりますので、さほど気にする必要はないでしょう。



3.車体がシッカリしたところで、通風口ハッチを半田付けします。この半田付けにはエッチングヌキパーツのランナーを写真のように使うと、作業がし易くなるでしょう。



4.次に乗務員ドアー・点検ドアー・ヘッドライトケース・正面窓枠・ワイパーの順で半田付けしますが、正面窓枠は写真のように開いた状態で組み立てても良いでしょう。
 ただ、ここでお詫びなのですが、正面窓枠の四隅をRにしておくのをウッカリ忘れてしまったので、Hゴムと同心円になるように平ヤスリで削っておいて下さい。
 乗務員ドアーはボディー側板の継ぎ目で、点検ドアーは横雨樋のすぐ下に沿わすようにして両脇のテスリ穴の真ん中に来るように左右の位置決めをしますが、これらのドアーは裏側を半田メッキしておくと綺麗に仕上がるでしょう。半田付けが済んだら点検ドアーのハンドル穴をφ0.5ドリルで開けておきます。なお、マルーン色になる左右各3ケ所のドアーハンドルは半田付けしておきますが、その他のドアーハンドルやテスリは塗装後に接着します(但し、木曽の正面とドアーのテスリは塗らずに接着します)。


第2回
1.床板にエアータンクと電池箱を半田付けしますが、外観図を見て付ける位置を逆にしないように注意しましょう。次にボルスターを1.4x2mm(小頭)ビスで止めて、床板から上に出たネジ部分をツライチにヤスって仕上げておきます。ヤスったらこのビスは外して、ボルスターと一緒にポリ袋にしまっておきましょう。床板にウエイトを止めますが、最初に床下の箱型を1.4x4mmタッピングビスで止め(少量のエポキシ系接着剤を併用しながら)、この上に大きな箱型をエポキシ系接着剤で止めます。さらに両端のウエイトを床板の切り欠きに合わせてエポキシ系接着剤で止めます。但し、この両端のウエイトは床板のネジ穴を接着剤で塞がないように注意しましょう。
 


2.ギヤーボックスの組み立てです。最初にギヤーボックス板に角型スペーサーを半田付けし(垂直度に充分に留意しましょう)、もう1枚のギヤーボックス板を半田付けしてから上板を半田付けします。この上板とはホゾ組みになっているので、簡単かつシッカリと位置決めが出来るでしょう。この後で中心にボルスターを半田付けします。
 なお、上板に開いた角穴は前後方向に少しヤスって、ギヤーと干渉しないようにしておいて下さい。
 ギヤーボックスが出来上がったら、この機関車のハイライトのひとつ・エンドビームをここに半田付けします。このパーツはロストで一体表現されているので、簡単に雰囲気が再現できるようになっています。
 この部分の半田付けはギヤーボックスと接するエンドビームの部分に半田メッキをしておき、脇から半田ゴテを当てるようにすると良いでしょう。

 


3.台車の組み立てです。ロストの湯口を仕上げておいたイコライザーを台車枠に半田付けします。半田を流すのは上の部分だけで充分でしょう。出来上がった台車を動輪押さえ板に半田付けします。



4.ウォームギヤーと軸アダプターとは少量の瞬間接着剤で組み合わせて、モーター軸と少量の瞬間接着剤で接着します。モーターの軸受け部分に接着剤が染み込んではダメなので、そこにオイルを差しておくのも手でしょう。なお、モーター軸との組み合わせは、軸の先端部とウォームとがピッタリと合う位置にセットして下さい。


第3回
1.総ての部品をMWC-53 MWプライマーで塗ってから、上まわり全体をMWC-03 クリームで塗って、マスキング作業です。この機関車は正面が「金太郎」になっていますので、面倒だなあと思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、さほどではありません。ひとつのヒントを書いてみましょう。説明書の外観図の上に90x20mmほどのプラ板を、その中心と前面の中心とが合うようにセロテープで止めます。次に定規を使って軽くカッターで塗り分け線をなぞっていきます。「金太郎」の部分はフリーハンドで良いでしょう。そうしたらマスキングテープをこれに貼って、いま付けたカッターの溝をなぞっていきます。余分な部分を剥がしたら金太郎姿のマスキングテープの出来上がりです。これを車体に貼り付けますが、上下方向は外観図を良く見て決めましょう。テープを貼り終えたらMWC-04 マルーンを塗ります。

 


2.マルーンを塗ったらHゴム部分にプラカラーで黒を塗ります。別にクリーム色に塗っておいた側面のテスリやハンドル、金属色のままの正面テスリとドアーテスリ(共に木曽のみ)をエポキシ系接着剤で止めます。
 写真のように別売の「アルプスモデル製インレタA」を使ってナンバリングをすると、グッと良くなります。
 ライトケースの内側は銀色に塗っておき、リム・レンズをエポキシ系接着剤で止めます。ここまできたら、クリヤーラッカーでオーバーコートして、更に軽くMWC-17でウェザリングをしましょう。塗装が終わったら、ライトレンズにプラ用塗料のクリヤーを差しておきましょう。グッと良くなるはずです。最後に車体内側に出っ張ったテスリやハンドルの余計な部分をニッパーでカットしておき、プラ板で窓ガラスを貼ります。


3.さて下まわりです。総てのパーツを黒く塗っておきます。カプラーは黒く塗っておき、長いピンでエンドビームの下から2段目に止めますが、接着剤は長いピンの根元に少量付けるのが良いでしょう。
 ギヤーボックスの軸箱が入る部分はカッターで剥がしておき、分解図をよく見ながらギヤーを組み込んでいきますが、集電ブラシの出っ張ったピンの部分は外側を向くように注意しましょう。ブラシは気持ち外側に曲げておきます。
 動輪を組み込んで動輪押さえ板を1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。モーターにはモーター台を1.4x2mm(小頭)ビスで止めておき、これをギヤーボックスに1.4x2mm(大頭)ビスで止めます。ここでモーターのラグにパワーパックから電気を流して、軽く廻るようにギヤーの噛み合わせを調整しておきます。ギヤーの回転が渋いようでしたら、ギヤーの側面をカッターで削いで幅を詰めてみましょう。モーターをギヤーボックスに止める際には、写真で向こう側が+になるようにセットしましょう。

 


4.配線をします。20cmの長さのコードが入っていますので、まず半分にカットして、更に4cm・3.5cm・2.5cmにカットします。4cmのコードはあとで使いますのでとっておき、3.5cmのを写真手前側に、2.5cmのを向う側に配線します。集電ブラシへの配線は、ボルスターと干渉しないように、モーター側に出すようにしておきましょう。同じものを2個作ってから、ボルスターをコイルバネとセンターピンで止めます。


5.この動力台車を床板に1.4x2mm(小頭)ビス止めますが、一旦動輪押さえ板は外して作業します。このビスは以前先っぽをヤスッておいた物を使います。台車を床板に止めたら、台車間の配線を4cmのコードでします。コードはクロスしないように、レールと平行に配線します。念のためにレールに置いて走行チェックをしておきましょう。車体とは1.4x2mm(大頭)ビスで止めて出来上がりですが、この際にも動輪押さえ板は一旦外すようにして下さい。エアータンクのある側がラジエターの側ですので、間違わないようにしましょう。


6.「酒井製8tボギーDLT」と並べてみると、ボディーの長さは僅かに短い事が判ります。極小の5tボギーDLは別として、8tや10tクラスでデッキが無いのはこのタイプだけですので、特徴があって面白いのではないでしょうか?

 












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