キット組立講座

木曽のB型客車U(再生産)



木曽におけるB型客車というのは、旧国鉄における35系客車のようなもので(それに対する大型B客は44系のような、優等生グループでしょうか(^O^)。)、ごくごく一般的な使われ方をしました。
 そのスタイルも蒸気機関車が活躍していた頃はカマボコのような形をした屋根が乗ったものでしたが、内燃化される頃からは見慣れた姿に更新されていきました。
 とはいえ、台車は終始スパルタンな運材台車の流用でしたから、乗り心地は自ずと知れたもの。
 現役当時を知らない方々でも、王滝村に保存されていて最近レストアされたB客に揺られた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、ゴツゴツ&ユラユラ揺れる走行感覚は独特で、心情的な気分は別として、あまり長時間乗りたくないような乗り心地ではあります(^^ゞ。
 当社もこのB客を何度も製造しており、素材にこだわったVは別系列として、その完成されたクオリティーが自慢のUをこのほど再生産した次第です。
 大きく分けてB客は、横板目の「助六型」と縦板目の「王滝型」の2種類。王滝型ではディテールの違いによって4種類に作り分けましたので、是非とも番号にこだわってお楽しみ頂きたいと思います。
 そんな魅力あふれるB客の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。
 なお、今回の再生産にあたって、車体のディテールが大きく違う王滝型No.15の説明は省かせて頂きましたので、こちらも併せて御参照ください。



第1回

1.何度も同じ車両の見本を作っていると、たまには変化を持たせてみたくなるもので、今回は軽い工作を加味して一部の窓を開けてみました。今回がB客は初めて、という方でも他人とはチョット違えてみたい、と思われたならば、トライしてみる価値はありますヨ!(^^)!
 開けたい窓のエッチングで凹んだ部分をヤスっていけば良いのですが、必要な工具は細かい目の三角ヤスリと平ヤスリだけです。
 四角い穴を開けるのだから角ヤスリで良いのでは?と思われるかも知れませんが、それではコーナー部分がピシッと直角が出ませんので、ぜひ三角ヤスリを使って下さい。
 写真のようにランナーに付いたままの状態で四隅を三角ヤスリで攻め込んでいき、その間を平ヤスリで均していきます。引き違い窓ですから半開きになる訳ですが、チョット開いた状態にしたいな、なんて欲張ったら結構面倒な工作になりますから、せいぜいこの程度にしておいたら如何でしょうか(^O^)。
 たったこれだけの工作で変化が出せるのですから、これはキットメークの特権ではないでしょうか?


2.下準備が出来たところで、ここからは普通の工作を始めます。王滝型の側板&妻板の窓下には飾り板が付きますので、エッチングで凹んだ部分をガイドに半田付けしていきます。その後に窓枠を裏側に半田付けして、床柱を半田付けします。
 その床柱の上に突き当てるようにして車体アングルを半田付けします。
 


3.側板と妻板とを組み合わせて箱状にしますが、組み合わせ方は「妻板の板厚が見える方向」で組み合わせます。箱状になったら車体上部の切欠きに填めるようにして天井板を半田付けします。これで結構シッカリしました。
 この状態でテスリを半田付けしますが、穴は恐らく半田で塞がってしまっているでしょうから、φ0.4のドリルで開け直しておいてからテスリを半田付けします。
 もしも助六型と王滝型とを並行して組み立てている方でしたら、テスリの長さが違いますので御注意ください。
 


4.屋根板を組み立てます。まず、裾の部分に雨樋を裾合わせで半田付けして、その後に妻板を屋根に填め込んで半田付けします。屋根のカーブと妻板のカーブが合わない時には、屋根のカーブを指で修正して合わせるようにして下さい。なお、エッチングの妻板は使いません。
 仕上げに裾部分を紙ヤスリの上で仕上げてから、妻板部分も同様に仕上げておきます。
 この屋根を車体の上に被せて(パッチンと被さると思います)車体側面中央部で表側から半田を流して固定します。結構シッカリと被さっていると思いますので、左右中央部だけでOKでしょう。
 


第2回

1.床板にボルスターを半田付けします。床板は比較的厚い板ですので、シッカリと熱を与えて固定しましょう。


2.台車枠のU字型のポケットに軸受をスライドさせながら填め込み半田付けします。切欠きの無い側のエアーホースはコックの少し先でカットしておきます。
 エアーホースはコックの先で折れやすいので注意しながら、写真のように曲げておきます。
 


3.台車中枠の湯口を綺麗にヤスって仕上げてからブレーキポストを半田付けしますが、ブレーキポスト下部に出ている位置決め用のピンは削っておいて下さい。


第3回

1.総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下塗りしてからMWC-02 黒で塗ります。台車は緑色なのでイイのでは?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、案外緑色というのは赤系のように透過性があるので、下塗りをしておいた方が好結果が得られるからです。
 車体は黒く塗ってから屋根の長さ53mmにカットしたテープでマスキングしてMWC-06 木曽の客車用レッドを塗り、テスリは黄色のプラカラーです。


2.B型客車の魅力は番号ごとにレタリングが異なる点ですので、これに悩むもの楽しみのひとつ。
 今回、助六型は唯一の白十字のNo.5に、王滝型は黄色い地に白川の標記がチャームポイントのNo.16にしてみました(^_-)-☆。
 レタリングはアルプスモデルのインレタ・木曽用AとCを使いますが、所属標記は製品に付属のディカールを使います。
 白川の文字は入っているのですが、流石に黄色の地は入っていませんので、何とかしなければならない訳で、どうしたものかと考えた末、当社の他の製品によく使われているストライプのディカールの余白部分を利用してみる事にしました。
 つまりディカールの上にディカールを貼る事になりますが、厚みなど全く気になりませんでした。木目が入っている側板に綺麗に塗装で仕上げる自信が無かったもので・・・。
 このような経験は初めてだったので、試しにアクリル系塗料とエナメル系塗料を筆塗りして、乾燥後にカッターで切ってみたところ、エナメル系は切れ目にヒビが入ってしまいNG。したがってアクリル塗料で塗った方を使いました。




3.台車やデッキ板はMWC-08 ダークグリーンで塗ってから1.4x2mm小頭ビスで組み立てます。軸穴はφ0.8ドリルでサラっておいて下さい。組み立ててみて車輪の回転がシブいようでしたら、軸穴を気持ち更にサラって様子をみます。


4.ドローバーをピンで、デッキ板をエポキシ系接着剤で止めて乾燥してから、ブレーキシューを接着しますが、その前にセンターピンを組み込んでおいて下さい。ドロ−バーのエアーホースは横から見た時にコックの先に連結しているように見えるように曲げておきます。
 


5.床板を車体に1.4x2mm大頭ビスで止めてから、センターピンを止めて出来上がりなのですが、折角窓を開けたのですから人形を乗せてみたくなるのが人情。
 作例ではKMCの林鉄人形を使ってみました。人形のように小さいものの塗装には保持方法で悩まされますが、今回は割り箸に木工用瞬間接着剤で止めて塗装をしました。
 結構シッカリと固定されるので落ち着いて塗装が出来るし、塗装後はもぐ感じで外せばOK。この方法は今後も使えるな!と思いました(^v^)。
 プライマーで下塗りをしてから、肌部分になるMWC-03 クリームで全体を塗ります。服はプラカラーのフィールドグレー(つまりドイツ兵と同じになります(^O^)。)でナッパ服の感じに仕上げ、ヘルメットは黄色です。
 塗り上がったらプラ用スプレーの艶消しクリヤーを全体に吹き付けてから、肌とヘルメットをクリヤーで筆塗りして出来上がりです。
 特に肌は光沢があった方が「生きてる感じ」が出ます(^_-)-☆。
 


6.車内のアングルの上に乗せるようにして(つまりアングルを床柱の上に半田付けしたような感じで)クリームに塗っておいた椅子をゴム系接着剤で止めてから(ドアー部分には椅子が無いので、片方に寄せるようにしましょう)、人形も同様にして乗せてやり出来上がりです。












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