キット組立講座

井笠のジ6・11



日車製の単端でありながらボンネットを取り去り、キャブオーバー型に改造されたこの気動車は、その独特のスタイルから一部のファンの間でも人気があり、それを受けての製品発売となったもの。
 確かに三次元の形になってみると(考えてみたら今まで写真や図面でしか見た事がない訳ですから、この「三次元で見る」というのは新鮮な喜びで、それが模型の楽しさでもある訳ですが)、キャブオーバーに改造されると同時に長くなったドアー前の部分がカッコよく、その人気度の高さも納得できました。
 そんな魅力あふれる日車改単端のカッコよさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まず、客室側板に窓枠を半田付けします。但し前側の窓枠は0.5mmほど削っておいて下さい。


2.次に後側の妻板の加工をします。コの字型に凹んだ下側の部分を1mm削っておいて下さい。ここには後ろのデッキが組み合わさりますので、仮に床板にデッキを1.4mmビスで止めて、これがスムースに入るよう、削る深さをチェックすると共に、削った部分の断面も若干テーパーにしておくと良いでしょう。


3.前後の妻板と側板とを組み合わせて半田付けします。前妻板の窓枠は鋳込み具合でバリがある場合は綺麗に仕上げておきましょう。


4.これに雨樋を半田付けしますが、まずドアー上の部分で半田付けしてから前後に伸ばしていき、前と後ろの中央部で合わせるようにします。設計上では1本の雨樋で賄えるはずだったのですが、鋳物の伸縮によりピッタリと合わせられなくなってしまいましたので、予備の1本も使って左右同様に半田付けをしていきます。この雨樋は側板よりも上に雨樋の半分が飛び出るようにセットします。


5.ここで屋根板を乗せてみて具合を見ます。もしも僅かに側板と屋根板との間に隙間があっても、恐らく雨樋で隠れてしまうのではないでしょうか?


6.ウインドウシルとヘッダーを半田付けします。ドアーの脇から半田付けをしていき、コーナーで折り曲げていくのですが、ドアーから後側の場合はピッタリの長さになりますが、前側は若干長めになっていますので、余った部分は最後にカットします。
 前のヒサシはエッチングで凹んだ側を内側にして折り曲げて、そこに半田を流して補強してから妻板に半田付けします。上下方向はウインドウヘッダーのすぐ下にヒサシの上がくるようにセットします。


7.ラジエター保護枠は上下同じようになるよう湯口からカットして妻板に半田付けをして、ヘッドライトケースも妻板に半田付けします。各々の窓には保護棒が付きますので、外観図を見ながら位置を決めて半田付けします。
 テスリやハンドルは別に塗装してから接着しますので、この段階では半田付けしません。


8.後ろのデッキに枠を半田付けします。枠は上下左右が対称ですので、特に向きに気を遣う必要はありません。これで上まわりの組み立ては完了しました。


第2回

1.下まわりの組立作業に移ります。まず、軸受のブレーキシューを左右各2個ずつ根元からカットします。この軸受やエアータンク、フロント側エンドビームを床板に半田付けします。ブレーキシューは外締めのスタイルになります。
 


2.ウェイトは赤く塗った部分3mmほどをカットしておきます。モーター取付板は1.4x2mmビスで止めておきます。
 


3.ギヤーフレームを歪みの無いように組み立てます。前後の取付板は床板と組み合わせてみて、支障の無いように前側はコーナーをカット、後側は幅を少しヤスっておきます。
 モーターのラグには半分の長さにカットした配線コードを半田付けして、集電シューも半田付けしておきます。
 


第3回

1.さて塗装にかかります。まず総てのパーツをMWC-53 MWプライマーで下塗りしてから、ボディーはMWC-13 井笠用イエローで、デッキはMWC-05 上運営林署DL用グレーで、屋根板はMWC-17 ウェザリンググレーで、その他はMWC-02 王滝営林署DL用ブラックで塗ります。ただ、黄色系は隠ぺい性が弱いので、一度ライトグレーで塗っておく方が良いでしょう。


2.ウインドウシルとヘッダーを含む窓まわりをマスキングしてMWC-14 井笠用グリーンで塗ります。これが乾いたらテスリやドアーハンドルをエポキシ系で接着しますが、乗務員ドアーのハンドルは前向きに、その他は下向きにセットします。ヘッドライトカバーは黒いプラカラーで塗り、内側も銀色に塗っておきます。


3.テスリは塗り分けラインに合わせて緑色を筆塗りします。ヘッドライトケースにリムとレンズを、屋根板もエポキシ系接着剤で止めます。


4.デッキは枠部分をマスキングして黒く塗り、これが乾いたらプラカラーの赤でテールライトの反射板を塗ってからレンズを接着しますが、レンズの足は少し短くカットしておいて下さい。


5.動力部分の組み立てです。まずギヤーフレームの軸箱が入る部分をカッターを使って塗装を剥がしてやります。それが済んだらモーターのプラス側を右側にセットしつつ1.4x2mm(小頭)ビス2本で仮止めして、集電シューをギヤーフレームに組み込みながら床板に1.4x2mm(大頭)ビス4本で止めます。


6.動輪は2種類ありますので、軸箱が可動式のものを前側に、普通の軸箱のものを後側にセットして、動輪押さえ板を1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。モーターの前後の軸受にオイルを差してから、ウォームギヤーをゼリー状瞬間接着剤で軸に止めますが、ウォームの中心がアイドラーギヤーの中心と合う程まで押し込みましょう。これは接着剤を付けるまえに予行演習をして感じを掴むと良いでしょう。大きなウエイトを2mmビスで床板に止め、小さなウェイトを重ねて接着しておいたものをモーターの上にゴム系で接着します。


7.ボディーには別売の「アルプスモデル製インレタ・井笠D」を使ってレタリングを転写し、若干フラットベースを混ぜたクリヤーでオーバーコートして艶を揃え、軽くウェザリングをします。屋根以外の部分はMWC-17 ウェザリンググレーで、屋根はMWC-05 上運営林署DL用グレーを使うと良いでしょう。最後にヘッドライトレンズにプラカラーのクリヤーを、テールライトレンズにはクレヤーレッドを差し、別売のサボを貼ってやるとグッと感じが出てきます。上下は1.4x3mmビスで止めて出来上がりです。












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