キット組立講座

加藤製3tDL



「酒井」と「加藤」。よく両横綱に例えられますが、日本を代表する内燃機車両メーカーであることに異論を唱える方は、まずいらっしゃらないでしょう。酒井は比較的スラッとしたサラブレッド派なのに対して、加藤はどちらかというと農耕馬的な武骨さが魅力。そんな加藤の魅力を最大限に再現すべく、模型化をしてみました。そんなところをこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まずボンネットの組み立てからです。とはいえ、このボンネットフードは細密なロストワックス一体型ですので、作業は簡単です。ラジエターの湯口を仕上げてからをボンネットフードの段差部に直角になるように留意して半田付けします。このようにロスト同士の半田付けには、ステンレス用フラックスを水で薄めて使うと、半田の流れが良くなるでしょう。写真のように小型万力を利用すると両手が使え、じっくり落ち着いて作業が出来ると思います。但し、ボンネットの後部ボスは下側を0.2mmほどヤスッておいて下さい。ボンネット枠はボンネットフード後部のボスを除いた部分から8mmの位置に、その後ろ側が来るように針などで印を付けて、直角に半田付けします。下側の枠はまだカットしません。
 


2.キャブ前妻板にもボンネット枠を半田付けしますが、枠の上部が窓下の角穴より0.3mm程度下に来るようにセットしましょう。半田付けをしたら写真右のように下面でカットしてヤスリで仕上げておきます。次は側板です。写真上は植田、下は利根です。植田はドアーの後ろ下の角が側板とそれと合う位置で半田付け、利根は0.5mmドアーが飛び出す位置で半田付けします。ドアーの穴をガイドにφ0.3ドリルで穴を開けてテスリを半田付けして、裏面はツライチに仕上げておきます。
 


3.利根の後部窓枠は開いた状態と閉じた状態の両方が入っていますので、選べるようになっています。但し、窓枠の基本は「右側が手前」です。運転座席の裏側にはエッチングヌキパーツの4mm幅のランナーを12mmに切り出して下面合わせで半田付けします。
 


4.前後左右の板を四角く組み立てますが、前後から見て、側板が見えない方向で組み合わせます。前妻板と側板は下面合わせで、後妻板とは上の角合わせになりますので、下側に0.8mm飛び出る形になります。そして、椅子を後妻板の下面合わせでシッカリと半田付けします。屋根板にはヘッドライトケースの足を差し込み、裏側でツライチに仕上げておきます。
 


5.キャブに屋根板を半田付けしますが、屋根の出っ張り具合は前後左右均等になるように留意しましょう。半田は前後妻板の上部だけ流せばOKでしょう。そして出来上がったキャブをボンネットと組み合わせて半田付けします。
 


第2回
1.次は下まわりです。まず主台枠の組み立てから始めます。写真のように側台枠を万力で咥えて、段差部分をガイドにエンドビームを直角に半田付けします。これを2回繰り返して出来たL字型のものを箱形に組み立てます。
 


2.軸受を半田付けして、ドアーレールを台枠の最上面&後部合わせで半田付けします。エンドビーム上の突起はエンジンスタート用クランク受。後部のものは不要ですので根っこから削り取っておきましょう。最後に前後の床板を段差部分を利用して半田付けしますが、幅方向にきつい場合は現物合わせでヤスッてピッタリと入るようにします。
 


3.ここで既に出来上がっている上まわりと組み合わせてみます。ボンネット枠はこの段階で下部をカットしますが、角度を修正しながら様子を見て少しづつ短くしていきましょう。




4.エンジンは写真で赤く塗った部分(後部のステイ)を根っこから斜め下に折り曲げて、そこの上部を水平にヤスリます。また排気管は斜め下を向くようにジワジワと曲げていきます。あと、モーター台も赤く塗った部分を斜めにヤスっておいて下さい。
 


5.ギヤーフレームは角型スペーサーを穴に差し込み垂直に半田付けしてから、前後のスペーサー板をホゾ組みで半田付けします。試しに動輪を組み込んでみて、軽く動輪が回るかどうかチェックしておきましょう。渋いようでしたら、歪んで組み立てられている証拠です。


6.配線コードは7cmの長さになっていますので、これを2.5cmと4.5cmにカットして、集電ブラシに半田付けします。モーター軸にはウォームギヤーを瞬間接着剤で止めた軸アダプターを瞬間接着剤で止めますが、モーターの軸受に接着剤が流れ込まないように充分注意しましょう。モーター軸への差し込み具合は、軸端よりもウォームギヤーの端が0.5mmほど出るように差し込みます。さて、これで塗装作業に入ります。


第3回
1.さあ塗装です。まずプライマーで下塗りをしたのちに、ギヤーフレームと動輪押え板、エンジンと砂箱、ウエイトとモーター台を「MWC-02 王滝営林署DL用ブラック」で塗ります。植田のボディーと台枠・計器盤はプライマーののちに白を塗ってから「MWC-12 重機用イエロー」を塗ります。黄色系の色は下塗りの色に左右されやすいので、当社の黄色は下塗りに白を塗った場合に最適なよう調合されています。利根はプライマーののちに「MWC-11 建設省グリーン」を塗ります。ともにキャブ前妻板のボンネット枠の内側・ヘッドライトケース・ラジエターを、そして利根はHゴム部分をプラカラーの艶消し黒で塗ります。この艶消し黒が乾いて艶が変わったら(まだ半乾きなはずです)、写真のように爪楊枝の先でラジエター保護棒の黒を剥がしていきます。実際にやってみると、面白いように作業が出来るでしょう。この技法はHゴムへの塗料がはみ出してしまった場合にも使えます。計器盤のメーター部分には白いプラカラーをやはり爪楊枝の先で置くように塗っておきます。ヘッドラートケースの内側には銀色を差しておきましょう。
 


2.黒く塗っておいたエンジンと砂箱は、セットに組み合わせるようにしながらボンネットの中に納めます。写真のようにエンジン前方上部に爪楊枝を差し込んでみて、エンジンが水平になればOKです。これを確認したら、ボンネット裏側の砂箱が位置する部分と、ラジエター後部のネジ穴がある四角い板部分にエポキシ系接着剤を塗って固定します。接着剤が乾くまで、また爪楊枝を差し込んでおくと良いでしょう。砂撒管は写真のように曲げてカットしておきます。最後にライトリム&レンズもエポキシ系で接着し、0.3mm厚の塩ビ板などで窓ガラスを切り出して接着します。植田の後部窓ガラスは0.2mm厚を使うと良いでしょう。


3.やはり黒く塗っておいたギヤーフレームの動輪軸箱が入るU字型の部分はカッターで塗料を剥がしておきます。アイドラーギヤーをプラ製アイドラー軸で止めますが、間に細かい部品が入りますので、なくさないように注意しましょう。集電ブラシ両端のポチっと出た部分は外側を向いていますか?Eリングで止めてみてギヤーの回転が固い場合には、ギヤーフレームが少し歪んで組み立ててしまった証拠ですので、アイドラーギヤーの側面をカッターで少しケズって対処しましょう。ヤスリですと摩擦熱でギヤーにバリが出てしまうので、ヤスリで削ってはダメです。


4.台枠にモーターを組み合わせます。間にモーター台を挟みながら1.4x4mmビスで止めますが、床板の長穴のちょうど真ん中あたりにセットすると良いでしょう。モーターは文字を前側(+端子は右側)にセットしておきます。動輪は2種類あり、ギヤーが厚い方が可動軸動輪です。動輪の軸箱にはオイルを僅かに差しておき、ギヤーフレームに組み込みますが、可動軸の方は前側になるように、しかも軸箱の向きに注意しましょう。ちゃんと動輪は上下方向に可動しますか?そうでなければ軸箱を回転させて、前後方向ではなく上下方向に可動するようにセットしましょう。集電シューは動輪の裏側を軽く擦っていますか?あまり強く当たらないように注意しましょう。動輪押さえ板は1.4x2mm小頭ビスで止めます。このギヤーボックスを1.4x1.4mmビスで床板に止めます。この段階でモーターを回してみて、ギヤーの噛み合わせが良いかを見ておきます。写真のように抵抗を間に入れて半田付けします。


5.上まわりとは運転席の下が1.4x2mmビスで、ラジエターの部分がウエイトを挟みながら1.4x8mmビスで止めて出来上がりです。
 



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