よもやま話

2023/12/31 モデルワーゲンにもあった中国大返し

もうじき2023年も終わろうとしていて、今年は創業30周年にあたる年でしたが、今まで無事に仕事を続けられたのも多くのお得意様方に支えられたからと肝に銘じて感謝しております。

その記念すべき年の瀬を迎え、この30年を振り返るのも良いかな?と思って筆をとっています。

「上芦別の9200」という蒸気機関車を皮切りに数えきれないほどの製品を発売してきましたが、ひとつの大きな節目となったのは2000年の乗工社の倒産でした。

それまで同社はナロー模型界において絶大な勢力を誇っており、社主の倉持尚弘さんからは「木曽には絶対に手を出すなよ。出したら酷い目に遭うからな」と言明されており、「その代わり蝦夷地だったら構わない」と云われておりました。

そのために夕張や留萌といった運炭鉄道の車両を製品化していたこともあって、その流れで浜中や問寒別といった簡易軌道の車両を発売していました。
しかし、2000年1月、同社の倒産が伝えられてからは、正に秀吉の「中国大返し」の忙しさでした。
それまでは「木曽には手を出すな」と脅されていた目の上のたんこぶが一挙に無くなったのですから、他社に先んじてこのジャンルの製品を押さえなければならないという気持ちで、寝る時間も惜しんで明け方まで次から次へと設計図を盛んに描いたものでした。

とりあえず、前年に「歌登のマイクロレールバス」として製品化したもののボディーを着せ替えて「木曽のモーターカー」として発売、将来に向けて北海道開拓の村で採寸してあった「夕張の酒井製10tボギーDL」を木曽仕様にして設計。
雪解けとともに開業した赤沢へ行き「木曽の理髪車」を、大町温泉郷に保存されていたB型客車や運材台車を採寸・設計。
結局、2000年に発売した7アイテムは総て木曽もの、2001年に発売した10アイテムのうち「蒲原のモハ11・12、庄内のモハ5」以外の9アイテムも総て木曽ものでした。
その中には大ベストセラーになりヴァージョンを8まで伸ばした「助六の酒井製5tDL」も含まれていました。

その後2008年のリーマンショックの時には廃業しようかと考えたほどに売り上げも落ち込みましたが、何とか耐えられたのはモデルワーゲンの製品を御愛顧頂いているお得意様方がいらっしゃったからだと思っております。

今年一年有難うございました。そして来年も宜しくお願い致します。良い年をお迎え下さい。
     (モデルワーゲンスタッフ:森川幸一・松井大和・湊山 修・右 甚五郎・安藤佐吉・後藤又兵衛)