奇天烈トロッコ
〜至高のナロー軌道43選〜
青森恒憲 著

Chapter-10 釜石トロッコ街道

日本の鉄道史を語るとき、最初が明治5年(1872年)の新橋〜横浜、つづいて明治7年(1874年)の大阪〜神戸がそれぞれ開業したというのは周知のとおりです。
ボクらが子供の頃、三番目に開業したのは明治13年(1880年)の札幌〜手宮で、かの有名な弁慶号や義経号が走ったと教わってきました。
ところが北海道で汽車が走り始める二か月前、工部省釜石鉱山鉄道という専用鉄道が開業しています。
その後すぐに廃止されたものの復活し、昭和40年(1965年)まで生きながらえていました。
近年では釜石鉱山鉄道を日本で三番目に開業と定義しているようです。
釜石鉱山鉄道は762mmゲージ、軽便規格の専用鉄道でトロッコとは異なります。
しかしこの鉄道が行き交った釜石〜大橋間には、近年までトロッコが活躍していましたから、まんざらトロッコと無縁という訳ではありません。
少々こじつけ気味ですが、今回は釜石のトロッコをご紹介いたしましょう。

まずは新日本製鐵釜石製鐵所です。
前述の釜石鉱山鉄道は鉄鉱石を製鉄所に運搬する目的で敷設されました。
そのため製鉄所内にも762mmゲージの線路が敷き詰められ、さらに釜石港へも延びて1980年代後半までトロッコが稼働していたのです。
国鉄の貨車も出入りするため、1067mmとの三線軌条となっている部分もあります。
また製鉄所から釜石港へ向けては、762mmと1067mmの単線複線という珍しい線路配置も見られました。
訪問当時、762mmの動力車はDC303という協三工業製30トン機だけ。
そして運用は全く不明。
大手会社の製鉄所ですので立ち入ろうにも手続きが面倒そうな状況でした。
ですので朝の早い時間帯にちょこっと立ち寄っただけです。
製鉄所から港へ通じる線路の踏切から、構内を観察するだけに留まりました。
DLが姿を見せたときにはエキサイトしましたが、残念ながら1067mmのDC212でガッカリ。
時間に余裕がなかったため、一時間足らずで退散しています。
もう少しネバっていれば…と後悔しております。

つづいて鉄鉱石が盛んに搬出されていた釜石鉱山新釜石鉱業所です。
国鉄釜石線の陸中大橋駅から徒歩20分くらいの所に鉱山事務所がありました。
アポなしでいきなり訪問したのですが、何ら問題もなくヘルメットを借りて立ち入っています。
新釜石鉱山軌道で主力として活躍していたのは15トンTLでした。
E151などの若番は昭和10年代製とのことですが、さほど旧さを感じません。
恐らく、度重なる車体更新が施されたのでしょう。他に小柄な6トンTLも居ました。
釜石鉱山では、主に鉄鉱石、銅鉱石、鉄銅鉱石を出鉱していました。
現在も操業している「仙人秘水」のHPによると、採掘現場は南北6km、東西2km、海抜150m〜980mにも及び、坑道の総延長は1000km以上もあったとされています。
30年ほど前に閉山し、軌道の多くは廃止されました。
しかし仙人秘水の産出にかかわる施設の維持管理や資材運搬のために軌道が残されているようです。
架線は撤去され、稼働するのはBLですが、バリバリの現役軌道ですね。
非常に興味深い存在です。

最後は日鉄鉱業大洞鉱業所です。
新釜石鉱業所の撮影を終え、釜石線で一駅移動。上有住駅近くの大洞鉱山を訪れました。
ここの軌道の存在も「どうやらあるらしい…」くらいの情報だったと思います。
当時の上有住駅からは石灰石列車が乗り入れる引き込み線があり、鉱業所のホッパーへと達していました。
出入するのは国鉄のホキ2100で、専用の小型DLも存在していたそうです。
「…そうです」と記したのは、そのような車両を見た記憶が全くないからです。
DD51が牽くホキ列車も見た覚えがありません。
納品先は新日鉄釜石だったようですから、製鉄に使われていたのでしょう。
駅から道をたどり、迷うこともなく軌道に巡り会えました。
釜石鉱山と同じ、762mmゲージの電化軌道です。
軌道は鉱業所から僅か300m程で坑内へと入っていました。TLはやや小ぶりの10トン機です。 外を走る区間が短いのは鉱山軌道ではよくあること。
僅かでもお天道様の下へ出てきてくれるのですから御の字です。
人知れず終焉を迎えたようですが、詳細については不明です。

今回ご紹介したエリアのように、トロッコが密集していた例は珍しくありませんでした。
ボクはこれら三ヶ所を一日で巡っています。
釜石を朝にスタートして新日鉄〜新釜石〜大洞と訪れ、この日は盛岡に泊まっていますからかなりの急ぎ足です。
それでもまあまあの収穫はありました。
賑やかだったトロッコ最盛期に戻りたいですね。



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02



1985.02





当社への御予約特典として、青森さんから素敵なポストカードのプレゼント(^^♪。
発売日まで掲載した写真の中から、3枚セットにしてプレゼントさせて頂きますのでお見逃しなく!




モデルワーゲンからもプレゼントを御用意することに致しました(^^♪。
というのはたまたま古いノートを引っ張り出したら、当時ボクがB5のノートに描いた駒形石灰と正田醤油の見取図を発見してしまいまして、もっと早く編集中に思い出せば良かったのですが、悔やんでももう印刷中(@_@)。
それならばせめて本と同じB5に両面印刷(表は見取図、裏は写真)したものを、各1枚当社からプレゼントさせて頂こうということにしました。
このようなことで書店販売分には入れられませんが、そこのところは何卒御容赦ください。



こちら