奇天烈トロッコ
〜至高のナロー軌道43選〜
青森恒憲 著

Chapter-7 奥多摩工業

前々回の尻屋と同じく、奥多摩のトロッコも地図で発見しました。
国土地理院5万分の1地図「氷川」を見ると、青梅線の終点奥多摩駅に隣接する奥多摩工業氷川工場から延びる「奥多摩工業曵鉄線」の記載があります。
山を貫く直線主体の線形で、そのほとんどがトンネルでした。
地図はED16の撮影用に購入したのですが、どうも曵鉄線というのが気になって仕方ありません。
地図によると、途中で四か所ほど鉄橋があるので近くの道路から確認することが出来そうなのですが、曵鉄というのが何者なのかも分からないので、先ずは氷川工場から攻めてみることにしました。
見学の依頼は手紙で出したと思います。
スムーズに許可をいただき、昭和52年4月に氷川工場を訪ねました。
曵鉄とは曳索鉄道の略で、簡潔に説明すると複線のケーブルカーが水平に走るようなものです。
軌道の真ん中にエンドレスロープが稼働して、鉱車はこれを掴んで走行します。
約5km先の日原とその先には膨大な石灰鉱床があり、曵鉄は石灰石を効率的に運搬する目的で敷設されました。
軌間は762mmで、点検や休日、営業時間以外を除いて延々とトロッコが走り続けます。
氷川工場では自動化された鉱車の動きを見ることが出来ました。
石灰石を積んだ鉱車がロープから離れ、側線に導かれてチップラーに入って回転して石灰石を降ろします。
空車となった鉱車は構内奥まで自走して転線し、ロープを掴んで日原へと向かってゆきました。
最初は面白いのですが、一時間も見ていると飽きてきます(笑) 
この路線は曵鉄氷川線と称し、氷川工場と日原鉱業所を結んでいるとのこと。
日原の先には、さらに奥へと延びる別の曵鉄線があるそうで、コチラにも興味を惹かれます。

ガラガラと動くトロッコが面白くて幾度か訪れました。
途中の鉄橋は立派な造作で、周囲の風景と相まってとても絵になります。
バスに乗ったり、ダンプをヒッチハイクしたりで日原へ行っていました。
或る日、日原鉱業所を散策していると、眼下に小さなヤードを発見。
よく見ると架線が張ってあります。
坑口にはTLらしき姿も見えました。
さすがにこの時は興奮Maxです。
しかしヤードは立入禁止として遮られているフェンスの向こうですから近寄ることが出来ません。
仕方なく退散し、後日正式に許可を得て出直しました。
日原鉱業所への立ち入りは、以前氷川工場内見学の際に案内していただいた方に電話で交渉したような記憶です。
日原鉱業所は正式には氷川鉱業所というのですが、所在地が日原ですし氷川工場と混同するのを避け、ボクは敢えて日原鉱業所と呼んでいます。
モチロン主目的はTLです。
しかし「もう1本の曵鉄」も見てみたいのが人情(笑) で、ついでに見ちゃいました。
こちらの曵鉄は日原鉱業所から三つ又鉱業所を結びます。
同じ762mmゲージでありながら、鉱車は氷川線のより大型でした。
驚いたのは曵鉄に並行し、架線が張られた軌道があったことです。
そしてE-82というナンバーのTLも居ました。
資材運搬等に使われているとのことですが、曵鉄が竣工する前には石灰石を運んでいたそうです。
その名残か、構内にはダンプガイドがありました。
待望のTLヤードは閑散としており、人っ子一人居ないといった感じ。
それもそうで、この軌道は既に運行を終えていました。
施設の点検などのため、辛うじて残されていたようです。
かつては石灰石運搬に活躍したTLが3両、パンタグラフを降ろして静かに眠っていました。
稼働はしていなかったのに、その姿は妙に印象的。
何かを語りかけてくれるようで、貴重な体験だったと思います。



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