地方私鉄の中枢駅を観察する(前編)


今回取材したのは、松本電鉄新村駅。全線の約3分の1の位置にあるこの駅には、電車庫や各種詰所といった中枢の機能を持った施設があります。また、ここの駅舎は筑摩鉄道として開業した時には本社として機能したこともあって、その名残が随所に残されています。
取材:平成15年11月5日 松本電鉄新村駅

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まずは駅舎から見ていきましょう。冒頭にも書きましたように、筑摩鉄道の名残が随所にあります。入り口上の稲妻は電鉄をイメージしたものだそうです。ホーム側から見ると単純な屋根も、表側から見ると凝った作りになっています。洗面所への床には廃車になった車輛の点検蓋が使われていました。


待合室を見てみましょう。ここも良くオリジナルを保っています。この駅に限りませんが、手小荷物扱い窓口だった部分は、ポスターの掲示場所になっています。今にも和装にテケテケ帽を被った紳士が入ってきそうですね。手作りの座布団には「新村駅」の名前が書かれていました。



それではホームを見にいきます。古枕木を並べた通路を渡ると島式ホームが見えてきます。ホームへの段差はバリヤフリーを意識してか、階段ではなく緩やかなスロープになっています。松本⇔新島々と書かれた標識は、他の松電の駅でも見受けられるもので、待合所の屋根の形状とマッチしていて、なかなか好ましいものです。ホームの端から松本方向を見ると、廃車になった5000系の向こうに、架線点検車が見えました。


電鉄の情景に欠かせないのが、この架線点検車です。レールと絶縁する必要があるので、材質は木で出来ています。細い角材で簡単に作れるのですから、是非とも模型で作って欲しくて、枚数を多く載せてみました。


かつて貨物ホームだった所には、保線関係のものが数多く置かれています。新品と交換したレール、転轍標識、新旧枕木などです。こういった小物が、レイアウトの雰囲気を盛り上げてくれるのは云うまでもありません。