キット組立講座

沼尻のDC103&仙北のDC103



前後非対称のロッド式DLというのはなかなか味わいのあるもので、この車両もそんな魅力にあふれています。
「沼尻のDC103」は仙北鉄道が廃止になってから譲り受けて自社で使用するようにカプラー高などの改造をしたものの、突然の廃止によって陽の目を見ることもなく廃車になってしまった悲運の機関車です。
 したがって走行中の雄姿を伝える写真も無いのですが、残されたモノクロ写真からはDC12と同じ色合いに見えますので、改造工事をしたあとで標準色に塗られたところまでは行っていたと推察しています。
 また、一方の「仙北のDC103」は沼尻に譲渡される前の状態を模型化したものですが、カプラーも高い位置にあり、塗装色も明るいことから全く違った印象を与えます。
 今後は仙北の車両も次々と発売していく予定ですので、こちらも楽しみにしていて下さい。
 そんな魅力あふれる「沼尻のDC103&仙北のDC103」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.最初にボンネットにラジエターを半田付けしますが、裾部分がツライチに合うように留意しましょう。その後で上部の点検ハッチを半田付け。そしてテスリやハンドルを半田付けします。
 基本的な工作の定石は「大きなものを先に付けてから小さなものを付ける」です。そうすると先に付けたものが半田付けの熱でポロっと取れてしまうのを防げるからでもあります。
 内側に出た足をニッパーでカットしておき、一応ガラスなどの上に置いた紙ヤスリの上で裾を仕上げておきましょう。



2.キャブの組み立てですが、その前に沼尻の場合は側板のドアー部分でマスキング用の型を取っておきます。仙北の場合は不要です。
 まず側板と妻板とを組み合わせて半田付けしますが、「妻板の板厚が見える向き」で組み合わせます。もちろん直角に留意して裾もツライチになるように注意しましょう。
 箱状になったら屋根板を乗せて半田付けしますが、これには向きがありますので要注意です。
 ヘッドライトケースの左右には小さな突起や穴がありますので、外観図と見比べてどちらがドアー側になるかを確認します。

 




3.箱になってシッカリしたところで、側板と妻板との合わせ目を平ヤスリで僅かに削ってRにします。この部分をプレスで表現すると、どうしても板厚Rになってしまい、それでは大袈裟になってしまうので、この方法を採っています。平ヤスリの後は目の細かい紙ヤスリで綺麗に仕上げておきましょう。
 次は側板の雨樋ですが、横雨樋をエッチングの凸部に沿わせるようにして半田付けして、縦雨樋はそれに突き当てるようにして窓枠の凸部に沿わせて半田付けします。この感じは外観図を御覧になれば分かると思います。

 


4.妻板に細かい部品を半田付けします。まずエッチングの凸部に沿わせるようにしてヒサシを半田付けしてから、中央部の穴をφ0.5mmドリルで一応サラっておきます。
 また、φ0.4ドリルでワイパーの穴も貫通するまで開けておきます。そしてワイパーはグッと奥まで差し込んで半田付けをしてから、ブレードが窓ガラスを拭えるようにクランク状に曲げておきます。
 そしてヘッドライトケースやハンドルを半田付けします。
 当社のキットにはこの小さなハンドルをよく使いますが、皆さんどのようにして半田付けをしていらっしゃいますか?
 ボクはこの場合だったら万力で屋根部分を挟み、左手に持ったピンセットでハンドルを摘まみ、右手で半田ゴテを持って作業しています。
 そうする事によって落ち着いて作業が出来ますし、出っ張り具合も均一に仕上げられます。これはボンネットや側板に付けるハンドルやテスリでも同じことが言えますので、参考になさって下さい。
 内側に出た足をニッパーでカットしておきます。

 


5.出来上がったキャブをボンネットとホゾ組に合わせて半田付けします。
 よくやるミスは妻板が平面になっていなくて、下から見た時に「ハの字」になっているケースです。
 このような状態でボンネットを付けると裾面のラインが一直線になりませんし、上から見た時も「くの字」になってしまいますので注意しましょう。
 これで上まわりは完成しました。



第2回
1.下まわりは床板の貼り合わせからです。貼り合わせた時に穴の位置はどうなるかを見極めましょう。φ2.1の目立つ穴はエアータンク用の穴です。前後左右が等間隔になるように留意します。
 その後でエンドビーム、側枠の順に半田付けをしていき、床下機器を半田付けします。各々の取り付けボスは極力短くカットしておき、位置決めができる程度に仕上げておきます。
 また、四隅のステップの座は砂箱と僅かに干渉しますので、斜めにヤスっておきます。
 ハンドブレーキテコの穴はφ0.5のドリルでサラっておき、ハンドブレーキ軸は全長18mmでカットしてから半田付けします。

 


2.次は上面の工作です。砂箱蓋やテールライトケース、握り棒を半田付けしますが、網目が半田で埋まらないように極力少量の半田でシッカリ付けます(特に握り棒)。
 砂箱蓋の向きには注意しましょう。内側がヒンジを表現した方で、僅かにコーナーにRが付いている方が外側です。



3.ギヤーフレームの組み立てです。まず左右のフレームを角型スペーサーで歪みのないように組み立てて、真ん中のスペーサー板を半田付けします。
 その後で前後のコの字型の部分を半田付けしますが、これは長短ありますので、写真をよく見て間違わないようにしましょう。
 そのコの字型の部分ですが、ギヤーフレームの奥まで差し込まず、長い方は1mm、短い方は1.5mm奥から引き出した位置で半田付けします。
 次にカプラー座と排障器を半田付けしますが、排障器の取付ボスは0.3mm程度までカットしておいてから穴に差し込み半田付けします。
 最後にブレーキテコを半田付けしますが、恐らく半田で埋まってしまっている穴をφ0.6のドリルで開け直しておきます。このテコは真上を向くようにセットします。ギヤーフレームの内側に出たボスはツライチに仕上げておき、動輪押さえ板と干渉しないようにします。

 




4.動輪押さえ板にブレーキシューを半田付けします。
 ギヤーフレームと床板とを組み合わせてみて、ハンドブレーキのロッドがギヤーフレームのテコに触っている事を確認しておきます。

 


5.前後のウェイトを1.4x4mmタッピングビスで固定します。
 ここでボディーと床板とを組み合わせてみます。恐らく縦雨樋が邪魔して合わせるのが難しいと思いますので、縦雨樋はキャブの裾で僅かに広げ、クランク状にしておきます。

 


第3回
1.塗装に掛かります。塗装する総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下塗りしてから、沼尻の上まわり・床板・カプラーはMWC-16 ダークブルーで、仙北の屋根はMWC-05 ライトグレーで、床板はMWC-20 ミディアムブルーで、その他はMWC-02 ディープブラックで塗ります。
 沼尻のカプラー前方の板部分・床板のエンドビーム〜側枠を、仙北の床板のエンドビーム〜側枠をマスキングしてブラックを、仙北の屋根は16x19mmにカットしたマスキングテープをセンターに貼ってMWC-20 ミディアムブルーで塗ります。

 


2.沼尻は最初に作っておいたマスキングテープをドアーに貼り、ドアーの縁や窓の縁や縦桟を白く塗ります。
 ドアーのHゴム部分はプラカラーの黒で仕上げておきます。
 ワイパー・ドアーハンドル・ヘッドライトケースの内側を銀色に塗り、銘板やナンバープレートを貼ります。
 沼尻の場合は別売のアルプスモデル製インレタ(磐梯急行社紋)を貼ります。
 この後で好みでMWC-10 フラットベースを加えたMWC-09 クリヤーでオーバーコートして艶を整え、ヘッドライトにはリム+レンズを、テールライトケースには中心のバリをカットしたテールライトレンズを接着します。
 ヘッドライトレンズにはプラカラーのクリヤーを、テールライトにはクリヤーレッドを差しておきます。

 


3.集電ブラシに半分にカットしておいた配線コードを半田付けします。
 サイドロッドの真ん中の穴にはネジ部分をカットしておいたクランクピンを半田付けして、裏側をツライチに仕上げておきます。

 


4.ギヤーフレームにアイドラーギヤーを差し込み、アイドラー軸・集電ブラシ・ワッシャを差し込みEリングで止めますが、ワッシャは平ヤスリで2/3程度まで厚みをヤスっておくとセットしやすいでしょう。
 アイドラー軸の頭は写真のように半月のように40%ぐらいをカットして、切り口も斜めに削いでおきます。
 振れ止めのピンの頭も出た部分をカットしておきます。
 ギヤーフレームは床板に1.4x1.4mmビスで止めます。
 サイドロッドをクランクピンで止めた動輪を組み込み、1.4x2mmビス(小頭)で止めます。
 砂撒き管は動輪の方に向け直しておきます。

 


5.モーター軸にはウォームギヤーを木工用瞬間接着剤で止めますが、写真の程度(1mmぐらい)間を空けるように留意します。
 モーターを床板に1.4x2mmビス(大頭)で止めますが、写真の向こう側のラグ板が+です。

 


6.ボディーと床板とは1.4x2mmビス(大頭)で止め、カプラーを1.4x4mmビスで止めて出来上がりです。

 
















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