キット組立講座

立山砂防の5tDLU*酒井製Tld-052&752




立山砂防軌道に於いて酒井製5tDLが導入されたのは昭和40年からで、それまでは松岡や加藤などのDLやGLをポイント的に使っていたものを、一挙に系統的に使うようになりました。
 その数は昭和45年までに11両の多きに至り、当初はラジエター上の1灯式だったものが様々な加工を施されるようになりました。
 その一例が今回のTld-052&Tld-752で、昭和53〜54年の間にまず「カニ目」タイプに改造されて、更にTld-052は昭和58〜60年の間に「寄り目」タイプに再改造されました。
 1灯式だったものを2灯式にして前方の視認性を高めるというのは理解できますが、なぜTld-052が再度改造されたのか興味が尽きません。
 そんな魅力あふれる「立山砂防のTld-052&Tld-752」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まずは下まわりの組み立てです。2枚の床板を写真のように前後左右均等になるように半田付けします。
 台枠には軸受を半田付けしますが、当てがってみてバネ受や両脇の部分が板から浮かないように修正してから半田付けしましょう。

 


2.この台枠を床板に垂直に半田付けしますが、台枠には左右ありますので注意して下さい。
 台枠上部のエッチングをガイドにステップを半田付けします。
 エンドビームにはカプラーやステップを半田付けしておき、これを床板に半田付けします。
 ここで握り棒を半田付けしますが、取付ボスはほんの僅かだけ(0.3mm)残してニッパーでカットし、ヤスリで仕上げてから半田付けします。

 


3.バッテリー箱のテスリは上部にあるタイプと前後にあるタイプがありましたので、どちらにも出来るようになっています。お好みに合わせてカットして仕上げておきましょう。塗装済完成品では写真のようなタイプで仕上げさせて頂きます。



4.ギヤーフレームは角型スペーサーをまず半田付けしてから前後の板スペーサーを半田付けしますが、その組み合わせ方はバラシ図を参考にして下さい。
 この部分は最後に組み上げる際に意外と力の加わる所ですので、特に後ろの板スペーサーにはシッカリと半田を流しておきましょう。



5.エンジンは若干の加工が必要です。まず、ミッションの両腕部分をニッパーでカットして写真のように仕上げ、中央部の凹み部分を斜めにヤスっておきます。
 このエンジンをギヤーフレームの前側の板スペーサーに接着します。
 モーターにはウォームギヤーを木工用瞬間接着剤で止めますが、写真のような深さになるようにして、これ以上には決してモーターとの隙間を開けないようにします。

 




第2回

1.前妻板にエッチングヌキの窓枠を半田付けします。窓にはヒンジの部分がありますので、切り落とさないように注意しましょう。
 また、両脇窓のヒンジは内側に付きます。いずれも開いた状態にも閉じた状態にも出来るようになっていますので、お好みに合わせてメイクアップして下さい。中央窓にはワイパーを半田付けしておきます。
 見本では中央窓のみを開いた状態にしてあり、塗装済完成品の盛夏仕様も同様に仕上げます。
 後妻板の裏側には上下止板を半田付けしておきますが、窓枠は塗装後に接着するので、この段階では半田付けしません。
 ドアーにはハンドルを半田付けしておき、裏側はツライチに仕上げておきます。このドアーの下部には突起がありますので、注意して下さい。
 この突起部分を側板の凹部分に充ててドアーを半田付けし、その上にはドアーレールを半田付けします。



2.これら4枚を箱状に組みますが、妻板の板厚が見える方向で組み合わせます。
 まず、後妻板と側板をコの字に組み合わせます。ドアーは側板より僅かに出っ張っているので、そこに充てるようにすればやりやすいでしょう。
 コの字型になったら前妻板を半田付けして歪みがないかを確認しておきます。いずれも裾合わせです。
 屋根板を半田付けしますが、前後均等に飛び出すのではなく、後方は妻板から1mm程度出るだけにします。最後にコンセントとヘッドライトケース、Tld-052は上部にテスリを、Tld-752は補助灯を半田付けします。コンセントは突起が0時と6時の位置になるようにします。

 


3.ボンネットの組み立てです。まずボンネットにラジエターを半田付けします。直角になるよう、しかもシッカリと半田を流しておきましょう。
 テスリの足は2/3ほどにカットしておき半田付け。更に砂箱ハッチや給油口、小テスリを半田付けします。



4.キャブとボンネットを裾合わせで組み合わせます。上や左右から見て、キャブに対してボンネットが直角になっている事を確認しておきます。
 最後に後妻板に雨樋を半田付けします。この時には窓枠をセロテープで仮止めしておくと良いでしょう。
 この雨樋は曲げたくないので最後に付けたのですが、塗装をするまで取り扱いには注意しましょう。



5.さて、ここで上下を組み合わせてみます。ラジエター下部のフックを床板に引っ掛けてから、キャブ下で1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。
 この段階で床板の右側に排気管を半田付けします。排気管の先がボンネットの穴に入るように留意します。

 


第3回

1.塗装作業です。まずMWC-53 MWプライマーで下塗りをしてから、上まわりと床板まわりをMWC-11 建設省グリーンで塗ります。
 床板まわりは握り棒をマスキングして、オイルクーラーともどもMWC-02 黒で塗ります。
 オイルクーラーはラジエター部分をマスキングしてMWC-11 建設省グリーンで塗ります。ギヤーフレームは黒く塗ります。
 消火器はMWC-15 赤で塗ってからハンドルの根元を銀に、ハンドルを黒のプラカラーで塗ります。別売の「アルプスモデル製インレタA」には消火器のラベルも入っていますので、それを貼ると良くなるでしょう。

 




2.Hゴム部には黒のプラカラーを差し、ヘッドライトの内側には銀色を塗ってからリムとレンズを接着。なお、Tld-752のヘッドライトケースは黄色ですので、プラカラーで先に塗っておきます。
 別に塗っておいたオイルクーラーとラジエター保護枠を接着しますが、その手順は下記のようにします。
 まず、オイルクーラーの裏側にエポキシ系接着剤を塗りラジエターの上に置きます。次に保護枠の取付腕の内側にも接着剤を塗りラジエターの裾合わせ(下に出っ張った足ではなく)で押し込みます。
 オイルクーラーには配管が出ていますので、その配管と保護枠の腕とが干渉しないように、接着剤が固まらない内に上下左右の隙間から爪楊枝などでオイルクーラーの位置を修正します。
 雨樋のキャブから下の部分は黒く、排気管のクランク状の先は銀色に塗っておきます。
 別に銀色に塗っておいた窓枠と消火器を接着して、「インレタA」を貼ってからMWC-09 クリヤーでオーバーコートして艶を整え、MWC-17 ウェザリンググレーで軽くお化粧してやります。
 建設省のマークが無い時代と、後に入った時代がありますが、このマークは「インレタC」に入っていますので、ご希望の方はそちらもお求め下さい。
 最後にライトレンズと消火器はクリヤーのプラカラーを塗っておき、プラ板などから切り出した窓ガラスを貼ります。
 立山砂防軌道では折り重なるスイッチバックのため、かつてはポイント転換手がデッキ上に立って乗っていました。今では自動化されていますが、この風物詩も再現したくて、作例では別売の林鉄人形を乗せてみることにしました。
 腕の高さを若干修正して、テスリと握り棒の位置に手が来るようにしておきました。

 


3.黒く塗ったギヤーフレームの動輪が入るU字部分は塗装を剥がしておき、半分にカットしたリード線を半田付けしておいた集電ブラシ挟みながら、アイドラーギヤーをバラシ図のように組み込みます。
 この時にリード線を半田付けした集電ブラシの部分が、ギヤーフレームに当たっていないかを確認して、もしも当たっているようでしたらクランク状に曲げておきます。



4.ここからは知恵の輪のように手順が重要になります。
 まず、モーターの+端子が右側になるように1.4x2mm(小頭)ビスで床板に止め、リード線を半田付けします。
 モーターの上面と屋根板の裏側はかなりギリギリですので、屋根裏には絶縁のためにマスキングテープを貼っておくと安心でしょう。
 次に床板とボディーとをキャブの下で1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。
 そして、ギヤーフレームを1.4x1.4mmビス4本で床板に止めて、動輪を組み込んでから動輪押さえ板を1.4x2mm(大頭)ビスで止めます。
 この動輪は2種類あり、軸箱が可動する方をラジエター側にセットします。また、その可動方向が上下になるように軸箱の向きを整えます。
 最後にウェイトを1.4x5mmビスで止めます。

 












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