キット組立講座


尾小屋のDC121


尾小屋と聞くと3両の気動車を連想される方も多いでしょうが、2両在籍したロッド式DLもなかなか魅力的な存在でした。
 その中でもこのDC121はSLからの改造機関車とは思えないような整った姿が魅力で、各部に曲線を使い、優美な姿に人気があったものです。
 当社ではこの機関車を組み立て易さ、塗装のしやすさ、という点にポイントを置いて設計してみました。
 そんな「DC121」の魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.上まわりは最初にボンネットにラジエターを裾合わせで半田付けしますが、1個のラジエターはキャップを綺麗に削り取って仕上げておきます。その後でハッチを半田付けします。
 次にラジエターキャップが付いたままのものに四角いコの字型の欠き取りがある妻板を、キャップを取り去ったボンネットに大きな穴の開いた妻板を半田付けします。そのあと、後者は下の細い部分をニッパーで切り取って仕上げておきます。

 

2.ボンネット側面の欠き取りのある部分に四角い板を半田付けしますが、小さな板はラジエターキャップがあるボンネットに、大きな板はキャップを撤去したボンネットに付けます。
 この時に注意することは、妻板とツライチになるように、そして前後左右から見て水平に、しかもボンネットの裾とラインが揃うように、ということです。
 その後でハンドルとテスリを半田付けしますが、「更新型」の方は塗り分けの手間を考えて、別に塗装をしておき、最後に接着した方が良いでしょう。
 この段階でウェイトを瞬間接着剤で着けておきます。非ラジエター側に1個、ラジエター側には1個着けてから出っ張った方を背中合わせの形で1個追加しておきます。

 


3.キャブ側板のドアー部分には、プレス加工の都合上から細い線が残っていますので、まずこれをニッパーでカットして綺麗に仕上げておきます。
 そしてドアーと窓枠を半田付けしてから、ハンドルとテスリを半田付けします。
 「原型」の妻板はそのままでOKですが、「更新型」の妻板にはHゴムの窓枠を半田付けして、ワイパーも付けておきます。


4.この側板と妻板とをまずLの字に組み合わせてから、それを組み合わせて箱状にします。組み合わせ方は「側板の板厚が見える方法で」裾合わせです。
 また、側板のドアーがある方に、妻板の大きな欠き取りがあるものを組み合わせます。


5.屋根板にはヘッドライトケースを半田付けして、その面を綺麗に仕上げておきます。
 これを出来上がったキャブに乗せてみましょう。この製品では屋根板を一体で別構造にする事によって、複雑な塗り分けの手間を省く配慮がなされていますので、この屋根板は塗装後に接着します。
 したがって、この段階では、ピッチリとフィットするかどうかの確認のみです。綺麗に四角くキャブが組み上がっていて、ヘッドライトを半田付けした部分が綺麗に仕上がっていれば、特に修正することなくフィットするはずです。

 

6.縦雨樋を付けます。直線状の雨樋はキャブ側板に、折れ曲がった雨樋は妻板に付けます。
 手順としては割ピンの足を1mmほどにカットして2個ともキャブに差し込み、そこに雨樋を通してゆき、屋根の四隅の下がった部分(つまりキャブの四隅の下がった部分)とツライチになる位置で、雨樋と割ピンとをチョンと半田付けします。
 それから割ピンの足をキャブ内側で半田付けします。
 言葉にすると複雑そうですが、実際にやってみると手順がお分かりになると思います。
 さて、これで上まわりの工作が終わりましたので、試しにボンネットをキャブに1.4x2mm(小頭ビス)で止めてみて、その継ぎ目に隙間が無いか、歪んでいないか、などを確認しておきましょう。
 この状態で屋根を乗せるとグッと雰囲気が出てきますネ(^^♪。
 ナンバープレートと製造銘板はキットに入っていますが、クリーム地に文字や数字を赤く塗るのは難しいですので、別売の「アルプスモデル製、尾小屋インレタ(D)」をあっさり使われると良いでしょう。

 

第2回
1.次はギヤーフレームの組み立てです。まず最初に2個あるフレーム取付板のうち、側面に穴の無い方のものの下部を写真のようにカットして仕上げておきます。
 そして角型スペーサーをギヤーフレームの垂直に半田付けしてから、この取付板を水平に半田付けします。側面に穴がある取付板はギヤーフレームの上に突起がある側になります。
 完成してからの走行に影響してきますので、この工程は歪みが無いように慎重にやりましょう。
 「スーパートータルキット」はこの項目は完了していますので、2番から工作を始めて下さい。

 


2.サイドロッドの真ん中の穴にクランクピンを半田付けして、裏側に出たネジの部分をツライチに仕上げておきます。
 また、六角の中心部には製造上ちいさな突起がありますので、これも6個全部を平らに仕上げておきましょう。
 バラシ図を見ながら動輪とサイドロッドを組み立て、アイドラーギヤーをギヤーフレームに組み込み(集電ブラシやワッシャ、Eリングは不要でしょう)、動輪押さえ板を1.4x2mm(大頭)ビスで止めて、ストレスなく転がるかをチェックしておきます。
 なお、動輪は左右絶縁ですので、方向性はありませんので、最後までサイドロッドを付けた状態で保管しておきましょう。
 


3.ギヤーフレーム側面にブレーキシリンダーを半田付けして、そこに組み合わさるようにテコを半田付けしますが、各々の足は短くカットしておき、半田付けをしたらギヤーフレームの内側はツライチに仕上げておきましょう。
 その後で排障器を端から2mmの位置に前端がくるように半田付けします。微妙に左右の違いがありますので、間違わないようにしましょう
 動輪押さえ板にはブレーキシューを半田付けしますが、向きには注意しましょう。

 



第3回
1.床板まわりの組み立てです。まず上床板と下床板とを組み合わせて、外周で半田付けします。段差が出来るはずですから、その部分を綺麗に仕上げておきます。
 そしてエンドビームをその段差部分に垂直に半田付けします。その後で床板側板をやはり段差部分に半田付けします。
 次に砂箱ハッチを「ヒンジが奥になるように」半田付けしますが、無用に長い足は事前に短くカットしておきましょう。そのあとテスリを垂直に半田付けします。

 

2.床板の四隅にステップを半田付けして、ほぼ中央部にはエアータンクを半田付けしますが、エアータンクの両端の凹部は0.5mmのドリルで少しサラっておきます。エアータンクの足は床板から上に出ないように仕上げておきましょう。
 外観図やバラシ図を見ながら、配管受を床板に半田付けしてから各配管を、そしてチリコシを半田付けします。
 冷却管の先はギヤーフレームの方に向けて直角に折りますが、仮にギヤーフレームを組み合わせてみて「どこで曲げたら穴に入るか」を確認しながら曲げます。

 

3.ここまで行ったらエンドビームにスノウプロウ取付ボルトを裏側から半田付けして、先端部を0.3mmほどまで削っておきます。
 その後でテールライトケースを表側から差し込み半田付けして、カプラーを半田付けします。
 モーター台を床板に1.4x2mmビス(大頭)で固定しますが、このモーター台は僅かに直角度が足りませんので、ビス側に指でグッと押しておき、これで塗装に移ります。


第4回
1.まず全体をMWC-53 MWプライマーで下処理してから、ギヤーフレームをMWC-02 黒で、ボディーや「更新型」のボンネットテスリ・床板はMWC-03 クリームで塗ります。
 そして外観図を良く見ながら、ボンネットをマスキングして、屋根や床板と共にMWC-15 朱色を塗ります。
 なぜ屋根や床板を一旦クリームに塗るのかという理由は、赤系の塗料は透過性があるため、あとはボンネットと同じ工程を踏むことによって、色味を揃えられるからでもあります。
「原型」のボンネットはテスリの下でマスキング、「更新型」はテスリ用穴の上でマスキングして朱色に塗ります。
 つまり「原型」のボンネットテスリは朱色、「更新型」のはクリーム色という事になり、乾燥したらテスリを接着します。
 屋根を赤く塗り終えたら、ヘッドライトケースの内側に銀色を差してからリム&レンズを接着しておきます。
 

2.「更新型」のHゴム部には黒いプラカラーを差しておき、ボンネットとキャブを1.4x2mmビス(小頭)で固定します。その時にはキャブの窓からドライバーを差し込むとやりやすいでしょう。
 その後で屋根をキャブに、内側の四隅と側面の接合部でエポキシ系を使い接着しますが、窓ガラスを貼ったときに浮かないように留意しましょう。
 ボンネットとキャブを、キャブと屋根を分割にする事によって、マスキングの面倒さが全く無かったのではないでしょうか?

3.写真をよく見ながらインレタを転写してから、全体をMWC-10 フラットベースを好みで加えたMWC-09 クリヤーで艶を整え、MWC-17 ウェザリンググレーで軽くお化粧してやると、グッと活きた感じになります。
 プラ板で窓ガラスを切り出して貼り、レンズにはプラカラーのクリヤーを差しておきます。


 

4.全体が朱色になっている床板まわりについてですが、側面とエンドビームから上をマスキングして、黒く塗ります。床板の穴は塞いでおきましょう。
 カプラーの太くなった根元は朱色ですが、細くくびれた部分から先は黒です。
 床板周りもMWC-10 フラットベースを好みで加えたMWC-09 クリヤーで艶を整え、プラカラーの黒を極く薄く溶いたものや、MWC-17 ウェザリンググレーで軽くお化粧してやると、グッと活きた感じになります。
 テールレンズにはプラカラーのクリヤーレッドを差しておきます。

 


第5回
1.モーターにはウォームギヤーをゼリー状瞬間接着剤で止めますが、写真のような深さにするようにしましょう。
 集電ブラシは半分の長さにカットした配線コードを写真のように半田付けます。

 

2.台枠の動輪の軸箱が入る部分の塗装はカッターで削いでおき(Uの字の内側のみならずヘリの部分の内外も)、バラシ図を見ながらシャフトの違いに留意しながらアイドラーギヤーなどを組み込みます。
 集電ブラシが付くアイドラーワッシャはCの字にカッターでカットしておき、振れ止めピントの干渉を避けます。またそのシャフトの頭も少しCの字にカットしておきます。
 アイドラーギヤーの大きさは、上から小・大・中(集電ブラシの所)です。
 動輪は両絶縁ですから方向性はありませんので、ワッシャをサイドロッドの前後に挟んだクランクピンを付属のレンチでねじ込み台枠に組み込みますが、ギヤーの噛み合わせ具合でクランクピンの位置が変わってしまいますので、3軸ともビス穴の位置が合うように留意しましょう。。
 なお、第二動輪のクランク部分の出っ張りは、あらかじめ可能な限りヤスっておいて下さい。直線では良いのですが、カーブに来たときにこの部分がロッドと当たってストレスになる可能性もありますので。
 動輪押さえ板は1.4x2mmビス(大頭)で止めます。



3.それを床板に1.4x2mmビス(大頭)で止めます。モーターはプラス端子が冷却管側になるようにセットして、床板に1.4x2mmビス(大頭)で止めますが、僅かに上下に調整して、ギヤーの噛み合わせが一番良い場所を見つけて下さい。
 集電ブラシの配線は床板の小穴にリード線を通します。モーターの端子にリード線を半田付けして、最後に上まわりと床板とを1.4x3mmビスで止めて出来あがりです。

 







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