歌登の泰和製自走客車Ⅱ
この自走客車の最大のチャームポイントは前面に集約されています。
グッと前に突き出した大きなスノウプロウは道北の簡易軌道をイメージさせ、更にオヘソの補助灯や裾の標識灯が更に極寒の地で働く車両の印象を強く我々に与えてくれます。
さらに側面に目を転じれば、正式に採用された泰和製末期の新型台車枠や、バス窓に掲げられた行先表示幕も良い雰囲気を出しています。
そんな自走客車の楽しさをこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。
第１回
１．まず、側板にドアーを半田付けしてから前面を半田付けしますが、まず両サイドの裾でチョンと半田付けをしてから、屋根裏にタップリと半田を流して止めます。場合によっては思い切って表側から半田を流して継ぎ目も消すようにします。前面の裾は側板のラインと揃うようにヤスって仕上げておきます。
２．上下止めアングルを半田付けしますが、アングルが下を向くようにして、ドアーで下に下がっていない車体裾と合うような位置にセットします。
３．エンドビームにはスノウプロウを半田付けして、補助灯や標識灯も半田付けしますが、補助灯は正面を向くように注意深くステイを曲げます。
ベンチレーターを瞬間接着剤で止めて、上まわりは出来上がりです。ワイパーやヘッドライトリム・レンズ、ドアーテスリは塗装後に接着するので、準備としてテスリ用穴はφ0.5ドリルでサラっておきます。
第２回
１．床板の付随台車用ボルスターを半田付けします。傾かないように注意しましょう。床下取付板台も半田付けしますが、いずれもネジ穴に半田が流れ込むのを恐れず、シッカリと半田は流しておきましょう。
２．ギヤーボックスを組み立てます。まず側板に角型スペーサーを半田付けして（垂直になるように留意）、スペーサー板を挟みながら左右を歪みなく組み合わせます。この段階で動輪を組み込んで動輪押さえ板で仮止めして、動輪の軸箱が上下にガタが無いかをチェックします。もしもガタがある場合にはギヤーボックス下面を僅かにヤスって、ガタが無くなるようにします。但し、ヤスり過ぎには注意しましょう。軸箱に負荷が掛り動きが悪くなりますので。モーター軸の入る穴は左右に若干ヤスっておき、ウォームギヤーが入りやすいようにしておきましょう。
３．付随台車（ネジ穴のある方）の軸穴には軸受メタルを半田付けしますが、メタルの先っぽにバリがある場合はヤスっておいて下さい。
４．床下機器を取付板に止めますが、2本あるコックは半田付けしますが、それ以外は瞬間接着剤でOKでしょう。その順番としては、まずエンジン・ラジエターの順に付けてから、他の機器を止めていきます。なお、ラジエターのシャフトは短くカットして、出来るだけエンジンに寄せるようにして下さい。
第３回
１．全体をMWC-53のMWプライマーで下塗りしたあと、床板から下はMWC-02ブラックで塗ってから、MWC-09クリヤーで艶を整えて、MWC-17ウェザリンググレーで軽くお化粧をしておきます。
ボディーはMWC-03 クリームを全体に塗ってからMWC-15 レッドを塗るのですが、写真のように説明書の上にプラ板をセロテープで止め、その上にマスキングテープを貼り付けてラインに沿って切り出せば、簡単にマスキングができます。その際に白い帯の部分もマスキングするようにすると、帯の発色が良くなるでしょう。オヘソのライト部を逃げる穴を忘れずに(^O^)。
２．正面上部のカーブも同様にマスキングテープを作り、雨樋の上までマスキングをしてMWC-05 ライトグレーを塗ります。Hゴム窓部分にはエナメル塗料のグレーを塗ります（お客様の作品を見ると、板厚の部分を塗り残している方がいらっしゃいますが、これは間違い(^^ゞ。Hゴムですから板厚の部分もグレーに塗っておきます）。
ワイパーはあらかじめブレードの部分を直角に曲げておき、穴に差し込んでから根元を直角に曲げます。各ライトケースの内側はエナメル塗料の銀色を、補助灯の外側だけは黒く塗っておき、ヘッドライトと補助灯にはライトリム＆レンズを接着します。
白い帯はディカールですので、水に浸して転写してから、マークソフターなどで密着させてやります。
運転席脇の窓枠は妻板と接する窓柱を凹んだ位置までの幅に削っておいて下さい。客室窓もゴム系接着剤で車体に止めて、ドアーテスリも接着します。
３．MWC-09クリヤーで全体の艶を整え、MWC-17ウェザリンググレーで軽くお化粧をしておきます。
ヘッドライトレンズにはプラカラーのクリヤーを、下側の標識灯の凹んだ部分にはエポキシ系接着剤を極く少量垂らしてレンズとして、クリヤーレッドを塗っておくと良いでしょう。窓ガラスをプラ板などから切り出して接着しますが、正面は別売のアクリル製窓ガラスを使うと前後の表情が良くなるでしょう。 最後にデフロスターを正面窓ガラスの内側にランナー部で接着しますが、アクリル製窓ガラスを使う場合には、あらかじめ貼り付けておくと良いでしょう。
床板にはウェイトを1.4x4mmビスで床板に止め、床下機器ユニットを1.4x2mmビス（小頭）で止めます。
第４回
１．さて、最終組立です。ギヤーボックスにアイドラーギヤーをプラシャフトで止め、バラシ図を見ながら1.4x3mmビスで集電ブラシと台車枠を止めますが、ギヤーボックスの動輪軸箱が入るUの字型の部分の塗装は剥がしておきましょう。また、集電ブラシの向きは間違えないように注意しましょう。
２．モーターの軸受にはオイルを差しておき、軸の先端に僅かなゼリー状瞬間接着剤を塗って固定します。ゼリー状を使う理由は、普通の瞬間接着剤よりも僅かに硬化時間が長いためで、差し込んでいる間に硬化せずに作業が出来るからです。またその先には同様にしてウォームギヤーを固定します。 ギヤーボックスにはクランク状のボルスターを段付きビスで止めておき、モーターを1.4x2mm大頭ビスで仮止めしますが、マシマのラベルがボルスターと反対側になるように留意しましょう。動輪を組み込んでみてギヤーの噛み合わせが最適な位置を見つけてからこのビスを本止めします。動輪押さえ板は1.4x2mm小頭ビスで止めます。
配線コードは24cmありますので、まずそれを半分にカットして、更に35mmと85mmにカットします。短い方のコードを集電ブラシとモーターラグに半田付けします。
３．付随台車はバラシ図を見ながら1.4x3mmビスで組み立てますが、台車枠の軸受部分はφ1.1mmのドリルで揉んで塗装を剥がしておきましょう。
動力台車のボルスターは1.4x2mm小頭ビスで床板に止め、コイルスプリングを挟んだセンターピンで付随台車を止めてから、長い方のコードで配線をします。
４．プラ板などで作った窓ガラスを貼ってから、側面のHゴム窓には行先表示をこの説明書から切り出して貼りますが、上下に少し糊シロをとっておくように切り出しましょう。見本では文字のセンターから上に3mm、下に2mmの位置でカットして糊シロとしました。ボディーと床板を1.4x2mm大頭ビスで止めて出来上がりです！
