キット組立講座

木曽の酒井製4.1tGL



当社では今まで様々な酒井製小型DLやGLを製品化してきましたが、この機関車たちはその基礎となったものです。
 どの世界でも模範から始まり、それが進化して独自の世界を構築していくものですが、この4.1tGLも米国プリマウス社製GLのデッドコピー、と云っても間違いのないような代物でした。
 ただ、主台枠に陽刻された「井カサ」や「SAKAI WORKS」のみが酒井製であることを誇示するかのようですが・・・。
 そのような黎明期の小型GLは国産機のような輸入機のような妙なアンバランスさが魅力で、ディープなファンもいらっしゃるほどです。
 そんな今回の4.1tGL。今まで当社製5tDLを組み立てた事がある方でしたら何ら迷うことなく組み立てられますし、そうでない方でも工作は組み立てやすく、しかもディテール豊かに再現するべく模型化をしましたので、そこいら辺をこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まず、ボンネットにラジエターグリルを半田付けします。その後にハッチを半田付けしますが、足は極力短くカットしておきましょう。
 


2.その後で小物を半田付けしていくのですが、4個も付く砂箱ハッチをまっすぐに付けるのは意外と難しいのではないでしょうか?そこでヒント。砂箱ハッチをまっすぐにセットしたら写真のようにセロハンテープで固定して裏側から半田付けすると良いでしょう。熱によってテープの粘着剤がベトベトになったらシンナーで拭っておけばOKです。
 ボンネットサイドの留め具は、各々のハッチ部で逆ハの字になるように半田付けしましょう。
 細かいパーツを半田付けしたら、ウェイトを填めてみて、写真のように納まるかどうかを確認しておきます。
 



3.キャブの組み立てです。まず、前妻板に写真のように指で曲げたヒサシと窓枠を半田付けします。後妻板には窓枠を填め込み半田付けします。
 これらを側板の内側に填め込み、ツライチになるように半田付けをします。
 


4.上屋根板や雨樋、ヘッドライトケースを半田付けしますが、雨樋はエッチングで凸表現された位置に半田付けをします。
 ドアーには縁板を半田付けしますが、まずドアーの外側に上下の縁板を半田付けした後に左右の縁板を半田付けすると良いでしょう。ハンドルも半田付けしたら、裏側をツライチにヤスって仕上げておきます。
 


5.このドアーを側板に半田付けしますが、ドアーの下面が側板の下面と合うように留意しましょう。
 後ろの窓枠のレール部にはガラス窓枠を填め込みますが、現物合わせで入るように上下を仕上げてやりましょう。好みの位置が決まったら固定しますが、このガラス窓枠の固定は瞬間接着剤で良いでしょう。なお、塗装済完成品での後部窓枠は閉じた状態とさせて頂きます。
 


6.ボンネットとキャブとを組み合わせて半田付けします。左右をよく見て、ボンネットの裾がキャブの裾から出る量が左右均等になるよう注意して下さい。
 ラジエター保護枠はこの段階で半田付けしますが、ラジエターとの隙間はとらずに接するように半田付けをすると良いでしょう。最後にウェイトを差し込んで瞬間接着剤で止めておきます。


第2回

1.台枠の組み立てです。まず主台枠に軸箱を填め込んで半田付けします。次にエンドビームの小穴に付属の真鍮線を差し込んで半田付けし、穴を塞ぐように仕上げておきます。また、2個あるうちの1個は、エンジン始動用軸受部をカプラー装着部の上の一段上がったところでヤスリ取っておきます。これが後部のエンドビームになります。
 


2.この主台枠を万力に咥えてエンドビームを半田付けしますが、上下方向や垂直度などに注意して、正確にLの字になるようにしましょう。エンドビームにエンジン始動用軸受部がある方が主台枠の文字側になります。Lの字が2個出来たら、今度は箱状にしますが、ここでも歪みがないように留意して下さい。
 前後の床板を填め込んで半田付けしますが、ロストワックスの伸び縮みでの誤差がありますので、ピッタリと填まるよう現物合わせで調整して下さい。また、後ろの床板の向きは、穴が前に寄るように留意しましょう。
 


3.ギヤーフレームは写真のような手順で組み立てていきますが、歪みのないように注意して下さい。


4.さて、これで主な半田付け作業はおわりました。この段階で上周りと下周りとを組み合わせてみましょう。だいぶ感じが出てきましたネ(^_-)。


第3回

1.塗装に移ります。この機関車は塗り分けが無いので、とても気が楽です!ラジエターのコアーは黒くなくても良いの?と思われるかも知れませんが、このようなダークグリーンで(作例の写真は判りやすくするために、敢えて明るく写しています)、しかも保護枠の向こう側にあるコアーは別に塗り分けなくても目立たないものです。
 ギヤーフレーム・動輪押さえ板・カプラー・モーター台・ウェイトはMWC-02 黒で塗り、その他は総てMWC-08 濃い緑で塗ります。塗り上げたらヘッドライトケースの内側をプラカラーの銀で塗っておき、リムとレンズをエポキシ系接着剤で止めます。
「井カサ台枠」はNo.30〜35、「SAKAIWORKS台枠」No.37〜40に相当しますので、ナンバーを入れたくなるのが人情。ただ、当時の番号は少し大きめだったようですので、作例では「アルプスモデル製木曽森林(A)」から「No.部分」、「井笠(A)」から「数字」のインレタをチョイスしてみました。
 ドアーの奥のような転写しにくい場所の場合は、クリヤーディカールに転写して、それを水貼りすると気持ちがグッと楽になります。クリヤーディカールは当社の様々な製品に付属しているものの余白部を利用すると良いでしょう。
 塗装の仕上げにMWC-09 クリヤーに僅かなMWC-10 フラットベースを混ぜたもので艶を整え、MWC-17 ウェザリンググレーを薄く溶いたものを吹き付けておきます。ウェザリングとは何も汚すだけではありません。云わばスッピンの美人を軽いお化粧によって美しさを引き立てさせるような作業だとお考えください。当社でいつもやっている方法は、車体の下方からサッと、屋根からボンネットにかけてサッと吹き付けています。こうする事によって、ディテールが浮き立つのが判るはずです。


2.ウォームギヤーを瞬間接着剤で止めたアダプターをモーターの軸に瞬間接着剤で止めますが、写真のように隙間と出っ張りが同じようになる位置で固定します。なお、このような作業には硬化時間が比較的長い「木工用(ゼリー状)瞬間接着剤」がお勧めです。
 ギヤーボックスと台枠・モーターを組み合わせます。ギヤーの噛み合わせを調整しながらモーターは1.4x4mmビスで止めますが、その際に動輪押さえ板を一旦外すとやり易いでしょう。モーターの+端子は左側にセットしておき、写真のように集電ブラシと平行に配線します。
 また、ギヤーフレームと台枠前方床板との穴は出来るだけ合致するようにして、モーターの位置を調整して下さい。
 カプラーは台枠の下から2段目のスリットにセットしてから、上からピンを差し込んで下に出っ張った部分をエポキシ系接着剤で固定します。
 


3.窓ガラスをプラ板などで切り出して貼り、最後にヘッドライトレンズにプラカラーのクリヤーを差して画竜点睛としますが、乾くと若干縮みますので、乾かしては塗りを3回ほどやると、まさに生きたレンズになります。
 上まわりとは台枠用ウエイトを挟んで1.4x5mm大頭ビスで止めて出来上がりです。













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