キット組立講座

木曽の酒井製10tボギーDLU



本機は林鉄に絶対的なシェアーを持つサカイが精力を注ぎこんで開発した機関車たちのひとつです。
 酒井のボギーDLにはいくつかのタイプがあり、F型と呼ばれていました。最初に製造されたF1型は試作的要素の強いもので、実際に林鉄に供用して様々なデータを収集する目的で製造されました。
 以後、改良を重ねてF5までヴァージョンを重ねた訳ですが、最後に木曽に導入されたのが本機F4型No.136でした。

本機はボギー駆動ゆえのメカニズム故障にずいぶんと悩まされたようですが、それでも本線の運材列車や旅客用列車に時々使用されていたようで、その雄姿は様々な写真に記録されています。
 また現在では、赤沢の森林鉄道博物館に綺麗な状態で保存されており、いかにこの機関車が貴重な存在であったかが伺われます。
 他に、北海道は芦別森林鉄道の同型機(但し、屋根上に水タンクがある)も、札幌市の「北海道開拓の村」に保存されています。

そんなボギーDLの魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まず最初に側板にメッシュを半田付けします。その後に前後端部を突き合わせて半田付けします。


2.次にボディー床板を半田付けしますが、前後のデッキ部分の上面とツライチになるような高さにセットします。


3.箱状になったら前面を半田付けします。このようなロストワックスの半田付けには、ステンレス用フラックスを水で薄く溶いたものを使うと良いでしょう。また半田付けする部分はワイヤーブラシなどで磨いておくと(どうしても鋳物の場合は表面が酸化していて、半田が流れにくいので)、より流れやすくなるでしょう。


4.デッキにテスリを半田付けしますが、最初に中央部を下から差し込んで床板に半田付けし、次に上部のテスリ(床板の下から差し込んで折り曲げ角度の微調整をしておいて下さい)を上から差し込んで半田付けします。これらの接点はイモ付けになりますので、塗装後何かの拍子に外れ易いもの。トータルキットには銀入半田を少量入れておきましたので、この部分だけはこの半田で半田付けしてみて下さい。フラックスは普通のものでOKです。半田に銀が入ることによって、普通の半田よりも強固になります。
 カプラーやエアーホース、窓枠やワイパー、ヘッドライトケースを半田付けしますが、窓枠は前面が単体の時点で付けておいた方がやりやすかったかも知れません。また、ヘッドライトケースも勢いで半田付けしてしまいましたが、マスキングの手間を考慮して、塗装後に接着した方が良さそう、と考え直して、この撮影の後で外してしまいました(^^ゞ。
 正面の窓枠は写真のように少し開いた位置で半田付けをすると、動きが出て良いでしょう。
 


5.屋根上に通風ハッチや排気管を半田付けして、ボディーまわりの工作は完了です。通風ハッチは写真のように少し開いた状態にすると良いでしょう。また、排気管は垂直になるように留意しましょう。


第2回
1.下まわりの組み立てです。床板にエアータンクと電池箱を半田付けしますが、外観図を見て付ける位置を逆にしないように注意しましょう。次にボルスターを1.4x2mm(小頭)ビスで止めて、床板から上に出たネジ部分をツライチにヤスって仕上げておきます。ヤスったらこのビスは外して、ボルスターと一緒にポリ袋にしまっておきましょう。床板にウエイトを止めますが、最初に床下の箱型を1.4x4mmタッピングビスで止め(少量のエポキシ系接着剤を併用しながら)、この上に大きな箱型をエポキシ系接着剤で止めます。さらに両端のウエイトを床板の切り欠きに合わせてエポキシ系接着剤で止めます。但し、この両端のウエイトは床板のネジ穴を接着剤で塞がないように注意しましょう。云うまでも無いことですが、ウエイトのバリは綺麗に取っておきましょう。
 


2.台車の組み立てです。ロストの湯口を仕上げておいたイコライザーを台車枠に半田付けします。半田を流すのは上の部分だけで充分でしょう。出来上がった台車を動輪押さえ板に半田付けします。
 


3.手順は写真の左から右の順で、最初にギヤーボックス板に角型スペーサーを半田付けし(垂直度に充分に留意しましょう)、もう1枚のギヤーボックス板を半田付けしてから上板を半田付けします。この上板とはホゾ組みになっているので、簡単かつシッカリと位置決めが出来るでしょう。この後で中心にボルスターを半田付けしたら、イラストの★部分がアイドラーギヤーと当たりますとで、斜めにヤスっておきます。ウォームギヤーと軸アダプターとは少量の瞬間接着剤で組み合わせて、モーター軸と少量の瞬間接着剤で接着します。モーターの軸受け部分に接着剤が染み込んではダメなので、充分に注意しましょう。なお、モーター軸受メタルと軸アダプターとの隙間は2.5mm開けるようにして下さい。これで下まわりの工作は完了です。
 




第3回
1.定石通りにMWC-53 MWプライマーで総ての部品を下塗りしてから、ボディーとドアーハンドル・テスリをMWC-03 上運営林署DL用クリームで、その他のパーツをMWC-02 王滝営林署DL用ブラックで塗ります。
 ボディーは外観図を見ながらマスキングしてMWC-04 上運営林署DL用マルーンで塗りますが、下側の塗り分けラインは裾から9mmの位置に、上側のラインは前面の窓上水切の上の部分に揃えると良いでしょう。


2.そのマスキング作業ですが、この機関車は正面が「金太郎」になっていますので、面倒だなあと思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、さほどではありません。ひとつのヒントを書いてみましょう。説明書の外観図の上に90x20mmほどのプラ板を、その中心と前面の中心とが合うようにセロテープで止めます。次に定規を使って軽くカッターで塗り分け線をなぞっていきます。「金太郎」の部分はフリーハンドで良いでしょう。そうしたらマスキングテープをこれに貼って、いま付けたカッターの溝をなぞっていきます。余分な部分を剥がしたら金太郎姿のマスキングテープの出来上がりです。これを車体に貼り付けてマルーンを塗ります。


3.マルーンを塗ったらデッキテスリとワイパーの塗装をカッターなどで剥がし、Hゴム部分やエアーホースに黒を塗ります。別にクリーム色に塗っておいた側面のテスリやハンドル、黒く塗っておいたヘッドライトケースをエポキシ系接着剤で止めます。首振りカプラーは黒く塗っておき、ピン2本(2種類あり)でカプラーに止めますが、接着剤はピンの根元に少量付けるのが良いでしょう。写真のように別売の「アルプスモデル製木曽用インレタA」を使ってナンバリングをすると、グッと良くなります。ライトケースの内側は銀色に塗っておき、リムレンズをエポキシ系接着剤で止めます。ここまできたら、クリヤーラッカーでオーバーコートして、更に軽くウェザリングをしましょう。塗装が終わったら、ライトレンズにプラ用塗料のクリヤーを差しておきましょう。グッと良くなるはずです。最後に車体内側に出っ張ったテスリやハンドルの余計な部分をニッパーでカットしておき、プラ板で窓ガラスを貼ります。
 


4.さて下まわりです。ギヤーボックスの軸箱が入る部分はカッターで剥がしておき、分解図をよく見ながらギヤーを組み込んでいきますが、集電ブラシの出っ張ったピンの部分は外側を向くように注意しましょう。ブラシは気持ち外側に曲げておきます。


5.動輪はギヤーが固定されているタイプと、スウィングするタイプの2種類あります。固定されている方をモーター側に、スウィングする方を反対側にセットしますが、後者はギヤーボックスに組み込んで動輪が上下にスウィングするように軸箱の向きに注意しましょう。そして動輪押さえ板を1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。モーターにはモーター台を1.4x2mm(小頭)ビスで止めておき、これをギヤーボックスに1.4x2mm(大頭)ビスで止めます。ここでモーターのラグにパワーパックから電気を流して、軽く廻るようにギヤーの噛み合わせを調整しておきます。モーターをギヤーボックスに止める際には、写真で向こう側が+になるようにセットしましょう。


6.配線をします。長短2本のコードが入っていますので、4cmを2本・2.5cmにカットしたものを4本作ります。4cmのコードはあとで使いますのでとっておき、他のコードで写真のように配線します。集電ブラシへの配線は、ボルスターと干渉しないように、モーター側に出すようにしておきましょう。同じものを2個作ってから、ボルスターをコイルバネとセンターピンで止めます。


7.この動力台車を床板に1.4x2mm(小頭)ビス止めますが、一旦動輪押さえ板は外して作業します。このビスは以前先っぽをヤスッておいた物を使います。台車を床板に止めたら、台車間の配線を4cmのコードでします。コードはクロスしないように、レールと平行に配線します。念のためにレールに置いて走行チェックをしておきましょう。車体とは1.4x2mm(大頭)ビスで止めて出来上がりですが、この際にも動輪押さえ板は一旦外すようにして下さい。中央部にも窓がある側がバッテリーボックス側ですので、間違わないようにしましょう。なお、この機関車の最小通過半径は250Rです。
 




さあ、これで出来上がりです!
充分なパワーを活かして、長大運材列車を思う存分牽かせてやって下さい!!










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