キット組立講座



井笠のジ5

晩年の「シリーズ井笠」の中で唯一古色蒼然とした威厳を保つ車輌、それがこのジ5です。
 T型フォードエンジンを搭載したボンネット、EF58のようにキュッと締った面構え、車体の裾を絞ったスタイリッシュな風格。
 いわゆる「日車型単端」ですから井笠以外の鉄道にも使えて、まさに旧き佳き時代を演出するには恰好の車輌と云えるでしょう(^^♪。
 とても複雑な形状をしたボディー構造を、いかに組み立て易くするか。それを考えたときに、精密ロストワックスとプレス製側板を組み合わせるアイデアが浮かびました。
 これにより特に高等な技術を持っていない方にでも、キットを組み立てる楽しさが味わって頂けるのではないかと思います。
 そんな魅力をこの講座から読み取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まず最初にヘの字型に折れ曲がっている側板の内側に窓枠を半田付けしますが、上下方向は側板の窓穴に対して窓枠が気持ち上に付く(言葉を替えれば窓枠の下の方の寸法が大きい)ようにします。窓枠自体に左右はありません。側板の窓柱は細いので取り扱いには注意しましょう。


2.出来あがった側板を前面と組み合わせます。窓枠の前の部分もチャンと半田を流しておいて下さい。前面は鋳物ですから歪みがある場合には手で修正しておきましょう。コの字型になったら次に後ろ妻板を半田付けします。
 


3.次にウィンドウシルとヘッダーを半田付けします。まずシルをドアーの直後から半田付けし始めて、写真のように作業していきます。最後に余った部分はカットしておきます。ヘッダーも同様にしますが、側面の窓枠より0.3mmほど上に(乗務員ドアーの上を参考にしながら)半田付けします。
 


4.この段階で屋根板を乗せてみます。屋根板は鋳物なので長さに若干のバラつきがあります。もし長いようでしたら、段差の前後部分をヤスってボディーに入るように仕上げて下さい。この屋根板は半田付けしません。その後に雨樋の段差部分をボディー上端に半田付けします。その方法は正面の真ん中から付け始めていき(ヘッドライトケースで隠れる場所だからです)、最終的にはシルヘッダーのように余った部分をカットしておきます。そして前面のウィンドウヘッダーの下にヒサシを半田付けします。ボディーの小物パーツ、テスリ・ドアーハンドル・ヘッドライトケースは半田付けしませんが、それぞれの穴に入る事を確認しておき、必要ならばドリルで穴を開け直しておきます。客ドアー直後のテスリが付く窓枠の穴は開いていませんので、φ0.4のドリルで開けておいて下さい。
 


5.ボンネットにはタイフォンを半田付けしますが、とかく引っ掛けたりしてしまう部分ですので、シッカリと半田を流しておきます。デッキには枠板を半田付けしますが、左右の部分にだけ半田を流しておけば良いでしょう。これで上まわりは出来あがりました。
 


第2回
1.下まわりはまず軸受の加工からです。ブレーキシューは車体後方にしか付きませんので、4個ある軸受の内の2個づつのブレーキハンガーを左右でカットします。その場合左右各1個はハンガーのみならず、台座の部分も写真のようにカットして仕上げておきます。この軸受をなるべく外側に寄るように床板に半田付けしますが、台座もカットしたものを写真で左側(実際には前側になります)に使います。
 


2.ここでボディーと組み合わせてみて、前方が入りにくいようでしたら写真のように床板を斜めにヤスります。モーターブラケットを1.4x2mmビスで床板に止めておきます。
 


3.ギヤーフレームの組み立てです。まず角型スペーサーを片方のフレームに垂直に半田付けして、次にもう一方のフレームを半田付けします。最後に前後のスペーサー板を半田付けしますが、前後を間違えないようにしましょう。この部分に歪みがあると走行や車体の姿勢に影響しますので、落ち着いて歪みの無いように留意しましょう。出来上がったら床板と組み合わせてみて、後ろのスペーサー板が軸受部と少しきつい感じでしたら、その部分をヤスって入りやすくしておいて下さい。これで配線以外の半田付けは完了です。


第3回
1.さて塗装作業に入ります。ボディー・テスリ・ドアーハンドルはMWC-13で黄色く、ボンネットはMWC-14でグリーンに、デッキはMWC-05でグレーに、屋根板はMWC-05に黒を少し加えたダークグレーに、その他のパーツはMWC-02で黒く塗ります。写真は主要ボディーパーツの1回目の塗装を終えた状態です。


2.ボディーはシルヘッダーやヒサシを含む窓枠部分をマスキングしてMWC-14でグリーンに塗ります。正面上部の山型の部分は外観図を参考にして下さい。ボンネットは左右の点検扉から上を、デッキはデッキ枠板をマスキングして共に黒く塗ります。


3.塗り上がったボディーにはヘッドライトケース+リム+レンズ、テスリ、ハンドルをエポキシ系接着剤で固定しますが、ヘッドライトケースの内側は予めプラカラーで銀色に塗っておきましょう。テスリは塗り分けラインに沿ってグリーンで塗り分けておきましょう。


4.デッキのテールライト反射板の部分には、プラカラーの艶消し赤で色を差しておいてから、足を半分ぐらいにカットしたテールレンズを接着、そしてMWC-10 フラットベースを若干加えたMWC-09 クリヤーで艶を整えます。塗装が乾いたらレンズ部分にプラカラーのクリヤーレッドで色を差しておきます。ボンネットはタイフォンのラッパ部分をドリルで皿揉みして塗装を剥がしてからクリヤーで同様に艶を整えます。その後にメッシュ部分をやはりプラカラーの黒(専用シンナーで極く薄く溶いて)で塗ってから、ラジエターグリル部分をプラカラーのクロームシルバーで塗ります。
 


5.モーターの端子には半分にカットしておいたコードを半田付けして、その先に集電ブラシを半田付けします。この集電ブラシを床板の穴から下側に出しながら、モーターを床板に1.4x2mmビスで止めます。マシマのラベルは下向きになります。
 


6.予め軸受け部分の塗装を剥がしておいたギヤーフレームにギヤーを組み込んだら、これを床板に1.4x2mmビスで止めます。集電シューは僅かに外向きになるようにしておいて下さい。モーター軸にはウォームギヤーを瞬間接着剤で止めて(初段のギヤーとの接点が、ウォームギヤーの真ん中あたりになるように留意します)、ギヤーの噛み合わせを調整します。動輪を組み込んでギヤーの調子を確認しておきますが、軸受が可動式の動輪(ギヤーの厚みが厚い方)は後方になるようにセットして、動輪のスウィングが前後ではなく上下方向になるように軸箱の向きを整えます。この動輪は押さえ板を介して1.4x2mmビスで止めます。それから予め黒く塗っておいた大きなウェイトを2x10mmビスで床板に止めて、モーターの上には小さなウェイトを2段重ねにして接着します。
 


7.窓ガラスをプラ板から切り出して貼った上まわりと下まわりとは、1.4x3mmビスで止めますが、一旦動輪を外さないと止められません。上下を組み合わせてから、ボンネットやデッキも1.4x3mmビスで止めます。


8.別売のアルプスモデル製「軽便サボ(D)」や「井笠用インレタ(D)」を使って車体標記を転写して出来あがりです。出来あがって手にしたときの感触は如何ですか?見た目以上にズッシリとくるのではないでしょうか?大きなウェイトの効果と可動式動輪の相乗効果で、走行も実に安定した良い走りで驚かれるのではないでしょうか(^^♪。
 
















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