キット組立講座


仙北&沼尻のキハ2401〜2402

10m級の日車製気動車がいよいよ当社から発売されます。10m級というのはどのような大きさかと云えば、頸城のホジ3、尾小屋のキハ2・3と同じですから、いわば軽便ボギー気動車のスタンダードと云っても良いでしょう。車体両端にバケットを備え、片側偏心台車という魅力的なスタイルは、軽便ファンの理想型とも云える姿。そんな魅力的な気動車を当社は、美しくエッチングされた真鍮板をプレス加工した部品を中心にまとめ、そこに細密なディテールを誇るロストワックスで味付けをする、そんな王道を行く作り方で仕上げました。適度な厚みのある板材は、作る楽しさ、持つ喜びを与えてくれることでしょう。


第1回
1.まず最初に側板窓枠の上下にウィンドウシル・ヘッダーを半田付けしますが、シル・ヘッダーの裏側には半田メッキ(薄く半田を流しておくこと)をしておくと、綺麗に半田付けが出来るでしょう。シルのリベットは千鳥模様になっていますので、中央のリベットが下向きになるように注意しましょう。シルの両端はドアーの部分で仕上げておきます。次に側板の裏側に窓枠を半田付けします。上下左右の位置決めは、窓枠下段の枠が側板の窓枠に合うようにすると良いでしょう。


2.次は妻板です。日車製気動車の特徴でもある車体のコーナー部分の僅かなRを表現するために、コストは掛かりますが妻板と側板の一部とを一体で再現しました。妻面の内側には窓枠を半田付けし、側面にはドアーを半田付けします。ドアー下部の凹みが2枚はキハ2401、3枚がキハ2402です。ドアーの上面と妻板の上面とがツライチになるようにします。正面にはテスリをガイドにはめるようにして半田付けしますが、沼尻のキハ2402の片方だけはこのテスリがありません。恐らく欠如してそのままになっているだけだと思いますが、それを再現したい方は、ガイドのエッチング表現をヤスリ取っておきましょう。そしてシル・ヘッダーの半田付けです。これも側板と同様に裏側に半田メッキをしておき、物差しで長さを計り、その中心点にマジックインキで印を付けておきます。この印を妻面中央にセットして半田付けします。シルの中心部のリベットは上向きです。妻面で半田付けをしたら、指先で折り曲げてドアーのところに印を付けてニッパーでカットします。そして側面部でも半田付けします。最後にワイパーを半田付けして、裏側はツライチに仕上げておきます。ちょっとしたことですが、この「仕上げ」は窓ガラスを貼るときに楽になるものです。
 


3.側板と妻板とをL字型にまず組み合わせてから箱状に組みますが、上面が一直線になるように留意しましょう。箱になったら車体上部に補強板を半田付けしておきます。これでシッカリしました。ドアーにはノブを半田付けして、裏側をツライチに仕上げておきます。ドアー脇のテスリは塗り分けの邪魔になりますので、別に塗装しておき接着する方法が良いでしょう。沼尻のキハ2402で正面のテスリを付けなかった方は、外観図をよく見てその位置関係を間違わないようにしましょう。


4.ドアー下のステップの取り付けです。仙北は単純なステップが、沼尻は折りたたみ式のステップが製品には入っています。取り付け方は同じで、上部の少し凹んだ部分をドアーに引っ掛けて位置決めとして、車体裏側で半田付けします。ロストワックス部品ですから、このような複雑な構造の部分でも、簡単に細密感を表現することが出来るように工夫されています。


第2回
5.屋根板の取り付けです。屋根板の寸法はボディーの寸法と同一になっています。つまりボディーの上に乗るような形になります。四隅をヤスリで軽くなめてボディーと合致するようにしてから半田付けをします。手順としては、妻面の中央部でチョン付け、反対側の同じ位置でチョン付け。良さそうだったら車体内側ドアーの上でチョン付けしていき、これで良しと判断できたら、他の部分にも半田を流していきます。屋根板が固定できたら今度は雨樋の半田付けです。雨樋の裏側には半田メッキをしておき、まず妻面中央から半田付けをしていきます。妻面の半分に半田付けしたら指で折り曲げて今度は側面。それが済んだらまた折り曲げて、妻面中央の部分に印を付けてニッパーでカットして半田付けします。これを2回繰り返していきます。つまり雨樋は正面中央で継ぐ形になります。念のために書き添えるならば、雨樋はエッチングで段が付いていて、当然厚みのある方が上方になります。


6.キハ2401は屋根板に水切が付きます(キハ2402にも一応入っていますので、お好みで付けても良いでしょう)。雨樋から2mmほど離れたところ、ドアーの真上に水平に半田付けします。ヘッドライトを妻面に半田付けしてボディーの完成です。通風器は屋根と同じ色ですから、接着しておきましょう。


7.デッキの組み立てです。まずデッキ内側の床に床板を半田付けします。次に標識灯とジャンパ箱を半田付けします。それぞれの位置は仙北と沼尻、キハ2401と2402、しかも前後によって違う場合もありますので、間違わないようにして下さい。言葉にすると複雑ですが・・・、仙北のキハ2401は前後ともに標識灯が外寄りでジャンパ箱がその内側(穴をガイドに半田付けします)、仙北のキハ2402は前後ともに標識灯が外寄りでジャンパ箱がその下に付きます。沼尻のキハ2401は前後ともに標識灯が外寄りでジャンパ箱がその内側(穴をガイドに半田付けします)、沼尻のキハ2402は側面の給油口を見たときに左側のデッキが標識灯が外寄りでジャンパ箱がその下に、その反対側は標識灯が内寄りでジャンパ箱がその下に付きます。デッキは妻板と組み合わせて、スリット部分にちゃんと入るかどうかを確認して下さい。大きなロストワックス部品ですので、個体差によっては入りが渋い場合もあります。その場合は二箇所出た取付部分を少しヤスッて下さい。




8.キャブ仕切板に椅子を半田付けして上まわりの工作は完了です。


第3回
1.エンジンまわりの工作です。まずエンジン枠の中にエンジンとミッションを入れて、エンジンが水平になるように枠に半田付けします(瞬間接着剤でも良いでしょう)。次にミッションをエンジンに組み合わせながら、これもエンジン枠に固定します。駆動軸は少しだけ斜め上方に曲げておきましょう。エンジン側面には排気管マニホールドを瞬間接着剤で付けておきます。出来上がったエンジンユニットを床下取付板に半田付けしますが、取付板の表裏を間違わないようにしましょう。大小のタンクも半田付けしますが、小タンクの方は外側に付くようにセットして下さい。


2.エアー配管をします。まず、3個あるブラケットにヘアピン状の配管を通して、両端を写真のように曲げておきます。このブラケットを床下取付板に半田付けしてから配管を半田付けします。次に、長い方の配管をブラケットに通して半田付けしますが、両端の折れ曲がった先が車体の外側を向くようにセットして下さい。




3.床板にこの取付板を固定するためのボスを半田付けして1.4x2mmビス(大頭)で固定します。床板には付随台車を固定する段付ボスも半田付けしておきます。ラジエターや動力側ボルスターも1.4x2mmビス(大頭)で固定しておきます。2個のウェイトは1.4x5mmビスで床板に止めて、接地面には瞬間接着剤を流しておきます。これで床板まわりの工作は完了です。


4.ギヤーボックスの組み立てです。まず片方の側板に角型スペーサーを半田付けします。垂直になるように留意しましょう。もう一方の側板にはスペーサー板を半田付けしておきます。これらを組み合わせて箱状にしますが、くれぐれも歪まないように注意しましょう。組み上がったら、スペーサー板のウォームギヤーが入る穴は、少しヤスッて拡げておいて下さい。動輪押さえ板のアイドラーギヤーの部分も、丸ヤスリで板厚の半分くらいまでヤスッておきます。この作業は判り易いように塗装後の写真で掲載しています。
 


第4回
1.塗装に移ります。まずは上まわりから。全体をライトグレーに塗ってから、クリーム色(マッハ模型の場合の近似色は17番スカ線クリーム)に塗って窓まわりをマスキングしたのちに、仙北は紺色(同13番ブルトレ20系色)に、沼尻は「京浜東北線スカイブルー(同28番)」と「京阪若草(同62番)」とを3:2に混ぜたものを塗ります。なぜ最初にグレーを塗るかと云えば、クリームというのは色のノリが悪くつい厚塗りになってしまいがち。それを避けるためにグレーを下塗りしておけば、結局はスッキリと仕上がるからです。オデコの部分のマスキングは写真のように、説明書にRを書き込んでおいたところに透明プラ板を貼り、その上にマスキングテープを貼ってカッターで切り出します。これをオデコに貼るわけです。


2.塗装を終え、ライトリムとレンズを取り付け、最後に別売のアルプスモデル製インレタ(沼尻Bと磐梯急行社紋)を貼って、軽くウェザリングをしたところです。左上から順に、仙北のキハ2401(旧塗装)、キハ2402(新塗装)、沼尻のキハ2401です。仙北のキハ2401は旧塗装で、キハ2402は新塗装だったということではありません。念のため。
 




3.デッキは車体と同じ手順で塗っていきます。エポキシ系で接着するテールレンズにはクリヤーレッドを差すと、鈍い輝きが増すでしょう。沼尻のキハ2401の偏心台車側のみには2401の数字が入ります。カプラー部分は全体を車体色に塗って、正面の逆富士山型部分をマスキングしてから黒く塗ります。運転台は全体を若草色に塗ってから、シート部分を紺色に塗っておきます。
 




4.動力側集電ブラシには35mm長にしたコードを写真の位置に半田付けします。また、集電ブラシは写真のように曲げておきます。ウォームギヤーには延長軸を瞬間接着剤で接着し、それをモーター軸に接着しますが、モーターの軸受部分にはオイルを差しておきましょう。そうすることによって、万が一軸受に接着剤が流れてしまったときにも固着しにくくなるからです。
 


5.台車を組んでいきます。まず動力側を1.4x3mmビスで組み立てます。ギヤーボックスの車輪軸箱が入る部分は、カッターで塗装を剥がしておきましょう。ここに軸箱がスッと入らないと、車軸の動きも渋くなりますから。付随台車の方もバラシ図を見ながら1.4x3mmビスで組み立てます。逆転器は1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。集電ブラシは車輪フランジ部の裏側を軽く擦るように調整します。


6.台車を床板に止めます。まず動力側を床板のボルスターに段付ビス(小)で止めます。次にモーターをギヤーボックスに1.4x2mm(大頭)ビスで止めます。モーターの向きは写真手前側のラグがマイナス側です。動輪を入れて押さえ板を1.4x2mm(大頭)ビスで止めますが、ギヤーの噛み合せが最適な位置でセットして下さい。付随側は段付ビス(大)とコイルバネで床板に止め、ラグには85mmにカットしたコードを半田付けします。動力側と付随側の配線は、並列で結んでモーターのラグに半田付けします。途中、写真のように配線止め金具で固定すると良いでしょう。勿論この金具は黒く塗って目立たないようにしておきます。


7.プラ板などで窓ガラスをボディーに貼ったら、運転台をゴム系接着剤で車体アングルの上に接着します。それからボディーと床板とを1.4x2mm(大頭)ビスで止めますが、床下の配管はドアーステップの外側にくるようにします。最後にデッキを1.4x3mmビスで止め、さらにカプラーをエポキシ系接着剤で止めて出来上がりです。なお、KDカプラーを着ける場合には、デッキに直接1.4x4mmビスで止めます。