キット組立講座

2003珊瑚祭記念発売製品
木曽の酒井製5tボギーDL

今年のイベント記念発売製品は、このユニークな、それでいて可愛らしい「5tボギー」です。とにかく小さくて、長年鉄道模型の製造に携わってきた下請け工場でも、言われるまではNゲージだと勘違いしていた程です。そんな小ささゆえに、いままでにない動力機構を採用しております。そこいら辺もこの組立講座でとくと御覧ください。

写真をクリックして大きいサイズで御覧ください。

第1回
1.車体はエッチング加工された側板とロストワックスの前面から構成されています。まず、その「合い」を良くするために、写真のように側板の前後のヒサシ部分を水平にヤスッて仕上げてやります。くれぐれもヤスり過ぎないように注意してください。


2.その両部品を組み合わせたところです。合わさる部分のロストは、表面をキサゲ刷毛で磨いておき、更にステンレス用フラックスを使うと、半田が綺麗に流れます。更にラジエター通風口と雨樋を半田付けしたところです。通風口は側板にはめて、裏側から素早く半田を流しましょう。雨樋は折れ曲がった方が上側ですが、塗装の際のマスキングの便を考えて、雨樋を車体に半田付けしない方法も良いでしょう。この方法はのちほど解説します。


3.車体アングルの半田付けには治具が用意されています。写真のようにアルミ板とアルミの挽物を使って1.4x3mmビス4本で組み立てます。これを車体にはめ込み、アルミ板の両端が側板とロストの前面との継ぎ目にくるようにセットします。そしてアルミ板の間の部分で半田を流し、これを取り外して、その部分に半田を流します。

4.屋根には通風ハッチを、前面には窓枠を半田付けします。これらは開いた状態にも閉じた状態にも選択出来るようになっています。ハッチは段差が付いた部分を屋根に引っ掛けるようにして、窓枠は上部のヒンジの部分を引っ掛けるようにして作業します。ヘッドライトの足は段差が付いた部分を1mm位までカットして、前面の穴に差し込み半田付けします。この段階で排気管を車体側面に裏側から差し込んで半田付け。SKWの銘板も半田付けします。銘板は裏側にあらかじめ半田を薄く流しておく「半田メッキ」をしておき、目指す箇所に置いたらフラックスを染み込ませ、周辺をコテで暖めてやる方法を採ると良いでしょう。


5.雨樋を車体に半田付けしない場合の説明です。写真のように割ピンと雨樋を、車体の穴を治具にしながら半田付けします。半田付けしたら、割ピンの足は真ん中を残して短くカットしておきます。真ん中の割ピンは写真のように竹串に刺して塗装に備えます。


第2回
1.勢いに乗って、上まわりの塗装をします。いわゆる金太郎と言われる塗り分けの場合、私は以下のような方法でマスキングを行います。まず、説明書の原寸の外観図に透明プラ板をセロテープで貼り付け、塗り分けラインに沿ってカッターでなぞっていきます。そこにマスキングテープを貼り付け、さっきカッターで付けて凹んだラインをなぞっていきます。そうすると、2枚目の写真のようなマスキングテープの型紙が出来ますので、これをボディーに貼り付けます。今回は車体中央部で上に上がっていますので、これは別に同じ方法でやりました。


2.今回はマスキングがし易いように、最初にライトグレーを軽く吹いてから(マルーンを直接塗ると、透過性があるので、下塗りをしないといけません)マルーンを吹き付けました。テスリもマスキングしておきます。クリーム色も塗ったら、雨樋をエポキシ系で接着して、Hゴム支持窓にはライトグレーを差し、ヘッドライトケースは黒く塗ります。作例ではアルプスモデル製のインレタBを使い、ナンバーを入れました。ヘッドライトリム・レンズをエポキシ系で接着してから、クリヤーラッカーでオーバーコートします。そのあと、レンズにはクリヤーのプラカラーを差して上まわりの出来上がりです。


第3回
1.さて下まわりの組み立てですが、半田付けする箇所はいくつもありません。そのひとつが集電バネです。ふたつある小穴の内の1個に通電子を半田付けします。もう一方の小穴には塗装後に絶縁子を接着します。


2.床板には床下ウエイトを1.4x2mmビス2本で止めて、床板から上に出た部分をツライチにヤスッて仕上げます。次に床上ウエイトを1.4x2mmビスで止めます。最後にモーター止め板を1.4x1.3mmビス2本で止めます。モーターのラグには配線コードをそれぞれ15mm・20mm・30mm・35mmにカットしたものを半田付けして、その先にはラグ板を半田付けします。ウォームギヤーはその両端が軸端と揃うように瞬間接着剤で接着します。


3.90度に折れ曲がったベロがある方のギヤーフレームには、エンドビームの凹に合うように少しヤスリながら合わせるようにして半田付けします。さらにカプラー受スリットの中段にカプラーを(軽く首を振るようにカプラーの柄の厚みをヤスッて調整して)差し込み、上からカプラーピンを差し込んで下面で軽く半田付けします。下に飛び出たカプラーピンはカットしておきましょう。これで塗装に入りますが、その前にモーター止め板にモーターを止めてみて、その軸が床板に対して水平になるかどうかを確認しておいて下さい。もしも水平でなければ、モーター止めの直角度を調整して下さい。この点は非常に大事な部分です。下まわりは総て黒です。


第4回
1.下まわりの組み立てです。まずモーターを1.4x2mmビス2本で床板に止めます。次にエンドビームが付いていない方のギヤーフレームに、動輪軸を通しながらタイヤを奥まで押し込みます。小さいアイドラーギヤーを向きに注意しながらセットして、次に大きいアイドラーギヤーをセットします。大きいアイドラーギヤーの溝に、小さいアイドラーギヤーの軸が入るはずです。次に細いスペーサーを挟みながらもう一方のギヤーフレームをセットして、残りのタイヤを押し込みます。動輪軸の入る部分は塗装を落としておきましょう。(写真は判り易くするために、未塗装状態で撮影しています)
追記:この項目で一番重要なポイントは、大きいアイドラーギヤーにガタが無いようにする事です。そのために車輪の組み立ては奥までグッと押し込むこと(これでギヤーフレームの下側にガタが無くなります)、上の方にスペーサーを入れてみて、大きいアイドラーギヤーにガタがあるようでしたら、指の腹でギヤーフレームの真ん中あたりを押して、そのガタを無くすようにします。そうすれば大きいアイドラーギヤーにガタが無くなり(きつ過ぎても困りますが)、小さなアイドラーギヤーも踊らなくなると思います。また、ギヤーの噛み合わせをチェックするのに、動輪を指で回してギヤーがスムースに回らないことがありますが、その場合には大きなアイドラーギヤーを何かで回してみて、それでスムースに回るようでしたらOKです(つまり実際の伝動と同じ力の伝わり方)。


2.さらにウォームギヤーをギヤーフレームに差し込んでから、太い方のスペーサーを挟み込み、配線ラグ・集電バネ・グラスファイバー板の順に1.4x3mmビスで止めます。集電バネとこれが接触する部分のギヤーフレームは塗装を剥がしておきます。また、このギヤーフレームはイラストのように、絶縁/通電方向が互い違いになるようにしてください。ここでひと息。  門型のボルスターにセンターピンでギヤーボックスを止めて、これを床板に1.4x2mmビスで下から止めます。床下ウエイトの四角い出っ張りが無い方が、排気管のある方に留意しながら、上まわりとは1.4x2mmビス4本で止めまず。なお、総てのギヤーにはエンドウのセラミックグリスなどを塗っておきましょう。モーターの上にウエイトをゴム系で接着します。台車取付用穴に軸の細いドライバーを通しながら、台車を1.4x1.3mmビスで止めて出来上がりです。