もりこーの木曽路日記

平成12年10月8日
ちょうど3ケ月ぶりとなる「オリジナル」木曽路日記です。めぼしい所は訪ね終わり、あとは落穂拾い的な取材となりますが、残り物には福がある、の諺どうりに意外な取材となりました。
  いつもは奈川村から薮原へ入るのですが、今回は奈良井の保存車を取材したかったので、塩尻から19号線に入りました。
  当日の木曽地方は昼間でも12〜13度の涼しさで(穂高では最高18.6度、最低8.4度でした)、クルマの窓を少し開けて走っていると、肌寒さを感じる気温でした。

今回のメニュー
@奈良井:個人所有車輛
A開田村郷土館:酒井製DBT、C型客車、運材台車
Bライオン王国:酒井製DBT、大型B型客車、砂利運搬車、運材台車
C三岳村倉本:個人所有富士重工製モーターカー、運材台車
D王滝村松原スポーツ公園
E氷ケ瀬貯木場
F田島停車場跡


その1
まずは奈良井駅のすぐそばに保存されている、個人所有の車輛です。ここは山下さんから聞いていたのですが、訪れるのは初めて。はたして青いビニールの中には何が入っているのでしょうか?

びっちりとロープで括ってあるので全貌は見れなかったのですが、裾をめくってみると、酒井製5tクラスのDLと標準的な8窓タイプのB型客車でした。ビニールで覆われているためか、木造客車といえども、とても良い状態でした。



奈良井から木曽福島に抜けて開田村を目指します。郷土館ふるさと広場には、酒井DBTとC型客車、運材台車が綺麗な状態で保存されていました。山下さんのアルバムの時とは場所も移動して、C型客車も塗り変えられたようですネ。



国道361号線を更に進み、木曽カントリークラブの看板で左折します。このゴルフ場を目印に進んで更にその奥に「ライオン王国」があります。何だこりゃ?今では温水プールを残して廃業してしまった屋外施設なんですネこれは。
ここには酒井DBTと大型B型客車、砂利運搬車と運材台車が保存されています。これらもいつまで残るやら。勿論オリジナルではありませんが、こんな色のB客も悪くないですネ。



岩崎レール製の初期型。後期の鋳物製に比べて、初期型は板細工の構造になっています。ブレーキポストの形状がユニークですネ。



砂利運搬車。何でこんな物までこういった場所に保存したのか不明。


その2
ライオン王国を訪ねたあとは、三岳村に抜ける県道をひた走り、木曽温泉を過ぎるとじきに倉本の集落に入ります。そこには富士重工のモーターカーが在るはずなのですが・・・


山下さんから聞いていたのは、「倉本の集落の農家に倉庫として使われているモーターカーがある」というものでした。
ちょうど道端でクルマに乗り込もうとしている中年の男性が居たので、「ここいらで・・・」と聞いたら、「そりゃウチだよ」。ビックリしました。話を聞くと、何でも一年ほど前に東京の方から来た人が、譲って欲しいと言われて、OKを出したそうなんですが、それっきりだそうです。どうしたのかナ、めげたのかナ?



モーターカーの車内。電話機もそのまま残っていました。キャブオーバー形ですからエンジンやミッションは運転席の隣にあります。チェンジレバーがモッコリ飛び出ています。



同じ場所にある日本農林機械製運材台車。「王営(王滝営林署)」の文字がまだ残っていました。



倉本から三岳に抜けて、王滝村の松原公園を目指しました。というのは、ついこないだ遊びに来たM澤さんが「松原にあった保存車輛が無くなっていましたヨ」というニュースを届けてくれたので、一応確認したかったためです。はたして、行ってみるともう何にも無い。御覧の通り更地になってしまっていました。オイ!何処へ行ったんだ?まさか潰す訳はないしナア。



気を取り戻して大鹿へ行ってみることにしました。これが有名な大鹿淵の鉄橋です。SL時代から有名な撮影地だったところで、今ではクルマが通れるようになっています。



以前誤解を招いた「今の」氷ケ瀬貯木場、「昔の」大鹿ジャンクションです。



こちらは「昔の」氷ケ瀬貯木場です。「昔の」大鹿ジャンクションとは大鹿淵鉄橋を挟んで滝越寄りにあります。今は両方併せて「氷ケ瀬貯木場」と呼ばれています。昔の雰囲気そのものですネ。



氷ケ瀬から来た道を戻って、来る時に気になっていた場所に寄ってみました。王滝村瀬戸という地籍にある集材機です。
大型と中型のキャブ付きが数台ありました。白いガードレールは国道のものです。


その3
山峡の夕暮れは早くて、この時期3時ともなれば何となく薄暗くなり始めます。先を急がねば!まだ見たいものがあるのです。それは・・・・

以前、松原スポーツ公園にあった車輛群は、大挙して田島に引っ越していたのです。良かったですネ。左から運材台車、砂利運搬車、大型B型客車の台車、ガソリンタンク車の面々。そうです、あのボロボロになっていた大型B客は残念ながら潰されてしまったようです。



協三製自走式クレーン車。上松運輸営林署と王滝営林署に1輌づつ在籍していたのですが、上松のは山下さんのアルバムにもあるように、町内の鉄鋼工場で再利用されて、残るはこの1輌のみ。しかし貴重な存在ゆえに、残っているのは嬉しい限りです。



残念ながら潰されてしまった大型B型客車の台車部分。ただの運材台車ではない証拠に、デッキ板が付いたままです。



砂利運搬車。デッキにはブレーキハンドルの他に、ダンプ用のハンドルもあるのが判ります。平田さんのアルバムではグレーに塗られていたのですが、黄色いのもあったのでしょうか?



以前行ったときにもあった小型貨車。イイ雰囲気を出しています。


その4
今回は田島に移管保存されているタンク車を詳しく見てみようと思います。

両サイドから見たタンク車。木曽には軽油やガソリンを運ぶタンク車など各種のタンク車がありましたが、これは言うならばガソリン計量器付タンク車です。




ガソ計付タンク車を両斜めから見たところ。木製の台枠がグジュグジュに腐ってしまい、反デッキ側のカプラーは脱落してしまっています。



ポンプ部分のアップ。模型でもガソリン計量器を利用すれば、何とか出来そうですネ。



今昔の田島のバックヤード部分を、平田さんのアルバムと比較して見てみましょう。
田島の町へ抜ける道の傍らには2本の側線がありました。写真右にはタンク車とその奥には無蓋車が、左には運材台車に載せられた集材機が見えます。今回訪問したのは日曜日で休みでしたが、ウイークデイのここは駐車場にでもなるのでしょうか?