もりこーの木曽路日記

平成12年6月25日
旧友のT.M.ニッコール氏(ニコルではありませぬ)が、泊りがけで訪ねて来たので、今回の取材は二人旅。彼は鉄道ファンなのですが、僕と同様に木曽には行けず仕舞だったこともあって、前夜から興奮気味。赤沢へまず行って、時間があれば滝越乗車場跡にでも行こう、という事で出発。何か発見はあるのかナ?

  今回のメニュー
@赤沢自然休養林:いろいろあって省略
A滝越乗車場跡:もと機関庫


その1
 いつもの通り奈川村から薮原へ抜けて国道19号へ。途中、薮原でモーターカーを見せてあげたところ、運材台車なるものを初めて見ました!と彼は早くも興奮。木曽福島で蕎麦を腹に入れていざ赤沢へ。
  赤沢は皆さんも御存知のように、ゴールデンウィークから11月上旬まで車輛が運行されています。短いながらも森の中を走る姿は、まさに林鉄そのもの。酒井や北陸重機のエンジンノイズは、沢のせせらぎと会い混じってとても清々しい気分にさせてくれます。
  また、保存車がごろごろ置いてあるのも魅力で、機関庫の中にはボールドウィンを始めとして、ボギーDLや貴賓車,酒井DBTなど,とっても綺麗な今にも走り出しそうな状態で保存されています。


入口はこちらですヨ。階段を昇るとそこにはミラクルワールドが!



記念館の入口。乗車場名や勾配票などが雰囲気を盛り上げてくれます。



かつて乗車場に掲げられた標識の色々。



本線で使用されたレールと伐採線のそれとは、こんなに違うんですネ。



DBTとボールドウィン。庫の中ではデカイ。その向こうには小さな5tが。



酒井製ボギーDLの正面。ヘッドライトが無くなってしまっています。



貴賓車とその内部。同じような大きさのC型客車と比べると内装は雲泥の差。



岩崎レール製モーターカー。自走しなくてもイイからHOナローで欲しいナ。


その2
 さて、森林鉄道記念館を出ると、そのまわりには、様々な車輛が楽屋裏のような感じで置いてあります(つまり展示物然としているのは僅かで、大多数は放置してある、という感じです)。しかし、これまで各地で見てきた保存車とは違い、お膝元だけあって気配りがされている雰囲気は伝わってきます。


ジャーン。これが理髪車の実物です。残念ながら車内には入れませんが、窓越しに覗く事は出来ます。但し、保存にあたって台車は振り替えられてしまっています。車体の色もオリジナルでは、もっと赤かったようですが、色褪せちゃったのかナ?



隣りには酒井製5tが。この塗り分けは上松運輸営林署の色ですが、王滝営林署のそれは濃淡グリーンでした。これ、皆さんからよく頂く質問です。



こちらバックヤードストック。酒井製モーターカーや砂利運搬車などがあります。



貴方なら、何を載せたいですか?僕だったら軽トラックとその荷台には番犬でも載せたいナ。台車が板バネ式のタイプですネ。普通は黒い台車ですが、こんな色も良いですネ。



大小のタンクカーもあるでよ。こういう車輛もちゃんと作ると、結構イイんだろうなあ。



寝覚の床にあったDLの片割れ。DL本体は寝覚の床に移されましたが、何故かロータリーヘッドだけは、ここに置き去りにされてしまいました。浜中のロータリーDLのヘッドが使える!と思いきや、結構かたちが違うんです。どうしよう。


その3
 そういえば、まだカブースの採寸は今までしていなかったから、一応しとこうっと。あとDBTもちゃんと撮っておかなくちゃあネ。


木曽を木曽らしく印象付けているのが、このカブースの存在。よく勘違いしている人がいますが、ボールドウィンなどの蒸機時代はエアーブレーキ化されていないので、カブースは存在していませんでした。いわば近代化(DL化)の象徴なのです。かなり色褪せて藤色になってしまっています。



カブースとともに近代化された木曽の象徴が、酒井DBTではないでしょうか。従来のボンネット側前位という既成概念を打ち破った"キャブフォワード発想"は、歴史に残る快挙だと僕は信じています。


赤沢をあとにした我々は、一路滝越を目指しました。
その目的は、松井大和氏に「滝越の雰囲気でジオラマを作って欲しい」という依頼をしているので、その資料集めの為でした。ところが大失敗。銀塩カメラでバシャバシャ撮影していたせいか、デジカメでは殆ど撮影していなかったのです(スミマセン)。


滝越の構内はずれに、機関庫がそのまま残っていました。扉を開けると、まだレールすら敷かれたまま!まさに時間の流れが止まっていました。ここに王滝村有のDLが格納されていたんですよネ。滝越集落にたった一軒のお店・平沢デパートや様々な詰所も、当時のままでした。



滝越からの帰り道、氷ケ瀬貯木場に寄ってみました。とはいっても、ここは昔の大鹿ジャンクションの跡です。夕暮れ時の広い構内は、雨に濡れたせいもあって、木の香りが漂っていました。