Chapter.5 「黒渕の"物干し小屋"を作る」の巻

KATOの台枠が来るまでの間、手持ち無沙汰なので(というかパワーを途切れさせないために)ストラクチャーのひとつも作ってみよう、ってんで手懸けたのがこの小屋です。黒渕ジャンクションには他に宿泊所を作るつもりなのですが、これは現存するので、採寸してから作りたい。だもんでこちらから作り始めた訳です。
 いざ図面を書こうとしたら、出てくる写真は構内方向から見たカットばかりで、川方向や山方向・大鹿方向からのカットが全く無いのには困りました。藁をも掴む気持ちで天賞堂発売のビデオを見ていたら、ありましたヨ。山方向と大鹿方向からのコマが。何度も再生・巻戻しを繰り返してようやく判明。ただ、川方向のディテールだけは最後まで判りませんでしたが、まあ「あの小屋ネ」って判ればイイのですから前進あるのみ。それらしく纏めました。
 思えばストラクチャーを作るのも「とれいん」時代に「寿都の給水塔+詰所」をTOLCO名義で作って以来ですから、約15年ぶり。「ああやって、こうやって」というノウハウは身に付いているつもりですから、あまり苦労もせずに作業は進行しました。ただ、今回は木工用「速乾」ボンドというのを使ってみたのですが、これが早いのなんのって。感覚的には「瞬間」接着剤です。例えば床に柱を立てるとしましょうか?普通は柱にチョコッとボンドを塗って床に立てて、寝ないように暫く持っていますよね。ところがその「暫く」の時間が超短いのです。これには驚きました。まさに15年のギャップを感じました。
 手法は実に一般的なもので、エコーモデルのSTウッドを駆使しましたが、屋根板はボール紙の芯にt0.3のプラ板を貼って、更にt0.3のプラ板を1mm幅の短冊状にカットしたものを5mmピッチで貼って表現。木曽に瓦は似合いません。細々としたパーツはエコーのものですが、「火気厳禁」は田島のガソリン計量車用を使ってみました。洗濯物はプライザーのを使用して、賄いのおばさんはエコーの「新妻」を画竜点睛で配置してみました。
 この工作で一番気を使ったのは(という程のものではありませんが)、各々の色味が主張過ぎないようにすること。僕はこれこそストラクチャー作りの真髄だと信じて疑いません。屋根の赤、木部の茶色、火気厳禁プレートの真紅、電灯の笠や煙突の緑。それらが主張し過ぎると、ケバケバしいものになってしまいます。実際には最初はそのような色だったものが、風雨にさらされて、段々と薄汚れて、似たような色に変色しているものです。ですから、一旦それらを綺麗に塗ってから、最後にダークグレーを薄〜く溶いて、サッと吹き付けて仕上げています。
 どうでしょうか?黒渕の物干し小屋。それらしく見えますか?


写真をクリックして大きいサイズで御覧ください。



まずは第一段階。定石通りにSTウッドを使います。
木部にはフラットブラックを薄〜く溶いたものを何度も塗っていきます。屋根板はハルレッドに塗りました。



物干し台の製作過程。まずは床の骨組みを組んで、短冊状にカットしたSTウッドを貼って、足を接着します。



屋根に物干し台を接着します。欄干は4面を別々に作ってから組み付けます。



階段はこのようにして組み立てて、この段階でベースとなる板に小屋を接着します。



出来上がった物干し小屋。「流し」は実際にはありませんでしたが、ここは雰囲気で。
そうなると脱水ローラー付の洗濯機が欲しくなり製品化も考えましたが、流石に欲望に歯止めをしました。
煙突には帯金で作ったステイも付けてみました。



大鹿側にはハシゴをぶる下げて。一丁出来上がりです。