皆さんの工作台から

中部さんからのお便り

2006/03/08
●助六小Bとフラットカー
ついでではありますが、王滝色の5tに似合うパートナーとして仕上げたB型客車(小・助六)とフラットカーも紹介させていただきます。
 MWのB客はプレス主体のガッチリとした造りはうれしい反面、率直にいって重いっ!!…のが泣き所です。とくに5tに牽かせるとなると、活躍の舞台となるKMCの2級線には上り勾配が控えていますので、重さはよけいハンデとなります。そこでこの小Bは“5t機牽引時の上り勾配克服”を目指し、屋根補強板を省略・床板もベーク板で新製かつ車端部のみとし軽量化を行いました。また、台車についてもコロガリ向上のため、軸受メタルを木製運材A用とパイプの組み合わせで新製しています。
 一方、軽量化を図りつつもインテリアはぜひ再現したかったので、床はバスウッドの筋目板より、イスは4.8x4.8のプラ角パイプを画像のごとく加工して作成。乗客は2名にとどめることにし、くりしま牧場さん渾身の作・C4用機関士人形コンビに座ってもらいました。
 塗色は以下の通りです。
 車体:GM京急バーミリオン(#29)に若干の白を混合/屋根:スエード調スプレーのダークグレーを吹き、乾燥後ペーパー掛け/台車:GM緑2号(#13)/座席:GM東急グリーン(#30)+伊豆急ハワイアンブルー(#42)を1:1混合
 ウェザリングは酒井5t同様、パステルの粉をアルコール(タミヤX-20Aアクリル溶剤)で溶いて擦り付けています。
 さて、軽量化の成果ですが、U太さんのダブルオメガモジュール(2%勾配+R150)は5t+小B+後述のフラットカーでクリア、シェフの坊主岩モジュール(3.5%勾配+R210)は5t+小B+J社のプラ運材一組なら、といった塩梅で、何とか許容範囲には届くも、やや不満が残ったのも事実。
 しかし、最近もりこーさんから「運材用の車輪も、沼尻サハなどと同様車軸の先端形状を改良した新しいのになりましたよ」と話を伺いまして、早速その車輪を取り寄せて後述のフラットカーともども交換してみたところ、コロガリ具合が目に見えて向上し、3.5%勾配でも5t+小B+フラットカーの編成が可能となりました。軸端の形状の微妙な変化で、こうも走りが変わるものなんですね。
 あと、参考までに、奈良井にある実車(助六No.5)の画像をお目にかけます。この保存車は、長年ビニールシートに包まれて保管されてきたおかげで、奇跡的に現役時代の塗装を良好に保っていました(残念ながら、2003年の春以降シートが剥れたままとなっており、徐々に褪色と痛みが進行していますが…)。ここ数年、木曽詣でのたびにここへ立ち寄って観察を重ねたことが、このモデルの仕上げに大いに影響しています。
 私の模型はこのNo.5を忠実に再現したわけではないものの、車番はこの奈良井の客車にあやかり“No.5”を与えてやりました。





 

フラットカーは、見てのごとく日本農林台車を黄色く塗って、板を渡しただけのものです。
 台車の色はGM黄色5号(#12)、板は2x3ヒノキ角材を5本並べて接着後、カドにヤスリを当てて丸めたりワイヤブラシで木目を強調。ポストに乗る部分は若干切り欠いたうえで接着固定しています。ウェザリングはやはりパステルです。こちらも、参考までに類似の実車の画像を掲げておきます。





2006/03/05
●私の王滝5t・後編
ウチの5tは、DCC化まで成し遂げた反面、その後も上回りの帯はない状態のまま。やっぱ帯がなきゃ真の王滝色じゃないよな…と思いつつも、気がつけば珊瑚祭から早2年が過ぎ去っていました。
 ところが、今年の正月、恒例のカルタゴ新年会で調子に乗って“拷問”的な運転をしていたら、デコーダー・モーターともども昇天(泣)させてしまい、足回りをオーバーホールする破目になってしまったのです。そこで、いい機会だからと、以前からの懸案だった帯の塗装にもやっと重い腰を上げたのでした。
 ボディの薄緑は、以前塗った“外舷21号”のままですが、台枠と帯はMr.カラーの緑(#6)と黒を1:1で混色した限りなく黒に近い濃緑としました。 先にも述べたとおり、基本的には助六(I)後期の素組みゆえ特定番号機ではありませんが、番号は形態・ディテールが一番近いNo.131のものを貼ってあります。仕上げのウェザリングは、主にパステルの粉をアルコール(タミヤX-20A溶剤)で溶いたものを擦り付け。
 ともあれ、いままでフリー塗色のカマばかりだった我が家の林鉄車輛に、ようやく由緒正しい木曽カラーのエンジンがお目見えとなりました。
 一方、焼けてしまった足回りの方ですが、モーターをDCC対応コンバージョンキットの台座を介してアル0813に、デコーダをTCS-M1に換装です。
 M-1デコーダーを使うのは初めてですが、LE0511と比べて、ワールド2719Wやアル0813クラスのモーターとの組み合わせでも、アナログでそこそこマトモに走るようになったのは嬉しいことです。反面、弱点はアナログ制御時の集電性が極端にシビアになることで、その調整にはだいぶ手を焼きました。結局、ブラシを細い燐青銅線で自作したものに交換し、かつ今までの酷使で磨り減ってタイヤ面に歪みが出ていた動輪も新品に交換してやることで何とか安定した状態に持っていっています。
 kondouraさんやU太さんの作品のように、ギア比をたっぷりとった自作動力ならもっと納得のいく性能が得られるのは判っているものの、他力本願(笑)な私は、モーターやデコーダのさらなる小型化or性能向上を願うばかりの今日この頃です。





2006/03/01
この期に及んで、初めて工作台だよりに投稿させていただきます。
 お題は、ウチのトラの子の酒井5t…そう、助六の酒井5tのキットは何台か買っているものの、お恥ずかしいことに、一応の完成に到った機体はまだこの1台だけなんです。そのうえ、最終的に“王滝色”に仕上げようと思いつつも最後の上回りの帯の塗装をやり残したままいたずらに時間が過ぎてゆき、今年に入ってからようやく懸案の帯入れをおこなって、名実ともに完成を果たした…というていたらくでして。
 まったく個人的な完成記念ということで、お目汚しではありますが、この機関車の辿ってきた紆余曲折をご紹介したいと思います。




 


●私の王滝5t・前編
このカマは、今を去ること5年近く前―2001年の春に入手した“助六の酒井5t(I)”の後期型キットがベースです。
 実をいうと購入当時は“木曽”に対する興味は今とくらべてかなり希薄でして、自分の架空の林鉄のカマにするつもりでいたものの、途中まで組みかけのまましばらく放置。しかし2003年の初頭、思いもよらずKMCに入会することになりまして、さらにその年の秋には助六の5tコンテストが開催という、完成に持ち込むための絶好のチャンスが訪れました。
 そこで、折角だから木曽のカマとして仕上げることにしよう、と方針を変更、特定番号にはこだわらず(というか、知識が足りなくてこだわれなかっただけ)“王滝色の後期型”とすべく組立てを再開したのです。
 足回りについては、モーターを当時デフォルトだったキドマイティIIIではなく、発売間もなかったマシマ1015に換装し、スローと粘りの効いた走りを得ることができました。ただ、応募〆切間際の突貫工事がたたりまして、上回りの濃緑色のストライプ塗装にまで手が回らぬまま安曇野に旅に出すハメに…ぶっちゃけ、自分にとっては未完成の状態での応募だったわけです。
 ところが、出展作が結果発表を兼ねて珊瑚祭の会場で展示されたとき、西裕之さんから「これ、上回りのグリーンがいちばん当時の実車に近いね」と声をかけていただいたのです。使った塗料は、Mr.カラーの『日本海軍艦艇色』3本セットに含まれている“外舷21号色”。いくつかの現役当時のカラー写真を見くらべつつ、自分の印象で一番近いと思い選んだものでした。いずれにしても、これは私にとって望外の喜びでした。


 さて、珊瑚祭が終わってひと段落した頃、KMCにはDCC化の波が押し寄せてきました。ということは当然動力車にデコーダを積む必要があるわけで、BLW・C4・凸型・ホイットコムにはさっそく仲間が競って搭載を始めましたが、キャブが小さく、しかもそこにモーターが一杯に詰まっている5t機は、残念ながらそのままでは搭載が無理。その当時DCC化を果たした5tは、自作動力搭載のためキャブ内のスペースに多少余裕のあったkondouraさんの作品1台だけでした。しかし、こちとらあいにく動力を自作するウデはないので、モーターを一回り小さいものに換装することで何とか搭載スペースを稼げないか…と思い色々と試した結果、ワールド工芸の2719Wなら、そのまま縦置きで低いタイプのキャブでもモーター上辺と屋根の間にレンツのマイクロタイプ(LE0511または0512)が収まるとわかったのです。実際に結線してみると、デコーダと低電流型モーターの相性の関係から、アナログ制御時は起動時に激しくロケットスタートになってしまい使い物にならない…という弱点は浮かび上がりましたが、DCCでは実用上支障のないレベルで運転が可能と確認できまして、晴れてDCC化を果たしたのでした。
 このカマ、MWのサイトのKMC活動報告をご覧いただくと結構ちょくちょく写りこんでいますが、何のことはない、DCC制御でモジュール上を走れる酒井の5tが、こいつを含め数輛しかいないという時期がしばらく続いたからなんです。
 今ではDCC対応コンバージョンキットの登場も手伝って、KMC全体でのDCC化5tも10輛を突破する勢いなのは嬉しい限りです。
木曽モジュール倶楽部の中心メンバーの一人、諜邪丸さんこと中部さんが投稿して下さいました。度重なる公開運転会での豊富な経験に基づく工作は、きっと皆さんの参考になるのではないでしょうか。3回に分けて掲載していきますので、どうぞお楽しみに。(もりこー)