平田さんからのお便りスペシャル

春の助六谷


木曽モジュール倶楽部のメンバーは、去年秋の「珊瑚祭り」以降、新作に取り組んでいますが、一番精力的なのが高山の平田さんです。氏は最初に「上松停車場」で賑やかな雰囲気を再現しましたが、次作のこの「春の助六谷」では一転して、デブコンを使ったウグイ川が印象的な山奥の渓谷沿いの雰囲気を見事に仕上げました(本当にウグイ川って、バスクリングリーンなんですよね)。
 では早速、モーターカーに乗って出かけてみましょうか?(解説:もりこー)

写真をクリックして大きいサイズで御覧ください。



まず全体像を御覧いただきましょう。このモジュールの見所は、見事な配置の妙。僅か600x300の大きさの中に、一直線に伸びる1本の線路。それをとりまく情景の見事さは、この配置を考え付いたときに、完成していたと言っても過言ではないでしょう。360度どの方向から見ても変化に富んでいますが、特に観客から見た方向のときに、南北に走る渓谷、さらに西方向に伸びる谷間、これらは視覚的にも変化に溢れ、見る者を飽きさせません。ともすると手前を低く、奥を高くしがちですが、4隅のコーナーをあえて高くして、その隙間から覗き込むようにした着眼点は、視線の集中という好結果を生んでいます。



   

このモジュールのハイライト木橋を渡って行きましょう。橋のたもとには6km/hの速度制限標識()がちゃんと立っていますので、スピードオーバーしないように静々と行きましょうか。この橋の材料はDIYで売っている桧の丸棒です。橋脚などのある程度精度と強度が必要な部分は、天然木ではなく丸棒や焼き鳥の串を利用すると作業がし易いです。さあ、少し張り出した岩盤の上まで渡りました。ここで車窓は一変します。

   

木橋を渡ると間もなく伐採された谷間に入ります。線路は岩盤の上に敷設されているので、コンクリートの土台を打って、その上に木組をしてあります。ここいら辺も、残された写真を元にした鋭い観察力が活きています。雑然とした不要物が散らかる谷間を隔てて、手前側には伐採された山肌が聳えています。散らばっている木材は天然木の利用です。都会に住んでいる方々は、そんなものなかなか無いよ、と言われますが、決してそんなことは無いはず。正面ばかり見ていないで、足元をよ〜く見つめながら歩いてみて下さい。都心のお堀端でも桜の小枝が落ちているでしょうし(桜は結構イイ感じです)、たまに郊外に家族連れで出かけた時などは、まさに千載一遇のチャンス。家族そっちのけで、下ばかり見るようにしましょう。但し、一杯拾って来ても、使える部分は案外少ないものなので、可能な限り拾うように心がけましょう(決して折ったりしないように)。

   

古くからある手法ですが、一部の岩肌にはコルクブロックが上手に使われています。こうすることによって、とかく単一になりがちな岩肌を変化のあるものに仕上げています。そしてその隣には石積みのフェンスが。やはり橋のたもとには制限速度標識が立っています。

   

平田さんのモジュールには、自作の看板類が効果的に使われています。前掲の制限速度標識もそうですが、営林局による入山心得や火の用心の看板など、これがあると無いとではグッと感じが違ってきます。製作方法は実物の看板を写真に撮り、それをパソコンで縮小したものだそうですが、レイアウトビルダーのために、それらの看板を分けてくれてもいますので、皆さんも活用されてはいかがでしょうか?黒い熊は、北海道へ遊びに行った時のお土産だそうで、キーホルダーに付いていた親子熊のうち小熊の方を利用したもの。腹には虫ピンが付いていて、神出鬼没できるようになっています。切り株は上松の寝覚めの床の遊歩道から拾ってきた桧?杉?の枯れ枝の利用だそうです。

600x300のモジュールを大きいとみるか、小さく感じるかは人それぞれですが、線路配置もただの一直線で、これだけのものが表現できるものです。たった600じゃあ、大したものは出来ないからなあ、と思って大作に思いを馳せ、結局は置き場所が無いからと製作を諦めていませんか?決してそんなことはありません。貴方も是非チャレンジしてみて下さい。車両製作とは違う楽しさを、きっと見出すはずですから。

では次回は、製作中の画像を平田さんに解説して頂く事にしましょう。


PS:何と、3作目の「錦秋の助六谷」が既に完成してしまったそうです。恐らく10月のモデルワーゲン祭りでは公開して下さるのではないでしょうか?楽しみですネ。