酒井製3.5tGL



昭和53年に当時保存されていた天竜林業高校で採寸してから、製品化まで30年も掛かってしまいました。当時はまだメーカーを起こすつもりもなく、自分がスクラッチビルドする為だったのですが、平成17年に魚梁瀬で追加の採寸をした時には「これでいつでも製品化できる!」という確信を持ちました。
 エンドビーム間が僅か29mm、床板幅も僅か14mmという超小型機関車ですが、今までに助六の酒井製DLや野村組製GLなどを手掛けてきただけに、さほど驚くには値しませんでした。
 しかし最大のネックは、車輪の厚みなど模型ゆえの制限からどうしてもスケールよりも幅が広くなってしまう板台枠の外寸法でした。

この部分がスケールよりも幅広くなってしまうということは、床板から奥まった部分にある台枠が、スケールよりも奥まらなくなってしまうということです(スケールよりも0.4mm出っ張ってしまいます)。
 もちろん現行の車輪の厚さ2.0mmを薄くして少しでも台枠を引っ込めることも考えましたが、いちモデラーの工作ならばいざ知らず、製品として発売するにはポイント通過時の落ち込みなどの問題が発生するので、そのままとしました。
 となると、いつまで考えていても埒が明かないので、車体幅などはスケールダウンして台枠の奥行のみを変更して製品化に漕ぎ着けました。

この機関車は静岡県の水窪(みさくぼ)森林鉄道で使用されていたもので昭和34年7月製のC16型。昭和39年に廃止になる直前に上記高校に譲渡・保存されていましたが、平成10年に魚梁瀬に移されて今に至っています。
 3.5tという酒井としては超軽量小型機関車で、水窪においても運材列車牽引用(これには酒井製5tや協三製4.8tを使用)というよりも、区間運転用として使われていたようです。
 そんなことから、実車にとらわれずにタイトルカットのように、皆さんの森林鉄道でもマスコット的に可愛がってやるのがお似合いなのではないでしょうか(^O^)。




製品の造り方は小さいながらも本格的な当社流。エッチング処理された真鍮板をプレスで打ち抜いたものをメインに、各種のロストワックスで味付けをしていく、といういつもの流儀です。
 キャブ内には小型モーターを縦置きにセットして前後動輪をギヤー連動。ボンネット内とキャブ内、床板の下にもウエイトを配置しましたので、小さいながらも意外と重量感のあるものになりました。

なお、この小ささですので、DCC用デコーダーを搭載することは不可能ですので、その点は御了承ください。



トータルキット \23800、未塗装キット \47600、塗装済完成品 \59500



製品では形態を重視するために朝顔カプラー対応になっていますが、他社製品と連結させるためにはその車輌に別売の「朝顔カプラー(木曽用)」と「朝顔カプラー用ピン」「朝顔カプラー用リンク」を取り付ける必要があります。その場合には製品と一緒に御予約ください。

朝顔カプラー(木曽用)\492(2個入) 朝顔カプラー用ピン\462(10本入) 朝顔カプラー用リンク\411

塗装は当社製「MWカラー」の「MWC-02 王滝営林署DL用ブラック」「MWC-08 沼尻旧塗装用グリーン」「MWC-13 井笠用イエロー」と「MWC-09 クリヤー」「MWC-10 フラットベース」「MWC-17 ウェザリンググレー」「MWC-52 MWシンナー」「MWC-53 MWプライマー」をお使い下さい。



天竜林業高校に保存されていた頃の本機

馬路村に保存されている本機

キット組立講座