立山砂防の加藤製4tGL 酒井や北陸が天下のような立山砂防軌道ですが、まだ規格化される前の時代には加藤製GLも活躍していました。 5-Tg-4と5-Tg-5がそれで、5-Tg-5の方は嬉しいことに美しい姿で保存されています。 両者の違いは前妻板の表情、そして後妻板の窓の違いですが、「いかにも加藤」といったボンネットの高さに対してキャブが低いスタイルは独特の雰囲気を持っています。 見本では同じ立山砂防色に塗ってはつまらないので、片方は土工用に供されたような雰囲気に仕上げてみました。 こんな塗装も酒井では似合わないのですが、加藤ならピッタリです(*^^)v。 いま製造中の「なべとろ」と組み合わせて楽しめるのも加藤ならではの楽しみ方ではないでしょうか? そんな魅力あふれる「立山砂防の加藤製4tGL」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。 第1回 1.キャブの組み立てから始めます。5-TG-4と5-Tg-5とでは前妻板のみが異なります。その前妻板に窓枠を半田付けしますが、上側をヒンジにして少し開いた状態にするのも良いでしょう。塗装済完成品では特に御指定のない限り、閉じた状態で組み立てます。 後妻板には窓枠を半田付けしますが、プレスでは左右の太さに限界があるので僅かにヤスって頂く必要があります。ピッタリと段部分がはまるように仕上げて半田付けします。 その後妻板には上下取付板を裾合わせで半田付けします。 側板にはドアーを裾合わせで半田付けしますが、ドアーの脇は0.5mmほど開けるようにセットします。ドアーの小穴をガイドにφ0.4ドリルで穴を開けてハンドルを半田付けして、裏側に出た部分はカットしておきます。 2.妻板と側板とを半田付けして箱状にします。妻板の板厚が見える組み合わせで、前妻板は裾合わせ、後妻板は上合わせです。 屋根を半田付けしますが、前後左右均等になるように留意しましょう。バックライトを半田付けして、窓枠に引き違い窓を瞬間接着剤で接着します。 今回はウクライナ情勢で今までのように洋白板のt0.3が入手困難になってしまったので、やむなく真鍮のt0.3板を使っています。 どうしても真鍮板は洋白板に比べて柔らかいですので、このような繊細な部品の扱いには御注意下さい。 上下を僅かにヤスって窓枠にはまるよう調整します。5-Tg-4は2枚の引き違い窓で向かって右側が手前、5-Tg-5は塞ぎ板を接着してから大きな引き違い窓を手前に接着します。 作例の5-Tg-4では僅かに窓を開いた状態にしてありますが、塗装済完成品では特に御指定のない限り、閉じた状態で組み立てます。 3.ボンネットの工作です。ボンネットを万力で挟みラジエターを半田付けしますが、ロストワックスどうしの半田付けですから、接合面はよく磨いて半田が流れやすくなるようにして、シッカリと半田を流します。 もちろん横から見て直角になっているか、前後から見て捻じれていないか確認します。 横のテスリの後ろの支えの位置を目安に中枠を半田付けします。この部品もシッカリと半田を流すようにしましょう。 写真では湯口はカットした状態ですが、湯口が付いた状態で半田付けすると良いでしょう。 半田付けをしたら天井部分はニッパーでカットしておきます。 4.キャブとボンネットとを半田付けします。これも横から見て直角になっているか、前から見て捻じれていないか確認します。 後妻板にはボンネットの後ろ枠を半田付けして、前妻板の裾合わせでカットして仕上げておきます。 ボンネットの中枠の裾は写真のようにキャブの裾と高さが合うように仕上げます。しかも前妻板に貼ったものと同じ傾斜になるように留意しつつ。 第2回 1.下まわりの組み立てです。側台枠に軸箱を半田付けしておき、これをエンドビームとLの字に半田付けします。エンドビームの1個は上のディテールをカットしてツライチに仕上げておきます。 これを組んで箱状にしますが、前後左右から見て歪みのないように留意しましょう。側台枠の上面をガラスの上に置いてみてチェックすると良いかも知れません。 そのあと前後の床板を半田付けしますが、幅方向は僅かにヤスる必要があるでしょう。側台枠とエンドビームとのコーナーは僅かに削り落としたり、写真で赤く塗ったように僅かに斜めに削ったりして床板の上面が台枠の上面とツライチになるように注意します。 この作業が済んだら、前後の床板を跨いで定規を充てて歪みがないかもチェックしておきましょう。 2.側台枠の後方上部にはドアーレールを半田付けしますが、ドアーレールの裏側は半田メッキをしておくと半田は流れやすくなるでしょう。 3.ギヤーフレームの組み立てです。まず角型スペーサーを半田付けしてから前後の板をホゾ組で半田付けします。片方の板は段になっていますが、ギヤーフレームから出た部分が上を向くようにします。 もちろんこのギヤーフレームも歪みなく組み立てることが重要で、これが歪んでしまうと走行に影響します。 4.ここで上下を組み合わせてみますが、後妻板がドアーレールに嵌まり込む左右部分は僅かにヤスっておいて下さい。 そして横から見た時にキャブの裾と台枠の間に隙間がないかをチェックします。もしも隙間がある場合はキャブの後部をヤスっておきます。 5.砂箱はランナーから切り離し、排砂管4本とも広げておきます。 エンジンは写真で赤く塗った部分(後部のステイ)を根っこから斜め下に折り曲げて、そこの上部を水平にヤスリます。ステイの付け根が1mmぐらいになる感じが目安です。 6.仮に上まわりに砂箱とエンジンを入れてみて具合を見ます。エンジンの後方のステイが砂箱の中央に来る位置にセットしてみて、ラジエターの後方の板の上にエンジンが乗る感じで、エンジンに傾きがないかを確認しておきます。前方の排砂管はエンジンのステイの上に乗るような感じになります。 第3回 1.塗装作業です。まずMWC-53 MWプライマーで下塗りをしてから、上まわりと台枠は立山砂防色に仕上げる場合はMWC-11 ライトグリーンを、土工色に仕上げる場合はMWC-13 ダークイエローに塗ります。その他の部品はMWC-02 ディープブラックです。 2.Hゴム部分とボンネットの後ろ枠の内側、ラジエターに黒のプラカラーを塗り、プラ用シンナーを僅かに含ませた綿棒でラジエター保護棒の黒を剥がします。 3.ヘッドライトの内側には銀色を塗ってからリムとレンズを接着。 立山砂防の場合は別売の「アルプスモデル製インレタA」を貼ってから、土工用にする場合は添付のディカールの中から文字を選んで貼り、MWC-09 クリヤーでオーバーコートして艶を整え、MWC-17 ダークグレーで軽くお化粧してやります。 立山砂防のインレタは非常に狭い場所に貼るので難しく、クリヤーディカール(当社の他の製品に付属しているディカールの余白部分など)に一旦転写をして水貼りすると楽でしょう。 ここでもう一度上下を組み合わせて具合を見ておきます。 4.先ほど予行演習したように組み合わせて、砂箱とエンジンとを部組みします。 排気管の部分で木工用瞬間接着剤で接着して、捻じれがないかエンジンと砂箱とは水平になっているかなどをチェックして乾燥を待ちます。 さて、これが固まったらいよいよ上まわりに接着しますが、砂箱と上面とエンジンの前下部分に木工用瞬間接着剤を塗って固定します。 後方の排砂管はキャブ前妻板の位置でカットしておきます。 5.集電ブラシには半分にカットした配線を半田付けしておき、ギヤーフレームの動輪軸箱が入るU字型の部分はカッターで塗料を剥がしておきます。 アイドラーギヤーをアイドラー軸で止めますが、間に細かい部品が入りますので、なくさないように注意しましょう。Eリングで止めてみてギヤーの回転が固い場合には、アイドラーギヤーの側面をカッターで少し削って対処しましょう。 動輪は2種類あり、ギヤーが厚い方が可動軸動輪です。動輪の軸箱にはオイルを僅かに差しておき、ギヤーフレームに組み込みますが、可動軸の方は前側になるように、しかも軸箱の向きに注意しましょう。 ちゃんと動輪は上下方向に可動しますか?そうでなければ軸箱を回転させて、前後方向ではなく上下方向に可動するようにセットしましょう。 集電シューは動輪の裏側を軽く擦っていますか?あまり強く当たらないように注意しましょう。 動輪押さえ板は1.4x2mmビスで止めます。 6.ウォームギヤーと軸アダプターとは木工用瞬間接着剤で接着しておき、モーター軸に同様に接着しますが、モーターの軸受とアダプターとの間は2mm開くようにしましょう。2mm角の桧棒があるとスケールになって良いかも知れません。 7.台枠にモーターを組み合わせます。間にモーター台を挟みながら1.4x3mmビスで止めますが、床板の長穴のちょうど真ん中あたりにセットすると良いでしょう。 モーターは+端子は右側(後ろ側)にセットしておきます。配線はレールと並行に端子に半田付けします。 ギヤーフレームは1.4x1.4mmビスで床板に止めます。前方の排砂管は動輪と当たっていないかを確認しておきましょう。 窓ガラスにプラ板などを使い貼っておき、上下を組み合わせますが、後方は1.4x2mmビスで、前方はウェイトを介しながら1.4x6mmビスで止めて出来上がりです。 |