キット組立講座

立山砂防の保冷車*9-10-8型
立山砂防の上部点検車*12-10-1型



安全に作業員を輸送できるよう、根本から見直して製造された新系列の客車たちです。
その新系列客車の中でひときわ異彩を放っているのがこの2両の特殊な客車です。
保冷車はその名のように車内に冷蔵装置を搭載したもので、水谷にある合宿所まで新鮮な食料を運ぶために製造されました。
屋根上の冷房装置や前後非対称の大きなドアーが特徴です。
上部点検車はパノラミックウィンドウではないものの、妻面から側板にかけての大きな窓、そしてこの車両だけは形状が異なる屋根上の大きな窓が目を引きます。
これらの客車たちを人車の編成に組み込むことによって妙味が増し変化が出るので、ぜひ組み込んでみたい車両たちです。
そんな魅力あふれる「立山砂防の保冷車・上部点検車」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まず側板にドアーを半田付けしますが、いずれも上面合わせになります。保冷車のドアーは端から0.5mm空いた位置が良いでしょう。その後でドアーハンドルを半田付けします。



2.次に妻板の上部の段差になっている部分合わせで雨樋を窓枠の外側に半田付けします。
 保冷車の方は妻板の凹んでいる部分にダクトを半田付けしますが、このようなエッチングヌキ部品を半田付けする際には裏側を半田メッキしておくと半田が流れやすいでしょう。またランナーがあった部分は下方に向けておくと奇麗に見えるでしょう。
 その後でワイパーとヘッドライトケースを半田付けしますが、上部点検車はこの段階でワイパーは付けません。
 また、見本では排気管を半田付けしていますが、塗装の段階で「これは後で接着した方が奇麗に仕上がる」と判断して半田付けを剥がしました。ですから、皆さんは排気管を半田付けしない方が良いでしょう。



3.妻板の裏側センターには上下取付アングルを半田付けしますが、妻板の裾から床板の厚み分0.5mmを上げるようにします。そのためにはアングルの上面である5.5mmの位置にラインをケガいておくと正確に位置出しが出来るでしょう。



4.側板と妻板とを箱状に組みますが、妻板の板厚が見える向きで組み合わせます。また、上下方向は妻板上部の段差部分合わせにします。
 保冷車は妻板の板厚部分に上合わせで雨樋を半田付けします。

 


5.上部点検車も同様に箱状に組みますが、箱にしたあとで窓にあるランナーを糸ノコかヤスリで切り取ってしまい、その部分を丁寧に仕上げます。

 


6.上部点検車の屋根板の上部段差部には小さなダクトを瞬間接着剤で接着しますが、端から1.2mmの位置です。また、この部品もランナーがあった方を見えないような下方にしておくと良いでしょう。
 また屋根上冷房装置にはダクトを接着しますが、外観図をよく見て間違えないようにしましょう。
 箱状にしたら、ドアーの上部を斜めにヤスっておき、屋根板が上手く被さるようにします。
 ここで一応屋根板を合わせてみます。妻板との間に隙間はないですか?この屋根板の精度はかなり正確に仕上がっているので、何も修正しなくてもピッタリと合うと思いますが、妻板の段差部から雨樋が出ていたり、側板との組み合わせが不正確だと歪みが生じてしまいます。
 屋根板の傾斜を指で修正したりして、出来るだけ隙間が生じないようにしましょう。



第2回

1.次は下まわりです。まず床板にブレーキシューとサイドブレーキ装置を半田付けしますが、床板の表裏には注意して下さい。サイドブレーキ装置の歪みを修正するだけでブレーキシュー側の足は床板に半田付けしません。
 次にエンドビームを半田付けしますが、床板との隙間を1mmあける(エンドビームの取付板部分は半分だけ床板に掛かる)ようにします。
 ここで一応カプラーの穴をΦ0.8mmドリルでサラっておきます。



2.エンドビームの左右のアングル上方には小穴があるはずですから、その穴をΦ0.4mmドリルでサラっておき、解放テコを組み合わせて半田付けします。
 その際に波状の電気配線と干渉する場合は電気配線が解放テコと触らないように曲げておいてやります。
 この電気配線は塗装の段階で黒く筆塗りしますので、解放テコと触っていない方が作業がしやすいためです。



3.台枠には軸受を瞬間接着剤で止め、仮に床板に組み付けてみます。

 


第3回

1.塗装作業です。まずMWC-53 MWプライマーで下塗りをしてから、上まわりと床板まわりをMWC-19 フレッシュグリーンで、保冷車の屋根と冷房装置をMWC-03 クリームで塗りダクトはプラカラーで黒く塗っておきます。
 妻板の窓枠とヘッドライトケースの内側、ドアーハンドルや保冷車の排気管寄りの小さな窓の凹みは銀色で筆塗りをし、Hゴム(上部点検車の妻面〜側面の窓も)やワイパーは黒く塗っておきます。

 


2.クリーム色に塗った保冷車の屋根はダクトをマスキングしてMWC-15 ライトレッドを塗り、別にクリーム色に塗っておきダクト部分は黒く塗っておいた冷房装置を接着します。
 これをボディーに被せてから、妻板内側上部に木工用瞬間接着剤を付けて固定します。
 床板まわりの方はエンドビームから上を丁寧にマスキングして、台枠と共にMWC-02 ディープブラックで塗り、電気配線とアングルにある配線箱を黒く筆塗りし、サイドブレーキハンドルを白く筆塗りしておきます。
 ここで上下ともに好みによりMWC-10 フラットベースを加えたMWC-09 クリヤーでコーティングをして艶を整えておきます。

 




3.窓ガラスはプラ板などから切り出して接着しますが、ヘッドライトケースの凹みに合うように小さく四角く切ったものを透明ゴム系で接着します。
 また保冷車の片側の妻板の窓ガラスは窓枠のない引き違いですので、プラ板に軽くカッターでラインを中央部に入れておき、それを外側にセットすると良いでしょう。
 試しにt0.2mmのプラ板で引き違いを表現してみたのですが、やたら大袈裟になってしまい、カッターラインだけの方がスッキリして良かったです。
 因みに引き違い窓ガラスですから、ワイパーは向かって右半分でしか動きませんので、ワイパーは間違っても左向きにセットしないように(^O^)。
 上部点検車の妻面〜側面の窓はその寸法を実測してみて「コの字型」になるように軽くカッターでラインを入れて、それを外側にして折り曲げて接着します。

 


4.先ほど予行演習をしたように、車輪を組み込みながら台枠を床板にビスで止めしてからサイドブレーキ装置の足を瞬間接着剤で止め、上下もビスで止めます。
 保冷車の屋根上のダクトには方向性がありますので、非サイドブレーキ側になるように注意します。
 これで出来上がりです(^^♪。

 














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