キット組立講座

簡易軌道シリーズ
浜中の釧路製牽引客車



まだ道路が整備されていない頃、浜中町の酪農家の通学列車として活躍したのが、この客車です。
 朝は集乳缶を満載したミルク列車の後尾に連結されて、夕方は空になったミルク缶と共に家路につく、そんな日常が繰り返されていた訳で、その混合列車は道東の簡易軌道をイメージした時に欠かせないものとなっていました。
 製造はミルクカーと同じ釧路製作所ですから、台車も同じ物が使われていました。したがって乗り心地は決して良くないと思いますが、車内には子供たちの元気な声が響いていたのではないでしょうか?
 そんな浜中の釧路製牽引客車の魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。
 なお、製作見本では「クリームと朱色の初期型」と「濃淡グリーンの末期型」を作りましたが、ディテール的には初期型で塗装が末期型の「中期型」を作られる場合には、この内容を勘案して参考になさって下さい。



第1回
1.まず側面内側に窓枠を半田付けしますが、窓枠はランナーから切り離すと反ってしまいますので、指で軽く平らになるように修正しておきます。その位置ですが、左右方向は左右均等になるように、上下方向はドアーの真ん中のヒンジ部分がちょうど嵌るようにセットします。
 妻面は裾の切り込み部が揃うようにして、軽く左右の合わせ目に半田を流しておき、その後に中央部で「ヘの字」型に折り曲げたものを裾合わせで半田付けします。



2.次にオデコ部分にロストを半田付けしますが、無理やり押し込むと半田付けをする際に妻面の継ぎ目が弾けて離れてしまいますので、車体に差し込む際に少しヤスって軽く入るようにしておき、半田を流すようにしましょう。
 屋根の継ぎ目や妻面との部分にシッカリと半田を流しておいてから、継ぎ目をヤスって仕上げます。
 初期型・中期型にする場合には前面に雨樋がありますから、屋根の継ぎ目を重点的に仕上げれば良いのですが、末期型の場合はロスト部分から前の雨樋を削り取りながら妻面の継ぎ目も目立たないように仕上げます。
 もしもこの継ぎ目に隙間があると塗装をした時に目立ちますので、入念に仕上げましょう。



3.車体にアングルを裾合わせで半田付けします。



4.妻面下部にはカプラーを半田付けしますが、半田付けをしたらボディー内側に出っ張った部分をニッパーでカットしておきます。
 屋根には煙突を半田付けします。初期型・中期型には妻面上部に標識灯を、末期型には下部にコンセントを半田付けしますが、標識灯の穴はφ0.6mmドリルで明け直しておきます。末期型の場合には煙突は座を残してニッパーでカットして平らに仕上げておきます。
 通風器には小さな湯口がありますので、丁寧にサンドペーパーで仕上げてから瞬間接着剤で屋根に止めます。

 


第2回
1.床板にボルスターをシッカリと半田付けします。ネジ穴に半田が流れ込んでしまう場合もありますので、一応ネジ穴は1.4mmのタップを通しておくと良いでしょう。



2.台車枠に軸受を半田付けします。この軸受がある事によって、転がり特性は格段に良くなっています。


第3回
1.総ての部品をMWC-53 MWプライマーで塗ってから、床板から下の部分はMWC-02 黒で塗ります。ボディーは初期型はMWC-03 クリーム色で、中期型・末期型はMWC-11 ライトグリーンで全体を塗ります。
 ボディーをサッと塗ってみて、もしもオデコの継ぎ目に隙間が出ている事を発見した場合には、緊急措置として瞬間接着剤をその部分にパテを盛るように塗り、乾燥してから600番ぐらいのサンドペーパーで仕上げてやると良いでしょう。
 写真では判りにくいかも知れませんが、手前側のオデコは瞬間接着剤を盛った状態で、この部分を仕上げてから再度塗ります。



2.初期型の場合はドアー中央のヒンジ上を目安にマスキングをしてMWC-15 赤色を塗ります。更に雨樋部分とオデコのロストワックス部分をマスキングしてMWC-17 ダークグレーを塗ります。



3.中期型・末期型の場合はドアー中央のヒンジ下を目安にマスキングをしますが、写真のように説明書の外観図の上に100x30mmほどのプラ板を、その中心と前面の中心とが合うようにセロテープで止めます。次に定規を使って軽くカッターで塗り分け線をなぞっていきます。「金太郎」の部分はフリーハンドで良いでしょう。そうしたらマスキングテープをこれに貼って、いま付けたカッターの溝をなぞっていきます。余分な部分を剥がしたら金太郎姿のマスキングテープの出来上がりです。これを車体に貼り付けてMWC-18 ディープグリーンを塗ります。
 これが乾いたら、雨樋部分を残して総てマスキングをしてMWC-15 赤色を塗ります。
 最後にストライプを可能な限り余白を残さないように切り抜き、水に浸して浮いたところで注意深く貼っていき、マークソフターなどて密着させます。

 


4.カプラーは取付ベースも含めて黒く、Hゴムにプラカラーのダークグレーを塗ってから、好みでMWC-09 フラットベースを加えたMWC-10 クリヤーでオーバーコートして艶を整え、更に軽くMWC-17でウェザリングをしましょう。
 塗装が終わったら、初期型・中期型の標識灯レンズ部にはプラ用塗料のクリヤーレッドを差すとグッと良くなるはずです。

 


5.窓ガラスをプラ板から切り出して貼り、台車は車輪を組み込みながら1.4x2mmビスでマクラバリに止め、歪みが無い事を確認してからスプリングを介してセンターピンで床板に止めて、これを1.4x2mmビスで車体に止めて出来上がりです。










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