キット組立講座

沼尻のガソ101

木曽シリーズに続いて、当社が満身の力を込めてお贈りする新企画「シリーズ沼尻」。そのトップバッターがこの製品です。人気車種だけあって過去、各社から製品化されましたが、当社は「木曽シリーズ」と同様に、現時点で当社が投入できる技術の総てを注ぎ込んだ「力作」になっています。各種のインテリアが装備された車内や、開閉可能な後部バケットなど、遊び心も満載したガソ101。その楽しさを充分味わってみて下さい。

第1回
1.車体本体の組み立てから始めます。車体はコーナーのRを表現するために、コの字型のパーツを向かい合わせて組み立てるような構造になっています。まず、折り曲げ済みのウインドウシルを側板窓下のエッチングで凹んだ部分に半田付けして、ドアー部分の余分な長さをカットしてヤスリで仕上げます。その後に側窓枠と正面の下部窓枠を半田付けしてから、前後の車体を組み合わせて箱状に組み立てます。側窓枠は、ドアーの下部が車体の裾と合うところで位置決めをします。
 


2.車体に細かい部品を付けていきます。ドアーの靴ズリはアングル状になっていますので、ドアー下部に引っ掛けるようにして半田付けをします。正面の上部窓枠は開いた状態も再現できるようになっています。車体の2個のガイドに窓枠の突起を合わせると位置決めが出来ます。なお、窓枠のランナーは上にくるようにしますので、多少ランナーの仕上げが雑でも目立たないでしょう。ヒサシやヘッドライト、ワイパーやエンドビームを半田付けしていきます。折り曲げたヒサシの上部はウインドウヘッダーの下面と合うようにします。エンドビームは車体に入り込みますが、大きな鋳物ですので寸法的に誤差が生じています。車体に入りにくいようでしたら、車体側の左右を少しヤスッてみて下さい。前部には排障器を付けます。また、朝顔カプラーを装着した場合に、前が下がってしまいますので、カプラーが入る部分は段差が無いようにヤスッておいて下さい。後部にはバケットが装備されますが、割ピンを車体に差し込んでバケットを組み合わせてから、車体内側で割ピンを軽く半田付けします。チェーンは16連の所でカッターで切ってから、あらかじめ車体に半田付けをしておいたフックとバケットのピン部で半田付けします。ちゃんと開閉しますか?少し渋い位がちょうど良いでしょう。沼尻鉄道仕様の場合には、仮にラジエターを正面穴にセットして、ラジエター保護棒の一端がラジエターの下とエンドビームの間に入るかどうかを確認しておきます。入らないようでしたら、穴をヤスッて対処して下さい。ドアー脇のテスリは、2色に塗り分ける場合には、半田付けしない方がマスキングが楽でしょう。差し込む穴だけはΦ0.4ドリルで開けておきます。
 


 


3.屋根板を組み立てます。湯口をカットしたら、通風器を半田付けします。この状態で車体に乗せてみて、歪みがあるようでしたら指でねじったりして、車体にピッタリと合うように修正しておきます。吊革ハンガーはエッチングで凹んだ側を谷折りに曲げておき、写真のような位置に瞬間接着剤で止めます。エンジンカバー・運転手椅子・ブレーキハンドルをキャブ床板に半田付けします。ポールはあらかじめエンジンカバーに組み合わせておきます。これで一応、上まわりの組み立ては完了です。
 


第2回
1.次はギヤーフレームの組み立てです。角型スペーサーと板スペーサーとで組んでいきますが、歪まないように注意しましょう。動輪をはめ込んでみて、4輪がちゃんと着地するか、軸箱がスムースに入るか、などをチェックしておきます。少しでも歪んでいるようでしたら、焦らずにもう一度組み直す気持ちで対処して下さい。動輪押さえ板には左右のブレーキシューを半田付けします。ハンガー部分は湯口のところでカットしておきます。
 


2.床板には軸受とステップを半田付けしますが、床板の表裏を間違えないように注意して下さい。配線コードは半分にカットして、写真のように半田付けします。ウエイトは写真のように、ネジ穴が近い方の両端を斜めにヤスッておきます。


 


3.さて塗装です。磐梯急行仕様の2色塗りにする場合は、全体をクリーム色(スカ線クリーム)に塗ってから、窓部分(シル・ヘッダーを含む)とヒサシをマスキングしてライトブルーに塗ります。見本では京浜東北線ブルーと京阪若草色とを3:2に混ぜてみました。グリーンに塗る場合は近鉄ダークグリーンが良いでしょう。正面の箱はライトブルーもしくはダークグリーンに、ラジエターは別に黒く塗っておき接着します。ライトケース、エンドビーム、後部バケット、チェーンをプラ用塗料で黒く塗ります。2色塗りの場合は、テスリを車体と同様に塗り分けておき接着します。


 


4.2色塗りの場合は、窓のテスリをライトブルーに塗ります。シートは別に紺色に塗っておき(この色は好みで良いでしょう)、窓枠のエッチング板に突き当てるような位置に接着します。このような垂直な部分の接着には、ゴム系を使うと良いでしょう。
 


5.吊革を白く塗りますが、竹串に割りを入れておき、そこに一端を差し込むと作業がし易いでしょう。屋根は2色の場合にはダークグレーを、ダークグリーンの場合は黒く塗っておき、吊革を組み合わせて、C型の爪を潰して軽く止めます。
 


6.屋根板をエポキシ系で接着します。出来るだけ接着剤が表にはみ出ないように注意しましょう。作例では「アルプスモデル」のインレタを貼ってみましたが、この段階ではまだ磐梯急行の社紋が出来上がっていなかったので、貼っていません。沼尻仕様の場合は、正面ヒサシ上に水タンクを接着しますが、あらかじめ給水口は片側ずつカットしてから、塗っておきましょう。ラジエター保護棒は黒く塗っておき、少量のエポキシで接着します。この段階で全体をクリヤーラッカーでオーバーコートしてから、軽くウェザリングをしておきます。多少はみ出たエポキシ系接着剤も目立たなくなるでしょう。
 


 


第3回
1.ギヤーフレームには4個のギヤー(同じです)を組み込みますが、動輪間中央のギヤーはプラ軸で、その他のギヤーはシャフトとEリングで止めます。動輪を組み込み、押さえ板を1.4x2mmビス(小頭)で止めます。
 


2.2種類の絶縁ワッシャと1.4x2mmビス(小頭)を使って、床板に集電シューを止めます。配線コードは小穴を通しておきましょう。床板にはモーター止板を1.4x2mmビス(大頭)で止めます。ギヤーフレームを床板に1.4x1.4mmビスで止めます。
 


3.モーターはマシマのラベルが下側を向くように1.4x2mmビス(大頭)で止めて、写真のように配線します。ウォームはモーター軸に仮に差し込んで見て、ギヤーの噛み合わせを調整してから、1.4mmイモビスでモーター軸に止めて、あらかじめ黒く塗っておいたウエイトを1.4mmタッピングビスで止めます。DCC用デコーダー(当社扱い:LENZ-LE0511W \3360)を搭載する場合には、赤と黒のコードを35mmに、グレーとオレンジのコードを15mmにカットして、写真のように配線して、モーターの上に強力な両面テープで貼っておくと良いでしょう。ライト関係の青・黄・色のコードは根元からカットしておきます。
 


4.キャブインテリアは作例では写真のように、旧塗装の場合はクリーム色に、新塗装の場合は若草色に全体を塗ってから、椅子のモケット部分を紺色に塗りました。プラ板で窓ガラスを貼ってから、キャブインテリアを前面のエンドビームの上に少量のエポキシ系で接着しますが、出来るだけ前妻板に密着させるようにしましょう。作例では「DL用運転手」を乗せてみました。朝顔カプラーは前後用として2個入っていますので、好みに応じてKDカプラーと交換できるようになっています。1.4x4mmビスで止めます。車体と床板とは1.4x2mmビス(大頭)で止めて出来上がりです。床下のディテールは点対象ですので、前後どちらでもOKですが、デコーダーを搭載して写真のように配線をした場合には、ウォームギヤーが後方になります。
 





アルプスモデルから「磐梯急行」の社紋インレタが出来上がってきましたので、早速情景写真を撮影してみました。撮影に使ったモジュールレイアウトは、畑中 博氏の作品「雨の酸川野」です。雨の風情の中に家路を急ぐ少女が、何とも愛らしい情景です。