キット組立講座

木曽の協三製10tDL

酒井製DLが天下の木曽森林鉄道にあって、玄人好みなロコ。それが協三です。今回製品化された3種は、いずれも北見営林局から転属してきたものでした。外観的にも酒井とは一線を画すデザインで、担いバネが露出した鋳鋼台枠や、ラジエターまわりのスタイルは、そのまま「軽便用」としても適用する点が特徴でした。ですから、同じ上松色に塗られていながら一際目立つ存在でした。
 そんな魅力あふれる木曽の協三製10tDLの楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。

第1回
1.ボンネットから組み立て始めます。最初に仕切板とラジエターカバーをボンネットに半田付けします。仕切板の上コーナーは少し角をヤスッてやると落ち着きが良くなるでしょう。そして、細かいパーツを半田付けしていきます。砂箱蓋はヒンジが内側にきますので、間違えないようにしましょう。テスリは真ん中の支えをボンネットに半田付けしてから、それを高さガイドにしながら、コの字型のテスリを半田付けします。
 


2.ラジエターカバーにはグリルを半田付けし、さらに票差を半田付けしますが、126号機だけは1段低い位置に付けます。写真は左から順に126・127・141号機です。
 


3.次にキャブの組み立てに移ります。まず、前後の窓枠や上下取付板を下面ツライチで半田付けします。127号機は窓枠を少し開いた状態で固定するのも楽しいでしょう。キャブ本体は前後に2分割されていますので、継ぎ目を仮に半田付けして箱状にします。
 


4.ドアーにはあらかじめテスリを半田付けしておき、裏面はツライチに仕上げておきます。これをキャブに半田付けしますが、下部の滑車部分がキャブの下面と合う位置にセットします。さらにドアーレール・テスリ・雨樋の順に半田付けしていきます。雨樋は上面合わせです。これでキャブもしっかりしました。
 


5.細かい部品をキャブに半田付けしていきます。後ろの票差は下から10.5mmの位置に上面がくるようにします。
 


6.屋根板の左右裾には雨樋が付きます。ガラス板の上に屋根板を置いて、それに雨樋を沿わすように半田付けをすると良いでしょう。また、127号機の屋根板にはヘッドライトが付きます。半田付けしたら、裏側をツライチに仕上げておきます。キャブインテリアも組み立ててしまいましょう。計器盤は塗装後に接着しますが、他の部品はキャブ床板に半田付けして、裏側をツライチに仕上げておきます。
 


7.屋根板をキャブに半田付けします。キャブの内側から半田付けを素早くしますが、前後部分だけで充分でしょう。写真は仮にキャブをボンネットとビスで組み合わせてみた状態です。写真左から順に126・127・141号機です。これで上まわりは出来上がりました。
 




第2回
1.下まわりの工作ですが、この段階は非常に重要です。歪みのないように注意しましょう。まずギヤーフレームから半田付けを始めます。まずは、写真左のように角型スペーサーを挟んでフレームを半田付けします。そうしたら、治具に1.4x2mmビスで止めた取付板を組み合わせて半田付けします。前後左右からすかすように見て、歪みがないかもチェックしましょう。もしも歪みがあったら、完成後に4個の動輪がレールに密着しなかったり、車体が傾いたりしてしまいますから。


2.台枠の工作です。まず、エンドビームにカプラーとブレーキホースを半田付けします。このようなロストワックス同士の半田付けには、ステンレス用フラックスを薄めて使うと良いでしょう。さらに接合面はキサゲ刷毛などで一皮剥いておくと、なおさら半田の流れが良くなるでしょう。126号機だけは2段、他の号機は3段カプラーです。側台枠と組み合わせて箱状にしますが、側台枠の上面がエンドビーム裏側の突起の上面と合うようにして、歪みが無いように注意します。Lの字型に半田付けしたものを組み合わせて箱にします。モーターブラケットは写真の赤く塗った部分を斜めにヤスッておきます。
 


 


3.これに床板を半田付けします。あえて床板の長さは僅かに長めに出来ていますので、現物合わせでヤスッてピタリと合うようにして下さい。台枠自体に前後の方向性はありませんので、上手く合うようにしましょう。床板がプレスで歪みが生じている場合もありますので、すかして見て平らになるように指の腹で修正しましょう。また、台枠の上面自体も歪みが生じている可能性もあります。この場合もヤスッて仕上げましょう。半田付け自体は台枠の前後と中ほどの3点で大丈夫でしょう。床板を半田付けしたら、これにステップとドアレールを半田付けしますが、位置は外観図をよく見て決めて下さい。但し床板には前後方向がありますので、ステップを半田付けする際には注意しましょう。床板の端に1.4mmのネジ穴が2個ある方が前側、3個ある方が後ろ側です。ステップは完成後に触って折れ易い部分ですので、しっかりと半田と流しておきましょう。ここで、上まわりを組み合わせてみて、ラジエターグリルの下部が、エンドビームの角穴に入れて、さらに前方にスライドさせた時に、グリルの前辺がエンドビーム隅と同じ位置までくるかどうかを確認しておきます。来ない場合には、角穴のコーナーなどにロストの塊がある場合も考えられますので、下部の方をヤスッたりして、しっくり来るように調整して下さい。
 


第3回
1.塗装です。「木曽のキャブフォワード」と同様に、塗装後にビス止めする構造になっているので、塗り分けはかなり楽になっていると思います。ボンネットの上半分はグレーの127号機以外は、全体をクリーム(マッハ模型のラッカーだったら15番)に塗ります。127のボンネットはグレーです。その後に外観図を見ながらマスキングをして、マルーン(同様に阪急マルーン)を塗ります。126号機は旧塗装に仕上げてみたので、別売の「木曽のDL用ディカール(¥630)」を使用してみました。
 


 


2.インテリアはライトグリーン(作例では京阪若草色)に塗り、椅子の座面や背もたれを紺色に塗ります。メーターパネルのメーター部分には、白を差しておくと良いでしょう。黒く塗っておいた床板+台枠に、このインテリアを1.4x4mmビスで止めますが、その時にウエイトを間に挟みます。作例では別売の「キャブフォワード用運転手&運転助手(¥1050)」を乗せてみました。メーターパネルは窓ガラスを貼ってから最後に接着します。
 


3.ギヤーフレームは黒く塗っておき、アイドラーギヤーをアイドラー軸+集電シュー+スペーサーなどを挟みながらEリングで止めます。ギヤーフレームは動輪の軸箱が入る部分をカッターなどで磨いておいてから動輪をはめて、押さえ板は1.4x2mmビス(小頭)で止めます。シューには半分にカットした配線コードを半田付けしておきます。
 


4.2色目を塗ったら、排気管やヘッドライトケース、タイフォンを黒く、Hゴム窓をグレーに塗っておきます。但し、ヘッドライトケースは時代により、また号機によりクリーム色のものもありますので、好みでも良いでしょう。リムやレンズもエポキシで接着しておきます。作例では別売のアルプスモデル製インレタAを使って、ナンバーを入れてみました。この段階でクリヤーラッカーでオーバーコートして、さらにレンズ部分にクリヤーのプラカラーを差しておきます。ここでヒント。プラカラーのクリヤーは乾燥すると縮み皺シワになってしまいますので、乾いては塗り、乾いては塗りを3回ほど繰り返すと、こんもり盛り上がったイイ感じになります。
 


5.窓ガラスをプラ板などを切り出して貼ってから、キャブには計器盤を接着します。上下取付板の上側に引っ掛けるようにすると位置が決まります。最後にボンネットとキャブとを1.4x3mmビスで止めます。
 


6.組みあがった上まわりです。3者3様、各々ディテールや塗り方が違って楽しいですね。
 




7.ギヤーフレームは床板に1.4x2mmビスで止めます。モーターはマシマのラベルが上側にくるようにして、モーターブラケットに1.4x2mmビスで止めて(一番上の位置になるようにするとギヤーの噛み合わせが良いでしょう)、さらに床板にも1.4x2mmビスで止めます。最後にウォームをイモネジで止めますが、ウォームは一番奥まで押し込むようにします。配線は写真のようにします。DCCのデコーダー(当社扱い:レンツ製LE0511W \3360)を搭載する場合は、白・青・黄のコードを切り離し、各々根元から黒は32mm、赤は37mm、グレーは60mm、オレンジは65mmにカットします。写真のように黒と赤は集電シューに、グレーとオレンジはモーターに配線します。上下の組立は、ラジエターグリルの下部突起を台枠に引っ掛けて前に押し込むようにしつつ、動輪押さえ板と第2動輪を一旦外して1.4x3mmビスで止めます。
 


 


8.最後に右側前部のテスリを、ボンネットと床板の穴に差し込んで接着して出来上がりですが、別売のアルプスモデル製木曽森林用サボ(\525)を貼ると、グッと引き立つでしょう。