キット組立講座

木曽の丸型タンク車
タンク車は田島に積込基地があり、奥地で働くDLや集材機などに、そこからガソリンを配布する目的で作られ、丸型(6両)・大型楕円(19両)・小型楕円(6両)の3種類がありました。
  今回製品化するものは一番タンク車らしい丸型で、随所に当社の製品らしい色付けがされていますので、他の車両とも釣り合いが取れる出来です。
  台車部分は新たに、従来の丸軸受とは異なる平軸受の木製のものをロストワックスで新調し、いつもながら定評のあるブレーキ装置などの再現にも努めていますので、たかが小さな貨車とはいえ、かなりな充実度に仕上がっています。ブレーキポストの反対側に装備された、給油用のホースがチャームポイントですネ。この車輛にはポンプ装置がありませんので、給油には恐らく一旦ポリタンクなどに受けて、そこからDLなどの給油口に注いでいたのではないでしょうか?
  また、タンク車用の赤文字のインレタは、「アルプスモデル」から同時に発売されていますので、これを使うと更に細密感が増すことでしょう。

写真をクリックして大きいサイズで御覧ください。

第1回
1.まずハッチと給油口受の下部を半田メッキして、フラックスを塗ったら、タンクの穴に差し込んでガスコンロの火にかざして半田付けをします。タンクはコテを使う普通の半田付けの方法では、熱が充分に伝わらないので、このような方法を採ります。暫くすると、半田が溶けてブチブチ言い始めますので、そのときに部品を落とさないようにしましょう。タンクが充分加熱されると赤黒く色が変わり、半田が部品に廻りますので、そうしたら万力などの上に素早く置いて、まだ熱い状態のままで半田ゴテで給油パイプをタンクの下部と給油口受けの穴に半田付けします。パイプは写真を見ながら適当に曲げておきましょう。

2.今度はタンク座をタンクのバンドの上に跨らせて、それを冶具がわりにしながら上下取付板を半田付けします。これで上まわりの組み立ては完了です。

第2回
1.側台枠の穴に軸受を差し込み半田付けします。運材台車でも同様ですが、この軸受があるために、ロスト部品で車軸を受けるのとは格段の違いで転がりが良くなっています。

2.主台枠とエンドビームを組み合わせて半田付けします。エンドビームに小さな穴がある方が写真の上側になるように留意しましょう。

3.片方のエンドビームにブレーキテコを半田付けし、さらにブレーキシャフトをブレーキテコの穴に差し込みながら、ブレーキポストを半田付けします。

4.2本の1.4x2mmビスで止めて出来上がった台枠です。仮に車輪を組み込んで、転がりや歪みをチェックしておきましょう。

第3回
1.塗装に掛かります。タンクは全体に銀色に塗り、ホースだけをあとからプラカラーで黒く塗ります。タンク座は逆に全体を黒く塗っておき、上下取付板とタンク座の下部以外の部分をプラカラーで銀色に塗ります。台車の部分は一旦ビスをバラして全体に黒色に塗り、再度組み立てます。最後にブレーキシューを接着します。

2.タンク座を2mmビスで台車に止めて、上部の凹溝に少量のエポキシ系接着剤を塗ります。そしてタンクを注意深く乗せて接着します。この時にハッチが真上にくるように留意しましょう。上下取付板のネジ穴はセンターではありませんので、写真を良く見て注意してください。ホースがデッキと反対側にくるようにします。但し、現在確認できている範囲でNo.16はデッキ側にホースがありました。

3.最後に別売の「アルプスモデル製木曽タンク車用インレタ」を使ってレタリングを入れてから、MWC-17 ウェザリンググレーでサッと薄化粧して出来上がりです。
早速お気に入りの機関車に牽かせて、山奥の現場に給油しに行ってあげて下さい。きっと貴方の到着を待っていますよ。