モデルワーゲンの車輪規格

時々ユーザーの方々から「モデルワーゲンのナローはNゲージのレールでも走りますか?」というお問い合わせを受けます。考えてみれば、いままでその話をしたことがありませんでしたので、ここで改めて当社の規格について述べてみようと思います。

まず、話の発端となった当社のHOe製品について、お話を致しましょう。
 現在、一般的に入手可能なHOe(9mmナロー)用線路は2種類あります。ひとつはシノハラ製、もうひとつは英国PECO製です。皆さんはこれらのレールのゲージは9mmだと疑いもせずに購入されていると思いますが、実は違うのです。もしもお手元にノギスが在れば測ってみて下さい。シノハラ製品は9.4mm(実測値、以下同様)だということに驚かれることでしょう。PECO製品はキッチリ正確に9mmです。
 当社初のHOe製品「歌登の単端」を製品化する際に、どちらに合わせるべきかを熟考しましたが、例えシノハラ製品が国産の製品で入手が容易であるとは言え、ちゃんとした9mmゲージのレールがある以上はPECO製品に合わせるべき、と判断して同社のレールに合うように設計を致しました。
 では、もしもシノハラ製レールの上で当社の製品を走らせた場合に、どうなるか?ということをお話致しましょう。僅か0.4mmと笑って見過ごせない問題が生じます。運材台車のように地を這うような車輛の場合、低い床板(というのが正しいかどうかは別問題として)の下にはブレーキテコ関係の部品が、狭いスペースの間にギリギリの設計で豊かなディテールで表現されています。0.4mm幅広いということは、車輪踏面の傾斜によって車輛が斜めに傾いてしまったり、所定の高さを確保できないことを意味しています。この場合にはブレーキテコの最下部がレールに触れてしまう場合も考えられますし、ポイントのフログ部分などでは、つっかかってしまう場合も考えられます。
 Nゲージのレールの場合にはどうでしょうか?同じく一般的に流通しているものとして、KATO製品とTOMIX製品とがあります。前者のゲージは9.2mmで、後者の場合には2種類存在します。道床が茶色い旧製品は8.7mmでしたが、グレーの新製品は9mmに是正されています。TOMIXの旧製品で当社の車輛を走らせた場合、フランジが完全にレールの下に入らず、場合によっては脱線してしまう事もありえますので、ご注意ください。

一方HOj(12mmゲージ)の場合です。当社が初の製品「上芦別の9200」を製品化した際には、シノハラ製品とドイツBEMO製の2種類がありましたが、BEMOの場合には曲線が急なものしかありませんでしたので、シノハラ製レールに合わせて規格を決めました。因みに同社製レールのゲージは12.4mmです。シノハラ製品にはレールそのものが国内向けの洋白色ものと、輸出用の黒メッキされたものとがありますが、ゲージは同一です。
 当社の規格についてですが、HOe製品のようにレール面すれすれのディテールというものは考えられませんでしたので、12mmを基準として設計されています。但し、車輪が偏った場合には、踏面の傾斜によって車輛が傾くこともありえます。のちに発売されたIMONレールの場合は直線レールで12mm、曲線の両端部では12mm、曲線中央部においては12.2mmになっています。

当社の製品には関係の無い16.5mmや13mmなどのレールに関しては測ってもおりませんが、皆さんもお手元のレールをたまには気にしてみるのも一興かもしれません。